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アトピー性皮膚炎
| 当科では日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2008)に基づいた治療を行っています。 http://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/pdf/118030325j.pdf |
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| ○ | アトピー性皮膚炎とはどのような疾患でしょうか。 |
| 例えば、毛染めや湿布薬でかぶれると「ぶつぶつ」ができてかゆくなります。悪化したら、黄色の透明の液(=滲出液;しんしゅつえき)がでてくるようになります。このような状態を「湿疹」と呼びます。文字通りじゅくじゅくした皮疹です。 「かぶれ」のように原因がはっきりしていて、その原因さえ除去すれば速やかに治癒する湿疹もありますが、アトピー性皮膚炎は複数の要因が絡み合って慢性に経過する湿疹と言えます。そのため、基本的には湿疹に対する治療を継続することになります。 |
○ | 慢性に経過する疾患ゆえに、付き合いかたが大切になってきます。 |
| アトピー性皮膚炎の患者さんのジレンマは、「ステロイドがよく効くことは分かっているが、いつまで続けたら根本的に治るのか?」「ステロイドを使い続けたら、一生ステロイドから逃れられないのではないか?さらには、もっと治りにくくなるのではないか?」ということだと思います。そのために、ステロイドを全く使わないで「頑張って」克服しようと思って努力されている方も多いと思います。インターネット上にも「ステロイドを使わないようにしたらアトピーが治りました」という情報が氾濫しています。ここで気をつけなければならないのは、「アトピー性皮膚炎の自然軽快傾向について」「アトピービジネスについて」の2点です。 | |
| ○ | アトピー性皮膚炎は自然に軽快することもあります。 |
| アトピー性皮膚炎は自然によくなることがあります。少し環境が変わったときや、生活リズムが変わったことがきっかけでよくなることもあります。「脱」ステロイドで改善したのか、自然に軽快したのか、見極めることは難しいと思います。自然軽快したことを「脱ステロイドで改善した」と称して商業利用するケースもあります。「脱」ステロイド治療には、急速に症状が悪化するという危険性をはらんでいます。病状の悪化のために肉体的にも精神的にも疲れ果ててしまうと、人生の質が低下してしまいかねません。アトピー性皮膚炎の治療のためだけに生きている訳ではありません。自分らしく生活していくためにこそ、「適切に」ステロイドを使用する必要性があると考えています。 | |
| ○ | アトピービジネスについて。 |
| ステロイドの混入はありません、と謳って販売されてきた保湿剤や化粧品の事例が後をたちません。海外から輸入された商品や、日本で意図的に混入されて作成された商品もあります。考えてみてください。保湿剤あるいは化粧品は、基本的には、皮膚に潤いを与える目的のものであり、薬理作用がある訳ではありません。もし、それがアトピーに非常に効くとしたら、まずは疑ってかかるべきです。副作用に注意しながらステロイドを外用しているケースと違って、最初から騙されて、ステロイドの混入を知らずに使用するとしたら、より副作用が心配です。また、このような保湿剤には、通常は皮膚科医も慎重に投与しているような強力なステロイドが使用されていることが常です。なぜなら、「よく効くことにより」リピーターを増やしたいからです。非常に残念なことながら、アトピー性皮膚炎に限らず、他人の弱みにつけこんで悪質な商売をする例は枚挙にいとまがありません。被害者にならないために注意が必要です。 | |
| ○ | アトピー性皮膚炎はそのひとの個性のひとつかもしれません。 |
| 病気に意味を見いだすことは難しいかもしれません。しかし、アトピー性皮膚炎に罹患したことでより身の回りの環境に気を配って、健康的な生活を送ろうという行動を起こすかたは多くおられます。そもそも、私たちの身体は、自分たちにとって有害と思われるものを排除しようというしくみを備えています。現代では生活環境が変わって昔に比べては一見清潔なように見えて、密閉された室内では、カビやダニが繁殖しやすくなっています。カビやダニなどに全く反応しないことよりも、むしろ、少し反応してしまう程度のほうが健全なのかもしれません。アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、「ほこりっぽい環境での仕事を事務仕事に変えたら皮膚炎が改善した」と言われるかたも多く、身の回りの環境をもう一度見直してみるのも必要かもしれません。一病息災という言葉もあります。アトピー性皮膚炎であることを前向きに捉えて規則正しい生活を送るように心がけ、無理をしないで自分の身体とつきあっていくなかで、実際には、健康的な生活を手に入れるようになることもあるのです。 | |
| ○ | うまくつきあうために「皮膚科医を利用」してください。 |
| 毎日、スキンケアをしたり、薬を塗ったり、生活面で気をつけたりするのは大変なことです。時々第三者の目でみてもらいチェックしてもらうことも必要です。例えば、マラソンの選手は単に豊富な練習量さえ確保すればよいという訳ではありません。コーチや監督や様々なサポーターが選手を調整しています。選手の調子が良いときも悪いときもあり、調子が良ければ、それをうまく持続させる方法を考え、悪いときにはその理由を分析します。アトピー性皮膚炎とうまく付き合うコツはサポートしてくれるひとを探すことです。皮膚科医もその中の一人です。アトピー性皮膚炎の症状には波がありますが、調子の良い期間をできるだけ持続させるようなサポートとともに、悪化した際にはできるだけダメージを短時間で回復させるように治療法を提案します。自分自身のコーチだと思って、皮膚科医と付き合っていく発想を持ってみてください。ステロイド外用薬の適切な使用方法については皮膚科専門医であれば正しい知識を持っています。副作用をできるだけ少なくして、有効性を最大限に引き出すための使用方法については、専門医にご相談ください。 | |
| ○ | 大学病院は、地域の皮膚科専門医とも連携しています。 |
| いままでに述べてきた理由で、アトピー性皮膚炎と付き合っていくためには、できるだけ同じ医師に診察を受けることが望ましいと考えます。大学病院では、一人の医師の診察曜日が限られ、学会などで休診になることもあります。また、医師の異動もありますので、長期に亘って同じ医師が診察をすることは難しいのが現状です。京大病院は地域の皮膚科専門医と連携をとった治療を展開しています。アトピー性皮膚炎のような慢性疾患は、通院しやすく同じ医師が診察するメリットのある地域の皮膚科専門医医院のほうが治療を継続しやすいこともあるかと思います。ご希望に応じて紹介いたしますので、遠慮なく申し出てください。 | |
| ○ | 大学病院ではアトピー性皮膚炎に対する特殊な治療は行っていませんか? |
| 大学病院では非常にスタンダードな治療を提供しています。なぜなら、非常に奇抜な治療や、継続不可能な治療はこのような慢性疾患の治療にはふさわしくないからです。その意味では、地域の皮膚科医院と同様の治療となります。しかし、アトピー性皮膚炎が急に悪化した際に、入院が必要となることもあります。1ないし2週間の入院期間にて、皮膚の炎症を落ち着けるとともに自分自身で病気と付き合っていただく方法を会得していただくことを目的とします。非常につらい時期には駆け込み寺的な意義があると思います。皮膚科医院では入院設備はありませんので、その点が異なります。もちろん、普段地域の皮膚科専門医の診療を受けていても、悪化時にはこちらに入院していただいて、また改善したらもとの医院で治療を続けることが可能です。 | |
| (松村由美 2009.5.13) | |
