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乾癬はどのような病気ですか? |
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乾癬は、肘・膝・下腿・腰、頭、爪のまわりなど、体の中でも特に摩擦や接触など刺激の多い皮膚に、厚くがさがさした皮膚(鱗屑:りんせつ)がつく鮮紅色の発赤(紅斑)が続く皮膚病です。 良くなったり悪くなったり(増悪と寛解)の波を繰り返しながらも、完全に治るには長い時間のかかる、時には生涯にわたることもあります。男性に多く、女性の2倍程の頻度で発症します。日本乾癬学会に登録されている患者さんの数は3万人を超えますが、実際にはその数倍の乾癬患者が日本にいると考えられます。欧米にはさらに多く、総人口の約2-3%が乾癬患者であると推定され、日本でも戦後、乾癬患者さんの数はしだいに増えています。
乾癬は自分自身のリンパ球が皮膚・中でも一番外側の細胞である角化細胞を攻撃し障害する免疫反応により、皮膚が発赤し厚くなり、角層がバラバラと落ちる鱗屑(いわゆるアカ・フケですが、決して不潔なものではありません)とよばれる症状が生じます。乾癬の皮膚を顕微鏡で見ると、リンパ球や好中球と呼ばれる白血球が多数、皮膚に集まってきています。この白血球が表皮に作用し、健康な皮膚はおおよそ5−10層くらいの表皮が、乾癬では20層以上ほどに厚くなり、角層もそれにつれて厚くなる様子が観察されます。このように乾癬は、自分の皮膚にたいして自分のリンパ球が少し過剰に反応し攻撃することで生じる、免疫と皮膚の両面の病気です。
以下は少々専門的になりますが、最近の免疫学的な研究では、リンパ球の中の攻撃型のTリンパ球と呼ばれる細胞がその攻撃の主体で、中でもTh1やTh17とよばれる細胞が乾癬では優位とされます。この活性化されたTリンパ球が分泌する腫瘍壊死因子(TNF)やインターフェロンガンマなどの刺激により、角化細胞の分裂が亢進し、表皮が肥厚し角層も厚くなり、毛細血管が拡張して皮膚が紅くなります。
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どのような経過をたどりますか。 |
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発症に至るメカニズムはこのように、少しずつ解明されているのですが、では何故そもそも、自分のリンパ球が自分の皮膚を攻撃するのかとなると、なかなか理解に至っておりません。乾癬は生まれたばかりの赤ん坊に生じることも、80歳を超えて始めて生じることもありますが、多くは20-40歳代に発症することが多いようです。はっきりとした遺伝性の疾患ではありませんが、白人の乾癬患者は遺伝性が高く、日本人でも家族の中で同じように乾癬を発症することも見受けられます。どんな人がなりやすいのか、いつ治るのか、あるいはどんな時に悪くなるのかなど、患者さん自身の将来にわたる乾癬の予後などを知る手がかりは乏しいのが現状です。
現在では乾癬という病気自体で亡くなることは非常にまれですが、完全に乾癬の皮疹が出ないようにしてしまうことには、非常に難しいものがあります。乾癬の治療にも他の多くの皮膚病と同様に時間がかかり根気が必要です。
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乾癬には関節症状を伴うものや膿を伴うものなどいくつかのタイプがあります。 |
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乾癬には、一番多い尋常性乾癬、関節の痛くなる関節症性乾癬、体全体が真っ赤になる乾癬性紅皮症、皮膚に膿がたまる膿疱性乾癬、あるいは子供に多い滴状乾癬など、いくつかのタイプがあり、発症の時期や皮膚の症状、皮疹の広がり具合、あるいは合併症の有無などから診断を考えます。また乾癬が、患者さん自身の皮膚の面積の何パーセント位に及ぶのかなどを、重症度の目安とします。一般にはおおよそ皮膚の10%を超える範囲におよぶ乾癬を重症と考えます。
乾癬に合併しやすい症状には、関節痛・関節の変形があります。手指の関節や手首・頸部・肩関節などいろいろな部位の関節が腫れて痛くなり、関節リウマチと誤解されることもあります。
また手や足の爪が白く脆く変形が生じ、よく水虫と間違われがちですが、これも乾癬の症状であることがしばしばです。勿論、乾癬の患者さんが水虫になることもあります。
乾癬の診断を確定するためには病歴を聞きて、皮膚の状態を観察し、時には皮膚の病理診断(生検)が必要になります。 また乾癬患者さんは、しばしば高脂血症(コレステロールや中性脂肪の増加)や高血糖・高尿酸血症(糖尿や痛風に至ることもあります)などの、所謂、中年期以降のメタボリック症候群に罹患しやすい傾向があります。時には採血検査でそれらの状態の把握も必要となります。
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どのような治療になるのですか。 |
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現在は乾癬という病気自体で亡くなることは非常にまれで、膿胞性乾癬という特殊な乾癬の患者さんが疾患をコントロールしきれずに亡くなることが稀にあるのみです。このように乾癬自体は患者さんの生命予後に直接関与はしない慢性で限局性の疾患であることから、乾癬自体の重症度に加え、個々の患者さんの生活環境、治療に対すモチベーションなどの背景を加味した上で、治療法を選択することになります。
例を挙げると外用薬と紫外線治療は比較的、副作用も少なく治療費も安いですが、自分でこまめに塗らないことには効果はありませんし、紫外線治療には少なくとも週に1−2度の通院が必要となります。内服薬は手間がかかりませんが、比較的高価で、定期的な副作用のチェックも必要となります。外用治療としては副腎皮質ステロイド剤、活性型ビタミンD3製剤、保湿剤などを使用します。昔より適度に太陽に浴びると乾癬が良くなることが知られており、現在では各種の波長の紫外線を使用した治療を行います。より重症の乾癬では免疫抑制剤や角化抑制剤の内服薬などを使用することもあります。ごく最近では、先に述べた腫瘍壊死因子(TNF)やインターロイキンなど乾癬を悪化させる因子を直接抑える注射や点滴の薬が開発されつつあります。これらの治験が終了し厚労省より認可されますと、重症の尋常性乾癬や関節症性乾癬に対して飛躍的な治療効果がもたらされると思われます。
しかしここで重要な点は、従来の乾癬治療薬も、この新しい注射薬も、残念ながら決して永続的な乾癬の根治や将来の乾癬の寛解をもたらすものではありません。今日の乾癬の治療は、今出ている乾癬の皮疹を軽快させることしかできません。それも考慮に入れての乾癬治療の選択となります。
なお、乾癬の中で重症型である「膿疱性乾癬」に関しては、厚労省の稀少難治性疾患に認定されており、医療費の補助をうけることが可能な場合もあります。その他の乾癬にはそのような措置はありません。
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(高橋健造 2009.5.22) |