当科は日本内分泌学会及び日本糖尿病学会認定教育施設です。
内分泌代謝内科の臨床活動と専門医コースの紹介
1. 内分泌代謝内科の臨床目標
最近の内分泌代謝学の進歩により、特定の内分泌代謝臓器があるのではなく、全身の臓器が内分泌代謝機能を有することが明らかになってきました。内分泌代謝内科は、こうした内分泌代謝学の最新の概念を生かして、内分泌代謝機能の破綻により生ずるさまざまな内分泌代謝疾患、特に代表的な生活習慣病である肥満症、糖尿病、高血圧症、高脂血症が重積して発症し、動脈硬化を促進するメタボリック症候群の高度で最新の診療と専門医の育成を目指しています。
2. 研修指導体制
内分泌代謝内科での研修においては、担当医として、その患者の外来主治医と各専門グループのスタッフおよび上級医(医員・大学院生)の指導のもとに診療活動を行います。また、手技的な指導や緊急時の対応に備えて、病棟担当医が常駐しています。診断・治療にかかわる重要な方針は、週1回の全体回診、クリニカルカンファレンスとともに、各専門グループによる週1回のグループ回診において討論されます。特に検討を要する症例については、回診とは別に看護チームも含めた臨時カンファレンスを行い、患者ニーズに合わせた診療を行うことを第一に考えています。
このように、きめ細かい充実した研修環境のもとで、一般内科医として必要な知識・技術の修得はもちろん、内分泌代謝疾患とくにメタボリック症候群関連の肥満症、糖尿病、高血圧症、高脂血症、痛風とこれらの合併症の専門的知識と技能を身につけることができます。
≪専門グループの体制≫
- 糖尿病・肥満グループ
- 内分泌グループ
- 高血圧・動脈硬化グループ
- 腎臓グループ
- 心臓グループ
の5つの専門グループにわかれています。とくに、メタボリック症候群およびその合併症としての心血管疾患・腎疾患など、内分泌代謝内科の患者は複数の内科領域にまたがる場合がきわめて多く、各グループ間の連携のもとに総合的な診療が効率よくなされていくのが当科の特徴です。
3. 対象疾患と病棟診療内容
表1に、われわれの診療対象としている代表的な疾患を示します。
| Ⅰ.内分泌疾患 | 視床下部・下垂体疾患(先端巨大症、クッシング病、汎下垂体機能低下症、尿崩症等) 甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病、甲状腺腫瘍等) 副甲状腺疾患(副甲状腺機能亢進症・低下症等) 副腎疾患(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、アジソン病等) 骨粗鬆症、骨代謝性疾患 電解質代謝異常等 |
|---|---|
| II.メタボリック症候群関連疾患 | 肥満症 糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病等) 低血糖症(インスリノーマ等) 高血圧症(本態性、二次性) 高脂血症 高尿酸血症・痛風 |
| III.メタボリック症候群合併症 | 虚血性心疾患、心不全、閉塞性動脈硬化症、糖尿病足病変 腎合併症(糖尿病性腎症、高血圧性腎障害、腎血管性高血圧症、痛風腎、ネフローゼ症候群、慢性腎不全、透析合併症等) 脳血管障害 脂肪肝(NASHを含む)他 |
内分泌代謝内科は現在40床の病床を有し、のべ患者数12,547の入院症例があり病床稼働率は常に90-100%で、院内で高い水準にあります。入院症例の内訳は、メタボリック症候群・生活習慣病(糖尿病・肥満症・高血圧症等)の専門的治療および教育入院、メタボリック症候群の合併症とその検査入院(心臓カテーテル検査、腎生検等)や内分泌疾患、すなわち視床下部・下垂体疾患、甲状腺・副甲状腺疾患などの診断と治療、副腎疾患など二次性高血圧症の鑑別診断と治療、更に、脂肪萎縮性糖尿病の新規治療など、commonな疾患から非常にまれな疾患まで、きわめてバラエティーに富んでおり、多彩な症例を経験することが可能です。
4. 診療内容と検査
表1にリストアップした内分泌疾患、メタボリック症候群と関連疾患、メタボリック症候群と関連疾患の合併症の高度専門診療とともに、肥満症、糖尿病、高血圧症、高脂血症の教育入院も積極的に行っています。また、メタボリック症候群の合併症としての心血管病変や腎病変を早期に診断する目的で、心血管エコー、運動負荷検査、下肢血流検査、骨密度測定、内臓脂肪量測定をルーチンに行い、必要があれば冠動脈造影、下肢動脈造影、腎生検等を行っています。
内分泌疾患では、甲状腺疾患、下垂体疾患、副甲状腺疾患をはじめ、わが国でも有数の内分泌疾患が集まる内科であり、内分泌代謝負荷試験とエコー、CT、MRI、シンチグラフィー等の最新の画像診断を駆使して診断・治療を行っています。
表2に我々の主な検査実績を示します。
各種ホルモン測定、内分泌負荷試験 |
||
|---|---|---|
| 超音波検査 | 甲状腺エコー | 375例/年 |
| 血管エコー | 146 | |
| 心エコー | 537 | |
| 腎エコー | 44 | |
| 核医学的検査 | 甲状腺シンチグラフィー | 54 |
| 副甲状腺シンチグラフィー | 12 | |
| 副腎シンチグラフィー | 66 | |
| 心筋シンチグラフィー | 196 | |
| レノグラム | 72 | |
| 副腎静脈サンプリング | 24 | |
| 骨密度測定 | 420 | |
| 腹部CT、DEXA(体脂肪量、内臓脂肪量測定) | 95 | |
| 血管造影 | 心臓カテーテル検査 | 63 |
| 生検 | 甲状腺FNA | 156 |
| 腎生検 | 32 | |
5. 新しい医療の実践
内分泌代謝内科では、研究室での基礎的研究で得られた成果を、いち早く臨床の場に応用することを目指し、基礎と臨床の橋渡しをするような研究を多く実践しています(Translational Research:展開研究)。たとえば、脂肪萎縮性糖尿病におけるレプチン治療やナトリウム利尿ペプチドを用いた血管再生治療および心腎保護療法などが挙げられます。これらの医療は高度先進医療であり、他の診療科・大学や研修病院では行っておらず、当科での研修においてのみその状況を理解できます。
6. 内分泌代謝内科の特徴のまとめ
最後に我々の内科の特色をまとめ、研修で得られることを示します。
- わが国における内分泌代謝疾患診療の代表的な機関としてのこれまでの伝統を引き継ぎ、多彩な分野の指導スタッフによる高度で最新の診断と治療を実践する内分泌代謝専門医およびその関連疾患の専門医を養成しています。
- 体内の恒常性の維持そのものに関わる内分泌代謝学領域の特性を生かした、内科学の本来の姿である患者を全身的に捉えてその病態を総合的に評価できる、有能で人間性豊かな専門医の育成を目指しています。
- 生活習慣の欧米化に伴い肥満を基盤にした糖尿病、高血圧症、高脂血症の重積するメタボリック症候群とその心血管合併症の増加は著しく、メタボリック症候群の患者は全人口の25から30%にも及び、最もcommonな疾患です。内分泌代謝内科は、メタボリック症候群とその合併症の包括的かつ先進医療を展開しています。
- さらに、患者志向研究(Patient-Oriented Research)と疾患志向研究(Disease-Oriented Research)の両立を目指すPhysician-Scientist(臨床医-科学者)を養成し、基礎研究の成果を臨床応用するTranslational Research(展開研究)を実践しています。
7. 専門医コースについて
当科は日本内分泌学会及び日本糖尿病学会認定教育施設です。
≪大学院/専門医コースと専門医/学位コース≫
内分泌代謝内科の専門医コースは、大きく大学院/専門医コースと専門医/学位コースとにわかれます(図)。大学院/専門医コースでは、3〜4年間の初期研修の後、大学院にて研究に携わりながら、同時に専門医としての教育も受けられます。4年間の課程を終了した後、医学博士(課程博士)の取得が可能です。また、一定の時期には内分泌代謝専門医をはじめとする各科専門医の取得も可能です。
一方、専門医/学位コースでは、大学病院または関連病院にて専門医として必要な教育・研修を受けながら、内分泌代謝専門医、および糖尿病専門医をはじめとする関連分野の専門医を取得するコース、また大学病院にて専門医としての教育を受けながら研究にも携わり、学位取得を目指すコースがあります。6年間の専門医研修および研究の後、医学博士(論文博士)の取得が可能です。
| 日本内科学会 認定内科医 | 初期研修2年後、認定施設で1年以上研修 |
|---|---|
| 日本内分泌学会 内分泌代謝専門医 | 認定内科医研修終了後、3年以上修了、がつ連続3年以上会員である |
| 日本糖尿病学会 専門医 | 認定内科医研修終了後、3年以上修了、がつ連続3年以上会員である |
| 日本高血圧学会 専門医 | 連続5年以上会員である |
| 日本腎臓学会 専門医 | 認定内科医研修終了後、3年以上修了、がつ連続5年以上会員である |
| 日本循環器学会 専門医 | 認定内科医研修終了後、3年以上修了、がつ連続6年以上会員である |
- 日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医 認定教育施設
日本内分泌学会 http://square.umin.ac.jp/endocrine/ - 日本糖尿病学会 認定教育施設
日本糖尿病学会 http://www.jds.or.jp/
≪専修コース≫
上の専門医コースに入る前に、1〜2年間を通して内分泌代謝内科を研修することにより、4カ月コースよりもさらに深みのある研修の中で、専門医として必要な基礎の修得が可能です。年間で約100症例を担当していただくことにより、認定内科医はもとより、内分泌代謝専門医および糖尿病専門医をはじめとする各科専門医の申請に必要な症例をカバーすることができます。さらに、特殊検査技術の修得、Translational Researchへの参加、外来診療への参加など、4カ月コースでは十分得ることのできない経験が得られることは間違いありません。臨床的意義のある症例については、上級医のきめ細かな指導のもとに、学会発表および症例報告をしていただきます。学会での症例報告を経験して疾患の奥深さに触れ、専門分野を決めた例も少なくありません。その後はそれぞれ、大学院/専門医コースまたは専門医/学位コースにわかれ、さらに専門的な診療および研究に従事することになります。
内分泌代謝内科専門医/大学院コース


- 大学院入試情報は研究科サイトの入試情報のページをご覧ください。
- 研究については大学院の紹介ページをご覧ください。
- 入局希望の方は下記アドレスへ件名に「入局希望」と明記の上ご連絡願います。
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