加齢声帯再生の臨床研究
2007/12/31 平野 滋
歳をとると声が変わる?
ひとの声はのどにある声帯という左右一対の粘膜が振動することによって作り出されます。ところが、この粘膜は年とともに萎縮(痩せ)していき、その結果、声が出にくくなります。男性に多くおこりますが、声帯が痩せると発声中に空気がもれ高くてハスキーな声になってしまいます。声は弱くなり、昔のように大きな声や歌が歌えなくなります。これは歳のせいなので今までは仕方ないと諦められてきました。
声帯を若返らせる?
歳による声帯の萎縮を直すためには、声帯の粘膜を若返らせることが必要です。今まではそのような術がなかったのですが、近年の再生医学の発達で、声帯の痩せをましにすることが出来る可能性が出て参りました。それがこの臨床研究です。
線維芽細胞増殖因子とは?
たんぱく質の一種で線維芽細胞という粘膜を作る細胞を元気にする薬です。これはもともと体内で作られるものですが、薬としてすでに販売されており、皮膚の潰瘍などを直すために臨床で普通に使われております。もちろん保険適応も通っている薬です。
我々は動物を使った実験で、この薬が声帯の痩せを改善することを発見しました。
臨床研究について
今回の臨床研究では、この薬を加齢声帯に投与し、声帯粘膜の再生の状況を調べます。うまく行けば、声帯の痩せが改善し声が出しやすくなります。ただし、動物では効果、安全性は確認しておりますが、人でどうかはやってみないと分かりません。この研究は京都大学の倫理委員会の承認を受けて開始しております。詳しいことをお聞きしたい方は、毎週木曜日に行っている音声外来の平野医師までお気軽にお訪ねください。
最終更新: 2012年1月31日 23:05