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膵がんについて

 

 膵がん(膵ガン,すいがん,膵癌膵臓がん,膵がん,膵臓癌,すいぞうがん,膵臓ガンすい臓癌すい臓ガンについての一般的な解説です.もう少し詳しい説明や施設固有の説明については「一般・医療従事者向け」の項目を参照してださい.

 

このページの項目

  A.概念

  B.症状

  C.診断

  D.病期(ステージ)

  E.治療

     1.外科手術

     2.放射線治療

     3.化学療法

     4.その他

     5.集学的治療

  F.治療法選択基準

 

A.概念

 膵がんとは,一般に膵臓から発生したがんのこと指します.すい臓はちょうど胃の後ろにある長さ1520cmほどの薄っぺらな臓器で,右側は十二指腸の内側に接して連続しており,左の端は脾臓につらなります.すい臓は全体でおたまじゃくしのような形をしており,右の方がふくらんだ形をしているので膵頭部と呼び,中央を膵体部,左端は細長くなっているので膵尾部とよびます.

 すい臓の働きは主に2つあって,外分泌機能(膵液をつくること)と内分泌機能(血糖を調節するホルモンをつくること)です.膵液はすい臓の中に巡らされた膵管という細い管の中に分泌されます.細かい膵管はすい臓の中で川の流れのように集まり,主膵管という一本の管になり,肝臓から膵頭部の中へ入ってくる総胆管と合流し,十二指腸乳頭というところへ開口します.すい臓でつくられたホルモンには,血糖を下げるインスリンや血糖を上げるグルカゴンなどがあります.これらのホルモンはすい臓から血液の中に分泌されます.

 膵がんの90%以上は外分泌細胞から発生します.とりわけ膵管を形作る内側の細胞から発生したがんを膵管がんとよびます.一般に膵がんといえばこの膵管がんのことをさします.内分泌細胞から発生する膵内分泌腫瘍とはもとの細胞も,症状や経過も全く異なります.これらは出来てきたもとの細胞の名前をとってインスリノーマグルカゴノーマなどとよばれ,普通,膵がんとは違ったものとしてとり扱います.

 日本では毎年2万人以上の方が膵がんで亡くなります.膵がんは身体の奥深くにできるので,癌が発生しても見つけるのが非常に難しいのです.また,膵がんになる原因や習慣についてもよくわかっていません.さらに,早い段階では特徴的な症状もありません.

 このような理由で,膵がんは胃癌や大腸癌のように早期のうちに見つかるということはほとんどなく,また膵がんとわかった時にはずいぶん進行していることが多いのです.

B.症状

 膵がんに特徴的な症状はあまりありません.膵がんの方が病院を訪れる理由を調べますと,最も多いのは上腹部痛や胃のあたりの不快感,なんとなくお腹の調子がよくない,食欲がない,などという一般的な消化器症状です.この他に,体重の減少なども見られます.膵がんは背中が痛くなるとよく言われますが,必ずしもそうとは限りません.

 このように膵がんの症状は一般的な消化器症状ですので,膵がんでなくてもいろいろな理由でおこるものです.膵臓癌に特徴的なものとして黄疸があります.これは皮膚や白目が黄色くなったり,身体がかゆくなったり,尿の色が濃くなったりします.黄疸は,膵頭部に癌ができて,胆管がつまった時におこるのですが,膵がん以外でも胆石や肝炎などが原因になります.

C.診断

 一般的な消化器症状で病院を訪れた方には,まず超音波検査や内視鏡・胃のレントゲン検査などを行って,消化器の病気がないかどうか調べます.

 超音波検査ではすい臓の観察ができますので,異常があれば次の検査に進みます.また,超音波では異常がはっきりしない場合も,症状や血液検査の結果で,すい臓や胆管などに病気のある可能性があれば,CT検査やMRI検査などの画像診断を施行します.

 ERCPという検査を行う場合もあります.最近では,MRIを利用してERCPと類似した情報を得ることができますので, ERCPは行わないことがあります.

 血管造影が必要になることもあります.これは,足のつけ根の動脈から細い管を差し込んで,すい臓やその周辺に向かう動脈に造影剤を流し,血管の構造や病気による変化を調べるものです.最近では,造影CTで血管造影と類似した情報を得ることができますので, 血管造影は行わないことがあります.

 黄疸のある場合には,超音波検査で胆管がつまっているかどうかを確認し,胆管がつまって太くなっている場合(閉塞性黄疸)には,超音波で観察しながら肝臓の中の胆管に針を刺し,これを利用して細い管を胆管の中に入れます.この管から造影剤を注入すると胆管がどこでつまっているかわかります.これをPTCとよびます.また,この管をそのまま留置し胆汁を外に誘導して黄疸を治療することをPTCDといいます.PTCDを行っても黄疸が治るまでには時間がかかりますので,その間に他の検査を行います.

 もっと詳しい解説が必要な方は,膵がんの診断方法のページへ行ってください.

D.病期(ステージ)

 膵がんがどの程度進んでいるかをあらわすには病期(ステージ)というものが使われます.これは膵がんを診療する人々の共通語のようなもので,治療の判断をするときや情報を交換するときに同じ観点で考えることができるように設定されたものです.

 病期の決め方には日本膵臓学会が定めた膵癌取扱い規約と,米国やEU諸国を中心に国際的に使われているUICC分類があります.日本の病院では通常,日本膵臓学会の膵癌取扱い規約に従って情報を記載します.これによって,生存率のおよその予測が可能になります.

 

 膵癌取扱い規約 (第5版) 日本膵臓学会

 I

   大きさが2cm以下で膵臓の内部に限局しており,リンパ節転移がない.

 II

   大きさが2cm以下ですい臓の内部に限局しているが,第1群のリンパ節転移がある.

   または,大きさが2cm以上あるが癌は膵臓の内部にとどまっており,リンパ節転移がない.

 III

   大きさが2cm以下で膵臓の内部に限局しているが,第2群のリンパ節転移がある.

   または,大きさが2cm以上あるががんは膵臓の内部にとどまっており,第1群までのリンパ節転移がある.

   または,癌はすい臓の外へ少し出ているが,リンパ節転移はないか,第1群までに限られている.

 IVa

   癌はすい臓の外へ少し出ており,第2群のリンパ節転移がある.

   または,がんが膵臓周囲の血管におよんでいるがリンパ節転移はないか,第1群までに限られている.

 IVb

   がんが膵臓周囲の血管におよんでおり,第2群のリンパ節転移がある.

   または第3群のリンパ節転移があるか,離れた臓器に転移がある.

 

 UICC分類(第6版)

 I

   膵癌が膵臓の内部にとどまっており,リンパ節転移はない.

 II

   膵癌は膵臓の周りにおよんでいるが,膵臓周囲の重要な血管にはおよばず,リンパ節転移はないか,第1群までに限られている.

 III

   膵癌が膵臓周囲の重要な血管におよんでいるが,離れた臓器には転移がない.

 IV

   膵臓から離れたところに転移がある.

E.治療

 膵がんの治療法としては,外科手術,放射線治療,化学療法の3つがあります.放射線治療と化学療法をあわせて内科治療とよびます。膵臓癌の病期と全身状態を考慮して,治療法を選択し,あるいは組み合わせた治療を行います.

 

 1.外科手術

 外科手術はがんのあるところを切除する治療です.手術法は膵がんのできている場所によって異なります.

 膵頭部にがんがある場合は,膵臓の頭部から体部の一部にかけて,十二指腸,小腸の一部,胆嚢,胆管および場合により胃の一部を切除する膵頭十二指腸切除術を行います.

 膵尾部にがんがある場合には,膵臓の体部・尾部と脾臓を切除する膵体尾部切除術を行います.

 根治性を確保するために膵全摘という膵頭十二指腸切除と尾側膵切除を一緒にしたような手術を行うこともあります.

 膵がんの病期によってはがんを切除できない場合もあります.この時は,十二指腸などがつまって食事がとれなくなるのを防ぐために胃と腸をつないだり,黄疸が出ないようにするために胆管と腸をつないだりするバイパス手術を行うことがあります.

 もっと詳しい解説が必要な方は,膵がんの外科治療のページへ行ってください.

 

 2.放射線治療

 放射線療法は放射線を患部に照射してがん細胞を制御する治療です.通常は身体の外から放射線を照射しますが,手術中に膵がんだけに放射線を照射する術中照射という方法もあります.

 もっと詳しい解説が必要な方は,膵がんの放射線治療と化学療法のページへ行ってください.

 

 3.化学療法

 化学療法は抗がん剤でがん細胞を制御する治療です.通常は抗がん剤を点滴して全身に行き渡るようにする全身化学療法をします.この方法は,膵臓以外の転移病巣にも効果が期待できるという利点がありますが,副作用にも注意しなければなりません.

 もっと詳しい解説が必要な方は,膵がんの放射線治療と化学療法のページへ行ってください.

 

 4.その他

 その他の治療方法として,温熱療法や免疫療法などが知られていますが,いずれもはっきりした効果は確認できていません.

 最近では遺伝子治療や粒子線(荷電重粒子線)治療など,新しい手段による治療が試みられています.これらはいずれも安全性や効果について検討する臨床試験の段階であり,標準治療(通常の治療)ではありません.

 

 5.集学的治療

 膵がんには上記の治療法をいくつか組み合わせて行うことがあり,これを集学的治療といいます.

F.治療法選択基準

 どのような治療を行うかは,膵がんの病期と全身状態によって選択されます.

 膵がんが膵臓あるいはその近辺に限局している場合は,切除手術あるいは手術を中心とした集学的治療を行います.

 膵臓癌の範囲は限局しているけれども切除できない理由がある場合には,化学療法か放射線療法と化学療法の組み合わせなどが行われます.バイパス手術を組み合わせることもあります.

 がんが広い範囲にある場合には抗がん剤による治療を行います.

 全身状態があまりよくないため,患者さんの負担が大きすぎると考えられる場合には,痛みのコントロールや栄養の管理など対症療法を中心とした治療を行います.

 もっと詳しい解説が必要な方は,膵がんの治療方針のページへ行ってください.

 

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