骨形成因子(BMP)は骨を誘導する蛋白性因子であり、単独で異所性骨形成シグナルとしての作用を有する唯一のサイトカインです。BMPは骨格形成、骨折治癒などのあらゆる生理的骨形成に必須の役割を担うことが明らかになっており、BMP-2についてはその強い骨誘導能から特に研究が進んでいます。BMPは臨床における応用範囲が骨再建、顎変形症治療、骨形成性疾患の診断などと広く、有用性に富みことから近年注目を集めており、米国においては整形外科領域でBMP-2の臨床使用が行われており、欧州においては歯科口腔外科領域で精製BMPが臨床使用されています。しかし、BMPは現在のところ、安価で大量生産不可能なことから臨床での使用には問題となります。また、BMP-2の最も有効な担体として米国、欧州で使用されているアテロペプタイドI型コラーゲンは生体由来であり、わずかながら抗原性の問題とプリオンなどの未知の物質を混入している可能性を完全には否定できないという問題を抱えています。
 われわれは、BMPを現在一般的に使用している蛋白(サイトカイン)として直接使用するのではなく、アデノウイルスベクターを介して宿主(臨床においては患者)自身の細胞にBMPを作らせるという画期的な方法での骨誘導が可能になり、技術的にも費用的にも容易に臨床の場へ供給でき得ると考えられます。さらに、最近注目を集めている生体為害作用のないプラスミドベクターにも注目し、BMP発現プラスミドベクターによる遺伝子導入法での検討もあせて行っています。本法は余分なベクターを使用しておらず、裸のプラスミドDNAの直接注入によるものであり、エレクトロポレーション法で宿主への遺伝子導入が有効に行えれば、ある意味で理想的方法とも考えられ、臨床への応用も容易に進む可能性を秘めています。さらに、より全体に信州の少ないマイクロバブルなどで導入効率を上げた超音波遺伝子導入法についても検討したいと考えております。