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中耳炎・側頭骨外科外来

 

耳の周囲の骨を側頭骨と言いますが、側頭骨全般の様々な病変の治療を行う外来です。側頭骨には蝸牛という音を感じる部分と三半規管・前庭という平衡感覚をつかさどる部分があります。それに加えて、顔の表情を作る顔面神経、味覚を脳に伝える鼓索神経が通っています。また、大きな血管(頸動脈・S状静脈洞など)、脳(側頭葉・小脳)、食事に必要な神経(下位脳神経)とも近接しています。

そのため、この部分の手術は十分な知識と技量・準備が必要となります。京都大学では手術を行うスタッフ全員が専門的な手術トレーニングコースに毎年参加しています。さらに、手術中も顔面神経を専用の機械(神経モニタ)でチェックし、安全かつ正確に手術できるようにしています

<中耳手術>

真珠腫性中耳炎

真珠腫性中耳炎とは、皮膚(角化重層扁平上皮)が鼓膜より内側に入り込み、周囲の組織を破壊していく疾患です。外から見ると鼓膜に小さなくぼみがあるだけですが(左図 矢印)、奥では病変が骨を壊しながら広がっています。この部分が白い塊に見えるため、「真珠」という名前がついています(右図)。難聴・耳漏が主な症状ですが、ほとんど症状が無いまま進行するものもあります。放置しておくと、内耳障害(耳鳴・めまい・高度難聴)、顔面神経麻痺、頭蓋内合併症(髄膜炎)をきたすこともあります。手術が唯一の治療法ですが、再発することが稀ではないため、病変の状態によって最適な手術方法を選択しています。

 

慢性中耳炎

鼓膜に穿孔があり、耳漏・難聴をきたす状態です。感染の有無や耳小骨の状態に応じて、日帰り手術や入院手術を行います。特殊なものとして、癒着性中耳炎や鼓室硬化症とよばれる難治性のものもありますが、これらに対しても手術治療を行っています。

耳硬化症

鼓膜から入った音を内耳に伝える3つの骨のうち、内耳に一番近い「アブミ骨」と呼ばれる骨の動きが悪くなることにより難聴がおこります。手術により聴力の改善が期待できます。

顔面神経麻痺

名前のとおり、顔の半分が動かなくなる病気です。ベル麻痺と呼ばれるものが最も多く、ステロイドの治療で大部分が改善します。外傷で生じた場合や難治例では顔面神経減圧手術といって、神経周囲の骨をとりのぞいて障害が増悪しにくくする手術も行っています。

<側頭骨外科>

側頭骨にできた腫瘍は、良性であっても徐々に大きくなり様々な神経の症状をきたします。当科では脳外科と協力してこれらの側頭骨腫瘍に対しても手術を行っており、腫瘍の全摘出と顔面神経麻痺の回避、聴力温存を目標としています。

聴神経腫瘍

音など耳に入った情報を内耳から脳に伝える神経を聴神経といいますが、その聴神経に出来る腫瘍です(厳密には音を伝える神経のすぐ隣を走る前庭神経に出来るものが多い)。良性腫瘍で、ゆっくり大きくなるので、小さな腫瘍であれば定期的にMRIを撮影しながら手術せずに様子を見ます。発見時にかなり大きいもの、増大速度の速いもの、若い人に生じたものは手術で摘出します。

 

グロームス腫瘍

耳の周囲にある神経から生じる腫瘍です。心臓の音に一致した耳鳴、顔面神経麻痺、内耳障害、下位脳神経障害(嚥下障害、発声障害)をきたすこともあります。治療方法としては手術と放射線治療がありますが、すでに他の治療を受けた後に手術を行うのは非常に大変です。そのため、最初にどのような治療を行うかの選択が重要です。

錐体部真珠腫

上に書いた真珠腫性中耳炎が、耳の骨の最も深いところ(錐体部)に進展したものです。多くの場合、顔面神経に沿って深い部分に入り込んでいきます。治療法は手術しかありませんが、聴力を犠牲にせざるを得ない場合も稀ではありません。また、手術後も再発に対して十分な注意が必要です。

錐体尖コレステリンのう胞

耳の骨の最も深いところに出来るのう胞(ふくろ)です。この病変も徐々に大きくなっていき、難聴・めまい・顔面神経麻痺・三叉神経麻痺(顔の知覚が鈍くなる)などの症状をきたします。治療は穴をあけて内部の液体が抜けるような通路を作る手術(ドレナージ手術)が主体になります。

顔面神経鞘腫

顔の筋肉を動かす顔面神経から生じる腫瘍です。大きくなると顔面神経麻痺を起こしたり、頭に中に入っていったりします。全部をとると顔面神経も一緒に切れてしまうため、たとえ神経をつなぎなおしても顔面神経麻痺は完全には治りません。そのため、十分に相談しながら治療方針を決めていく必要があります。経過観察・完全摘出手術・部分切除手術(腫瘍を一部残して顔面神経を温存する)・顔面神経減圧手術を行います。

 

その他、外耳・中耳の奇形や腫瘍など、さまざまな病気を取り扱っています。

担当:平海、山本

[外来担当表]

 

最終更新: 2012年1月31日 23:05