●TOP > 医学生・医師の方へ「京都大学・小児科専門研修プログラム」

3-1. 習得すべき知識・技能・研修・態度など [整備基準:4, 5, 8-11]


①「小児科専門医の役割」に関する到達目標

日本小児科学会が定めた小児科専門医としての役割を3年間で身につけるようにしてください(研修手帳に記録してください)。
これらは6項で述べるコア・コンピテンシーと同義です。

役割





子どもの
総合診療医
子どもの総合診療 
  • 子どもの身体, 心理, 発育に関し、時間的・空間的に全体像を把握できる.
  • 子どもの疾病を生物学的,心理社会的背景を含めて診察できる.
  • EBMとNarrative-based Medicineを考慮した診療ができる.
成育医療
  • 小児期だけにとどまらず, 思春期・成人期も見据えた医療を実践できる.
  • 次世代まで見据えた医療を実践できる.
小児救急医療
  • 小児救急患者の重症度・緊急度を判断し, 適切な対応ができる
  • 小児救急の現場における保護者の不安に配慮ができる.
地域医療と社会資源の活用 
  • 地域の一次から二次までの小児医療を担う.
  • 小児医療の法律・制度・社会資源に精通し, 適切な地域医療を提供できる.
  • 小児保健の地域計画に参加し, 小児科に関わる専門職育成に関与できる.
患者・家族との信頼関係 
  • 多様な考えや背景を持つ小児患者と家族に対して信頼関係構築できる.
  • 家族全体の心理社会的因子に配慮し, 支援できる.
育児・
健康支援者
プライマリ・ケアと育児支援
  • Common diseasesなど, 日常よくある子どもの健康問題に対応できる.
  • 家族の不安を把握し, 適切な育児支援ができる.
健康支援と予防医療
  • 乳幼児・学童・思春期を通して健康支援・予防医療を実践できる.
子どもの代弁者 アドヴォカシー(advocacy)
  • 子どもに関する社会的な問題を認識できる.
  • 子どもや家族の代弁者として問題解決にあたることができる.
学識・研究者 高次医療と病態研究
  • 最新の医学情報を常に収集し,現状の医療を検証できる.
  • 高次医療を経験し, 病態・診断・治療法の研究に積極的に参画する.
国際的視野
  • 国際的な視野を持って小児医療に関わることができる.
  • 国際的な情報発信・国際貢献に積極的に関わる.
医療の
プロフェッショナル
医の倫理
  • 子どもを一つの人格として捉え、年齢・発達段階に合わせた説明・告知と同意を得ることができる.
  • 患者のプライバシーに配慮し、小児科医としての社会的・職業的責任と医の倫理に沿って職務を全うできる.
省察と研鑽
  • 他者からの評価を謙虚に受け止め, 生涯自己省察と自己研鑽に努める.
教育への貢献
  • 小児医療に関わるロールモデルとなり, 後進の教育に貢献できる.
  • 社会に対して小児医療に関する啓発的・教育的取り組みができる.
協働医療
  • 小児医療にかかわる多くの専門職と協力してチーム医療を実践できる.
医療安全
  • 小児医療における安全管理・感染管理の適切なマネジメントができる.
医療経済
  • 医療経済・保険制度・社会資源を考慮しつつ, 適切な医療を実践できる.

②「経験すべき症候」に関する到達目標

日本小児科学会が定めた経験すべき33症候のうち8割以上(27症候以上)を経験するようにしてください(研修手帳に記録して下さい)。

症候 1年目 2年目 修了時
体温の異常
 発熱,不明熱,低体温
疼痛
 頭痛
 胸痛
 腹痛(急性,反復性)
 背・腰痛,四肢痛,関節痛
全身的症候
 泣き止まない,睡眠の異常
 発熱しやすい,かぜをひきやすい
 だるい,疲れやすい
 めまい,たちくらみ,顔色不良,気持ちが悪い
 ぐったりしている,脱水
 食欲がない,食が細い
 浮腫,黄疸
成長の異常
 やせ,体重増加不良
 肥満,低身長,性成熟異常
外表奇形・形態異常
 顔貌の異常,唇・口腔の発生異常,鼠径ヘルニア,臍ヘルニア,股関節の異常
皮膚,爪の異常
 発疹,湿疹,皮膚のびらん,蕁麻疹,浮腫,母斑,膿瘍,皮下の腫瘤,
  乳腺の異常,爪の異常,発毛の異常,紫斑
頭頸部の異常
 大頭,小頭,大泉門の異常
 頸部の腫脹,耳介周囲の腫脹,リンパ節腫大,耳痛,結膜充血
消化器症状
 嘔吐(吐血),下痢,下血,血便,便秘,口内のただれ,裂肛
 腹部膨満,肝腫大,腹部腫瘤
呼吸器症状
 咳,嗄声,喀痰,喘鳴,呼吸困難,陥没呼吸,呼吸不整,多呼吸
 鼻閉,鼻汁,咽頭痛,扁桃肥大,いびき
循環器症状
 心雑音,脈拍の異常,チアノーゼ,血圧の異常
血液の異常
 貧血,鼻出血,出血傾向,脾腫
泌尿生殖器の異常
 排尿痛,頻尿,乏尿,失禁,多飲,多尿,血尿,陰嚢腫大,外性器の異常
神経・筋症状
 けいれん,意識障害
 歩行異常,不随意運動,麻痺,筋力が弱い,体が柔らかい, floppy infant
発達の間題
 発達の遅れ,落ち着きがない,言葉が遅い,構音障害(吃音),学習困難
行動の間題
 夜尿,遺糞
 泣き入りひきつけ,夜泣き,夜驚,指しゃぶり,自慰,チック
 うつ,不登校,虐待,家庭の危機
事故,傷害
 溺水,管腔異物,誤飲,誤嚥,熱傷,虫刺
臨死,死
 臨死、死

③「経験すべき疾患」に関する到達目標

日本小児科学会が定めた経験すべき109疾患のうち、8割以上(88疾患以上)を経験するようにしてください(研修手帳に記録してください)。

新生児疾患,先天異常 感染症 循環器疾患 精神・行動・心身医学
 低出生体重児  麻疹, 風疹  先天性心疾患  心身症,心身医学的問題
 新生児黄疸  単純ヘルペス感染症  川崎病の冠動脈障害  夜尿
 呼吸窮迫症候群  水痘・帯状疱疹  房室ブロック  心因性頻尿
 新生児仮死  伝染性単核球症  頻拍発作  発達遅滞,言語発達遅滞
 新生児の感染症  突発性発疹 血液,腫瘍  自閉症スペクトラム
 マス・スクリーニング  伝染性紅斑  鉄欠乏性貧血  AD/HD
 先天異常,染色体異常症  手足口病、ヘルパンギーナ  血小板減少 救急
先天代謝,代謝性疾患  インフルエンザ  白血病,リンパ腫  けいれん発作
 先天代謝異常症  アデノウイルス感染症  小児がん  喘息発作
 代謝性疾患  溶連菌感染症 腎・泌尿器  ショック
内分泌  感染性胃腸炎  急性糸球体腎炎  急性心不全
 低身長,成長障害  血便を呈する細菌性腸炎  ネフローゼ症候群  脱水症
 単純性肥満,症候性肥満  尿路感染症  慢性腎炎  急性腹症
 性早熟症,思春期早発症  皮膚感染症  尿細管機能異常症  急性腎不全
 糖尿病  マイコプラズマ感染症  尿路奇形  虐待,ネグレクト
生体防御,免疫  クラミジア感染症 生殖器  乳児突然死症候群
 免疫不全症  百日咳  亀頭包皮炎  来院時心肺停止
 免疫異常症  RSウイルス感染症  外陰膣炎  溺水,外傷,熱傷
膠原病,リウマチ性疾患  肺炎  陰嚢水腫,精索水腫  異物誤飲・誤嚥,中毒
 若年性特発性関節炎  急性中耳炎  停留精巣 思春期
 SLE  髄膜炎(化膿性,無菌性)  包茎  過敏性腸症候群
 川崎病  敗血症,菌血症 神経・筋疾患  起立性調節障害
 血管性紫斑病  真菌感染症  熱性けいれん  性感染,性感染症
 多型滲出性紅斑症候群 呼吸器  てんかん  月経の異常
アレルギー疾患  クループ症候群  顔面神経麻痺 関連領域
 気管支喘息  細気管支炎  脳炎,脳症  虫垂炎
 アレルギー性鼻炎・結膜炎  気道異物  脳性麻痺  鼠径ヘルニア
 アトピー性皮膚炎 消化器  高次脳機能障害  肘内障
 蕁麻疹,血管性浮腫  腸重積  筋ジストロフィー  先天性股関節脱臼
 食物アレルギー  反復性腹痛  母斑,血管腫
 アナフィラキシー  肝機能障害  扁桃,アデノイド肥大
 鼻出血

④「習得すべき診療技能と手技」に関する到達目標

日本小児科学会が定めた経験すべき54技能のうち、8割以上(44技能以上)を経験するようにしてください(研修手帳に記録してください)。

身体計測 採 尿 けいれん重積の処置と治療
皮脂厚測定 導 尿 末梢血液検査
バイタルサイン 腰椎穿刺 尿一般検査、生化学検査、蓄尿
小奇形・形態異常の評価 骨髄穿刺 便一般検査
前弯試験 浣 腸 髄液一般検査
透光試験(陰嚢,脳室) 高圧浣腸(腸重積整復術) 細菌培養検査、塗抹染色
眼底検査 エアゾール吸入 血液ガス分析
鼓膜検査 酸素吸入 血糖・ビリルビン簡易測定
鼻腔検査 臍肉芽の処置 心電図検査(手技)
注射法 静脈内注射 鼠径ヘルニアの還納 X線単純撮影
筋肉内注射 小外科,膿瘍の外科処置 消化管造影
皮下注射 肘内障の整復 静脈性尿路腎盂造影
皮内注射 輸血 CT検査
採血法 毛細管採血 胃 洗 浄 腹部超音波検査
静脈血採血 経管栄養法 排泄性膀胱尿道造影
動脈血採血 簡易静脈圧測定 腹部超音波検査
静脈路
確保
新生児 光線療法
乳児 心肺蘇生
幼児 消毒・滅菌法

3-2. 各種カンファレンスなどによる知識・技能の習得 [整備基準:13]

当プログラムでは様々な知識・技能の習得機会(教育的行事)を設けています。


京都大学医学部附属病院での知識・技能の習得機会(教育的行事)

  • 朝の申し送り(毎日):指導医を含むチームで夜間の申し送りを行い、当日予定する検査や処置の計画を確認する。
  • 夕の申し送り(毎日):指導医を含むチームで一日の申し送りを行い、外来・入院患者の状況、検査結果、治療方針等について検討し、フィードバックを受ける。
  • 総回診(週1回):担当患者について教授をはじめとした指導医陣に報告してフィードバックを受ける。また、担当以外の症例を知ることで、小児の疾患について幅広い見識を深める。
  • 小児科症例検討会・勉強会(週1回):診断・治療困難例、臨床研究症例などについて専攻医が報告し、指導医からのフィードバック、質疑などを行う。また、小児科に関わる様々な臨床トピックについて専門家から講義を受け、実際の症例に基づいて討論したり、学会報告のための予行演習や論文指導などを行ったりする。
  • 各診療グループカンファレンス・他科との合同カンファレンス(毎日):各診療グループにおいて、週1回程度の頻度で、グループ内および関連他科との様々な合同カンファレンスを行っている。これにより小児の幅広いサブスペシャリティーの最新の知見や診断・治療困難例などについての知見を広め、また関連他科との連携について学ぶ。
  • 周産期合同カンファレンス(週1回):産科、NICU、関連診療科と合同で、超低出生体重児、手術症例、先天異常、死亡例などの症例検討を行い、臨床倫理など小児科専門医のプロフェッショナリズムについても学ぶ。
  • CPC・死亡症例検討会(不定期):難病・稀少症例の病理診断や死亡例・剖検例の診断や治療の経過を振り返り、治療内容や問題点などを再検討する。
  • ふりかえり(月1回):指導医と一対一またはグループで1か月間の研修をふりかえり、研修上の問題点や悩み、研修環境、研修の進め方、今後のキャリア形成などについて話し合いを行う。
  • 指導医との個別相談・臨床能力評価(年2回):年2回、指導医と一対一で研修をふりかえり、研修上の問題点や悩み、研修環境、研修の進め方、今後のキャリア形成などについて話し合いを持つ。またMini-CEXによる臨床能力評価を行い、フィードバックを受ける。指導医は研修手帳などをもとに到達度評価を行い、研修管理委員会に指導報告書を提出する。
  • (10) 多職種による360°評価(年1回):指導医だけでなく、医療に関わる多職種からの評価を受け、チーム医療を推進する上で必要なリーダーシップやマネージメント能力などについてのフィードバックを受ける。

連携施設・関連施設での知識・技能の習得機会(教育的行事)

研修内容は各施設によって異なりますが、当研修プログラムの最低要件を設定しています。
京都大学医学部附属病院で開催される教育的行事への参加が可能な他、論文指導を受けることを義務づけています。


  • 朝カンファレンス(毎日):指導医を含むチームで夜間の申し送りを行い、当日予定する検査や処置の計画を確認する。
  • 夕カンファレンス(毎日):指導医を含むチームで一日の申し送りを行い、外来・入院患者の状況、検査結果、治療方針等について検討し、フィードバックを受ける。
  • 一般外来、予防接種・乳幼児健診:一般小児科・地域医療の考え方について実践し、指導医から指導やフィードバックを受ける。これにより、専門研修期間を通じて小児科医として独立した医療を行う基礎を形成する。
  • 症例検討会(毎週):受け持ち患者等の問題点や難病・稀少疾患などについて、症例検討を行い、治療方針等について検討する。症例検討では、医学的検討のみならず、社会的背景や医療倫理の観点からも検討を行い、適切な指導やフィードバックを受け、小児科医として必要な倫理観を身につける。
  • ふりかえり(月1回):指導医と一対一またはグループで1か月間の研修を振り返り、研修場の問題点や悩み、研修環境、研修の進め方、今後のキャリア形成などについて話し合いを行う。
  • 指導医との個別相談・臨床能力評価(年2回):年2回、指導医と一対一で研修をふりかえり、研修上の問題点や悩み、研修環境、研修の進め方、今後のキャリア形成などについて話し合いを持つ。またMini-CEXによる臨床能力評価を行い、フィードバックを受ける。指導医は研修手帳などをもとに到達度評価を行い、研修管理委員会に指導報告書を提出する。
  • 多職種による360°評価(年1回):指導医だけでなく、医療に関わる多職種からの評価を受け、チーム医療を推進する上で必要なリーダーシップやマネジメント能力などについてのフィードバックを受ける。

3-3. 学問的姿勢 [整備基準:6, 12, 30]

当プログラムでは、3年間の研修を通じて科学的思考、生涯学習の姿勢、研究への関心などの学問的姿勢も学んでいきます。


  • 受持患者などについて、常に最新の医学情報を吸収し、診断・治療に反映できる。
  • 高次医療を経験し、病態・診断・治療法の臨床研究に協力する。
  • 国際的な視野を持って小児医療を行い、国際的な情報発信・貢献に協力する。
  • 指導医などからの評価を謙虚に受け止め、ふりかえりと生涯学習ができるようにする。

また、小児科専門医資格を受験するためには、査読制度のある雑誌に小児科に関連する筆頭論文1編を発表していることが求められます。
論文執筆には長期間の準備を要しますので、研修2年目のうちに指導医の助言を受けながら、論文テーマを決定し、投稿の準備を始めることが望まれます。

3-4. 医師に必要なコアコンピテンシー、倫理性、社会性 [整備基準:7]

コアコンピテンシーとは医師としての中核的な能力あるいは姿勢のことで、第3項の「小児科専門医の役割」に関する到達目標が、これに該当します。
特に「医療のプロフェッショナル」は小児科専門医としての倫理性や社会性に焦点を当てています。


  • 子どもを一個の人格として捉え、年齢・発達段階に合わせた説明・告知と同意を得ることができる。
  • 患者のプライバシーに配慮し、小児科医としての社会的・職業的責任と医の倫理に沿って職務を全うできる。
  • 小児医療に関わるロールモデルとなり、後進の教育に貢献できる。
  • 社会に対して小児医療に関する啓発的・教育的取り組みができる。
  • 小児医療に関わる多くの専門職と協力してチーム医療を実践できる。
  • 小児医療の現場における安全管理・ 感染管理に対して適切なマネジメントができる。
  • 医療経済・社会保険制度・社会的資源を考慮しつつ、適切な医療を実践できる。
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