第1回京大病院iPS細胞・再生医学研究会を開催
1月15日(金)に、第1回京大病院iPS細胞・再生医学研究会を芝蘭会館にて開催しました。同研究会は、京大病院におけるiPS細胞、ES細胞及び体性幹細胞等を用いた再生医学研究の向上並びに成果の普及を図り、ひいては医療の発展に貢献することを目的として昨年11月に設置したものです。第1回目となる今回の研究会では、iPS細胞研究センターの高橋和利先生ほかを招き講演が行われ、学内外から180名余りの参加がありました。
研究会では、中村孝志病院長の開会挨拶の後、講演が行われました。
まず、青山朋樹准教授(医学研究科人間健康科学系専攻)より、副腎皮質ステロイドの副作用で生じる大腿骨頭壊死に対し、骨髄間葉系幹細胞を用いた移植治療の臨床試験が順調に進んでいる現状について報告がありました。
続いて、井上治久特定拠点准教授(iPS細胞研究センター)より、治療法のない遺伝性の筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対して、病因タンパク質の転写抑制を指標にiPS由来のアストロサイトを用いて低分子化合物のスクリーニングを進める治療法開発の戦略について解説がありました。
本院の中尾一和教授(京大病院内分泌・代謝内科)からは、ES細胞、iPS細胞から脂肪細胞や血管内皮細胞への分化方法を確立し、脂肪萎縮性糖尿病患者への細胞移植医療を目指している現状と、糖尿病克服を見据えたiPS細胞の膵β細胞への分化研究への取り組みについて紹介がありました。
また、平家俊男准教授(京大病院小児科)より、京大病院でのヒト疾患特異的iPS細胞作成、利用における倫理面に配慮した臨床研究手続きについて概説がありました。
引き続き、高橋和利講師(iPS細胞研究センター)より、iPS細胞の医療応用の大きな可能性とともに問題点を述べ、細胞移植などの医療に使える安全性の高いiPS細胞の研究の新たな進展について講演がありました。
最後に、三嶋理晃副病院長より閉会挨拶が行われ、閉会となりました。
開会挨拶を行う中村病院長
(産経新聞提供)
高橋講師による特別講演