術前矯正から手術まで一貫した保険治療で
 京都大学は、日本で最も早く顎矯正を導入した施設の一つで1978年以降のべ1500例以上の顎矯正手術を担当しております。まず通常の午前9時から11時半までの初診枠で受診頂き、診断に必要な資料を取らして頂いた後、毎週月曜日の午後の顎矯正専門外来のスタッフが診察させて頂きます。矯正治療は一般に私費診療(全額自己負担)ですが、当科では、平成15年に京都大学病院が更正医療(歯科矯正)の指定を受け、顎変形症治療に対する術前矯正治療の健康保険の適用が可能となりました。そこで術前矯正治療から入院手術まで一貫して顎矯正専門外来のスタッフが担当させて頂きます。また通院の利便性を考慮し、地域の矯正歯科医院との連携による共同治療も幅広く積極的に行っております。

顎矯正とは?
 一般にアゴが前に出過ぎていたり、逆に後ろに下がっているため、あるいはアゴが横にずれているために上下の歯の噛み合わせが大きくずれたりしてしまっているような場合は、一般に「顎変形症」と呼ばれています。このような状態ですとうまく噛めず、言葉がわかりづらいなどのいろいろな機能的な障害がでてくるばかりでなく、「受け口」などと言われて容貌の美的不調和に悩まれるかもしれません。
 現在ではこのような方々に対しては多くの場合、矯正治療に顎の手術を組み合わせる方法、すなわち『顎矯正』を行うことで、治療することが可能になり、健康保険も適応され広く行われるようになってきました。顎矯正手術は、一般に顎の成長発育が終了する17〜18歳以降に行われ、正しい噛み合わせを得るばかりでなく、顔面の形態の不調和の改善を目的とします。

顎矯正治療の実際
 一般的にはまずわれわれの科を受診頂き、どういったタイプの「顎変形症」かを診断し、それを患者さまにご説明し納得して頂いてから治療を始めます。最初に治療の障害となるむし歯や親知らずの処置が必要です。その後、手術前の歯列矯正治療(術前矯正と呼ばれています)に取りかかっていただきます。個人差はありますがおよそ1〜2年を要することが多いようです。手術は全身麻酔で行いますので、入院が必要です。会話には大きな支障はありません。食事については、約一ヵ月後には硬いもの以外は食べられるようになるでしょう。

代表的な手術法には以下のようなものがあります。
下顎枝矢状分割法 下顎が前に出ている場合
下顎が左右にずれている場合
下顎が後退している場合
上下の歯が噛み合わない場合
下顎枝垂直骨切り術 下顎が前に出ている場合
下顎が左右にずれている場合
Le Fort I型骨切り術 上顎が左右にずれている場合
上顎が後退している場合
上下の歯が噛み合わない場合
前歯部歯槽骨切り術 下顎が前に出ている場合
上下の歯が噛み合わない場合
前歯が突出している場合