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病院からのお知らせ

京大病院で世界初のリアルタイムモニタリング下の追尾放射線治療を開始

 京都大学医学部附属病院は、呼吸により移動するがん病巣をリアルタイムでモニタリングしながら追尾ピンポイント照射を行う放射線治療法の開発に成功し、9月14日から同治療法による肺がん治療を開始した。なお、リアルタイムモニタリング下の追尾放射線治療は世界初。

 がん放射線治療成功の鍵は、体内のがん病巣へ十分な放射線を照射することと正常臓器への放射線量を低くすることの両立である。しかしながら、体内ではがん病巣の位置が刻一刻と変化するために、両立させることは難しかった。このため、リアルタイムで病巣の動きに対応できる追尾放射線治療装置の開発が求められていた。

 今回用いた放射線治療装置MHI-TM2000は2つの大きな特長を有する。(1) 放射線照射ヘッドの向きを変えることで、移動するがん病巣をリアルタイムで正確に狙うことができる。(2) 各種イメージング機器を装備し、腫瘍全体をリアルタイムでモニタリング可能。これらの特長により、リアルタイムモニタリング下の追尾放射線治療を世界で初めて実現した。

 治療された症例は、右肺下葉に3.2 cm大のがんを有する80歳代の女性。9月14日から4回の追尾放射線治療が実施された。従来の治療法と比較して、がん病巣への放射線量を十分保ったまま、正常肺の放射線量を約20%低減可能であることが事前のシミュレーションで確認されており、放射線肺炎リスクの低減と高い治療効果が期待される。また、1回の治療に要した時間は30〜40分と短く、優しいがん治療が実現されたと考える。今後、臨床応用を通して、同技術の臨床的有用性を検証する予定である。

 MHI-TM2000は、京都大学、先端医療センター、三菱重工業株式会社の産学連携のもと、10年の歳月をかけて開発された放射線治療システムであり、本追尾機能を含めいくつもの世界初を実現している。世界のトップを目指す人と課題30を選考した最先端研究開発支援プログラムに選ばれており、本治療の実現は、その大きな1歩である。





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