膝関節・スポーツ障害

主な疾患


膝前十字靱損傷(ACL損傷)

膝靭帯の手術のなかで最も多いのがこのACL再建術です。突然の鋭い痛みとともに膝ががくっと折れて体が支えられなくなり、多くの場合腫れをきたします。靭帯を切るというと激しい接触プレーでの受傷を想像しがちですが、ジャンプでの着地や急激な方向転換で誰ともぶつかっていないのに切れてしまうケースが多いです。腫れがひけばACLが断裂したままでも日常生活は送れるようになりますが、その後続発する可能性の高い軟骨損傷を防ぐという意味で、また特に活動性の高い方では不安なくスポーツやアクティビティに参加できるという意味で、手術が勧められることがしばしあります。当院では原則的に形態・機能が受傷前の状態により近づけられる二重束再建法を採用しています。適切なリハビリを行って筋力やバランスが回復すれば、術後6から9ヵ月後にスポーツ復帰が可能です。

(左)ACLは断裂し、空虚となっている.(右)前内側のAM束と後外側のPL束を再建した。


半月板損傷

半月板は人体の関節の中で膝だけにある特異な組織で、およそ消しゴムくらいの硬さがあります。半月板には大腿骨に伝わった荷重を効率よく脛骨(すねの骨)に分散させる働きがあり関節を保護するうえで非常に大事なものですが、損傷して断片を生じるとかえって軟骨を痛めてしまう原因になったり引っかかるような疼痛をきたしたりします。半月板損傷が原因で何らかの症状をきたしていると考えられるときには手術が勧められ、引っかかっている箇所を中心に切り取る部分切除術が適応になることが多いです。

  

(左)一見正常な半月板 (真ん中)後節に断裂あり (右)部分切除した


半月板は血流が乏しい組織で、縫っても治らずまたこわれてしまうというリスクが常にあります。しかし半月板はきわめて重要な組織ですので、半月板損傷に際してはできれば半月板部分切除術ではなく縫合・修復術を選択したいところです。半月板を温存して将来膝関節が傷むのをできるだけ防ごうと、世界中がチャレンジしています。当院でも厳密に吟味した上で、可能な限り半月板縫合術を行うようにしています。

  

(左)断裂して前方まで引き出された半月板 (右)元の位置へ整復して縫合した