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当院では『加齢黄斑変性の診断・治療・予後の実態調査』を2006年4月から実施しています。この調査は本病院の倫理委員会より実施の承認を得ています。疫学研究に関する倫理指針の全部改訂(平成16年文部科学省・厚生労働省告示第1号
平成16年12月28日)に伴い、下記の情報を公開致します。
1. 本調査の意義
加齢黄斑変性症は、欧米では高齢者の視力障害の重要な原因疾患です。近年、この病気は、日本でも急増していますが、日本での疫学調査は少なく、診断・治療・視力予後の実態が十分には分かっていません。
加齢黄斑変性症では初期には自覚症状がほとんどないこともありますが、物がゆがんで見えたり、視野の真ん中が見えにくくなったりして自覚することがあります。進行すると、視力が低下し、最終的に高度な視力障害に至ることもあります。加齢黄斑変性症の診断は、眼底検査とフルオレセイン蛍光眼底造影を行い、両者もとにして行うことがこれまで一般的でした。しかし、最近になって、インドシアニングリーン蛍光眼底造影検査や光干渉断層計による検査が普及し、以前に比べて、診断技術は格段に向上しています。それに伴い、これまで加齢黄斑変性症と診断されてきた症例の中にポリープ状脈絡膜血管症、網膜内血管腫様増殖などの新しい病気が含まれていることが分かってきました。ポリープ状脈絡膜血管症は日本人に頻度が高く、これまで加齢黄斑変性症と考えられていた病気の半分くらいはこの病気である可能性があります。この病気は、加齢黄斑変性症に比べて最終的な視力は良いとも報告されていますが、その実態は必ずしも明らかではありません。また、網膜内血管腫様増殖という新しい病気も報告されています。この病気は日本人には比較的少なく、日本人では加齢黄斑変性症の1-10%程度を占めるのではないかと考えられています。この病気は、最終的な視力が悪くなることが多く、治療が効きにくいと考えられています。このように、一般に加齢黄斑変性症と言われている病気にも、詳しく検査するといろいろなタイプがあり、治療の効きやすさ、最終的な視力にも差があります。
加齢黄斑変性症の治療に関しては、以前はレーザー光凝固が主に行われてきました。しかし、治療法の対象となる患者さんは全体の15%以下に限られること、治療直後の大幅な視力低下をきたす可能性があることなど問題点が多い治療法でした。レーザー光凝固治療ができない大部分の人には、放射線治療、経瞳孔温熱療法、手術などが行われてきました。しかし、2004年、一部の加齢黄斑変性症に対して光線力学療法が本邦でも認可され、対象となる患者さんには第一選択となっています。更に、種々の薬物療法が現在治験中であり、今後認可されれば患者さんの治療に使われる可能性があります。このように、日本での加齢黄斑変性症の診断・治療・視力予後に関してはっきり分かっていないのが現状です。今回の実態調査によって日本での加齢黄斑変性症の特徴、治療、視力予後が明らかになり、今後の治療選択の根拠となることが期待できます。
2. 本調査の目的
@ 本邦での加齢黄斑変性の病型を調査します。
A 加齢黄斑変性症の各々の病型ごとにおける視機能障害の実態を調査します。
B 加齢黄斑変性症の悪化、進行の危険因子を調査します。
C 加齢黄斑変性症の治療の実態を調査します。
対象者
@ 少なくとも一眼が加齢黄斑変性と診断された方
A 年齢50歳以上の方
B 矯正視力0.01以上の方
本調査では@〜Bの条件をすべて満たす方を対象とします。
近視性脈絡膜新生血管、特発性脈絡膜新生血管など加齢黄斑変性以外の脈絡膜新生血管症の方は対象外です。
他施設で加齢黄斑変性の治療歴のある方は対象外です。
3. 本調査の方法
@ 調査を始める時に、問診、身長・体重測定、視力検査、眼底検査、眼底造影検査、光干渉断層計による検査、採血を行います。検査は加齢黄斑変性症に対する検査としては一般的な検査です。
A 調査は治療方法を規定するものではありませんので、担当医と相談の上、各患者さんにとって最適な治療、検査を施行していただくことができます。
B 通常の治療、診察をしていただき、1年ごと5年間にわたり、視力変化、眼底変化等についての追跡調査を行います。
調査内容
@ 調査開始時の検査所見
A 治療内容
B 視力、眼底所見の経過
4. 研究機関名
この調査に参加しているのは以下の28施設です。
市立札幌病院
旭川医科大学
弘前大学
山形大学
福島県立医科大学
群馬大学
東邦大学第二眼科学
杏林大学
日本大学駿河台病院
東京大学
千葉大学
山梨大学
東京医科大学病院,
東京医大霞ケ浦病院
東京医大八王子医療センター
東京女子医科大学
名古屋大学
名古屋市立大学
藤田保健衛生大学
滋賀医科大学
京都大学
大阪大学
大阪医科大学
関西医科大学
神戸大学
香川大学
九州大学
鹿児島大学
調査の予定対象者数
全28施設で2,000名
5. 調査への参加およびプライバシーの保護について
プライバシーの保護についてですが、この調査で得られた結果は加齢黄斑変性症の診断・治療・視力予後の実態に関する資料として使用します。専門の学会や学術雑誌に発表されることもありますが、患者さんのプライバシーは十分に尊重されます。結果発表の際には慎重に配慮し、患者さん個人に関する情報(氏名など)が外部に公表されることは一切ありません。また、患者さんの調査情報には各施設にて独自の番号をつけ、外部の委託期間に送られます。調査情報には患者さんの氏名、カルテ番号、イニシャルなどの個人情報は含まれていませんので、個人情報が外部に伝わることはありません。
6. 試験に関する問い合わせ・質問などについて
この調査について何か分からないことや心配なことがありましたら、いつでも担当医師にご相談下さい。また、電話、ファックスでの相談もできます。調査対象となることを拒否される方、または問い合わせは下記連絡先までお願いします。 TEL:075−751−3253、FAX:075−752−0933、京都大学大学院医学研究科眼科学 辻川明孝
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