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京大神経内科 研究紹介 神経化学
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山下 博史
葛谷 聡
植村 健吾
アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など神経変性疾患の病態生理の解明と治療法・予防法の開発に向けた研究を中心に種々の方法論を駆使して行っています 。

1) 病態生化学的研究

アルツハイマー病の病態解明を目標として剖検脳を用いた生化学的研究を進めています。これまでに、アセチルコリン、グルタミン酸などの神経伝達物質受容体、ホスフォリパーゼC、イノシトールモノホスファターゼ、プロテインキナーゼCなどイノシトールリン脂質代謝関連分子、カルパイン、カルシウム結合タンパク質、低分子量 Gタンパク質、シナプス関連タンパク質、転写因子NF-kB・STAT1 など細胞の恒常性維持に重要な情報伝達分子やアポトーシス関連タンパク質について検討し、アルツハイマー病の病態における役割について明らかにしています。一方、ポストゲノムプロジェクトとして網羅的にタンパク質を検索するプロテオーム解析による病態解明を世界に先駆けて推進しています。これらの研究は、アルツハイマー病の病態解明のみならず、新たな治療法および診断法の開発やアルツハイマー病モデル動物研究の基盤になると考えています。

2) 細胞生物学的研究

ラット中脳黒質、大脳皮質、脊髄の初代培養系を用いて、それぞれ、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症のニューロン死の機序を検討し、この細胞死を防ぐ方法の開発を目指しています。もちろん、ヒトとラットの培養細胞とでは多くの点で異なり、その解析結果 の解釈は慎重に行なう必要はありますが、比較的短期間に繰り返し検討したり、薬剤を容易に投与することができるため、細胞死がおこる際の一連の出来事を経時的に検討したり、特定のシグナル伝達を抑制した場合の効果 を見るなどの目的に適しています。これまでに、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症でのニューロン死の細胞選択性についての知見やエストラジオールやドーパミン受容体作動薬が細胞死を抑制する機序やニコチン性受容体刺激が -アミロイド毒性を抑制する機序などを明らかにし、神経変性疾患に対する神経保護治療の重要性について提唱してきました。さらに、新規防御因子・物質の探索も進め、京都大学薬学研究科との共同研究でセロフェンド酸を発見しました。これらの細胞保護活性物質の有効性を疾患モデル動物で検証し、新たな治療薬・予防薬として提唱してゆきたいと考えています。一方、神経変性疾患の病態におけるグリアの役割についても精力的に研究を進め、ミクログリアにおける -アミロイドクリアランス機構の解明、ミクログリア活性化によるニューロン保護など新知見を発表しています。

3) 分子生物学・発生工学的研究

家族性アルツハイマー病原因遺伝子(Presenilin)、家族性パーキンソン病原因遺伝子( -synuclein)、家族性筋萎縮性側索硬化症原因遺伝子(Cu/Zn superoxide dismutase)を細胞や動物(線虫:C.elegansなど)に導入することにより、原因遺伝子産物の各疾患の病態生理における役割について明らかにし、孤発性疾患の病態機序の解明に発展させるべく研究を進めています。これまでに、Presenilin蛋白質とアポトーシスの関連や細胞内蛋白質輸送との関係などを明らかにしています。また、これらの疾患原因遺伝子導入細胞・動物をモデルに遺伝子治療も視野に置いて新たな治療法開発への戦略的研究を推進させています。

4) 分子遺伝学的研究

倫理委員会で認可された範囲で家族性アルツハイマー病、家族性パーキンソン病、家族性筋萎縮性側索硬化症、家族性脊髄小脳変性症の臨床的遺伝子診断および疾患関連遺伝子解明の研究を進めています。 

5) 神経再生研究

各神経変性疾患におけるニューロンの変性・細胞死を防御する方法の探索の他に、成熟した脳内での神経再生を目指す研究も重要なテーマと考えています。これまでに、ラット成熟脳内神経幹細胞の新たなマーカー分子を見出しました。 また、神経前駆細胞をパーキンソン病モデルラットに移植し、運動障害の改善を示しています。

上記の研究は、大学院生をはじめとして各研究室員の研究テーマとして行われています。これまでに多くの大学院生が充実した研究活動を行い、医学博士を取得しています。また、学際的研究が多く、京都大学医学研究科先端領域融合医学研究機構、京都大学薬学研究科、京都薬科大学薬学部、独立行政法人国立病院機構宇多野病院、米国ケースウェスタンリザーブ大学など国内外の最先端の研究室との共同研究を進めています。各方法論で得られた研究成果を有機的に統合して、急速な高齢化社会の到来とともに社会的課題となっている神経変性疾患に対する有効な治療法・予防法の開発に向けた研究成果を発信してゆきたいと考えています。

発表論文の検索
(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=search&term=shimohama)
 
 
アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患の病態機序の解明に向けた研究を行っています。および、各種神経筋疾患の臨床的遺伝子診断を行っています。

1)アルツハイマー病患者さんに対しては現在臨床の現場ではアセチルコリン分解酵素阻害薬による症状の改善が試みられています。これらの薬剤はアセチルコリン分解酵素を阻害するだけではなく、アセチルコリン受容体にも直接作用することも知られており、またこれらの薬剤に対して治療効果 が表れにくい患者さんがいることも知られてきました。患者さん一人一人の個々の薬剤に対する治療効果 が遺伝子多型を調べることで投与前に知ることができれば、より患者さんの利益となる治療法の選択につながることになります。そのための基礎実験として、アルツハイマー病患者さんを対象に、脳内の主要なアセチルコリン受容体のニコチン型受容体のサブタイプごとに遺伝子変異・多型の解析を行うなど、臨床応用を視野に入れた研究を行っています。 また、剖検脳を用いて難溶性分画を含めた網羅的なプロテオーム解析を行い、神経の変性に伴って起こる脳の様々な構造タンパクの変化の解析を行っています。
(図はアルツハイマー脳での難溶性分画の二次元電気泳動(一部))


(図)
2)筋萎縮性側索硬化症は、いわゆる神経難病の一つであり、現時点では残念ながら有効な治療法が見出されていません。家族性筋萎縮性側索硬化症に認められたSOD1遺伝子の変異を導入したマウスが動物モデルとして広く用いられており、現在このモデルマウスを用い熱ショックタンパク誘導剤などの神経保護作用を有すると考えられる物質の投与実験を行うと同時に脊髄などの神経組織のプロテオーム解析を行っています。

3)近年の分子遺伝学的研究の進展の結果 、数多くの家族性の神経筋疾患で原因となる遺伝子の変異が確認されるようになりました。当院神経内科でも倫理委員会にあらかじめ申請を行い、承認された疾患については、患者さんとのインフォームド・コンセントを得た上で、各種神経筋疾患の遺伝子診断を行っています。あわせて、やはり倫理委員会で承認を得た疾患については、対象となる患者さんからのインフォームド・コンセントを得た上で関連遺伝子検索などの研究を行っています。 患者さんの個人情報の管理については、実際の研究者とは別 に遺伝情報管理者を 置き、細心の注意を払っています。

 
京都大学医学部神経内科 ENGLISH 患者さま向け