医療安全(患者安全)とは

      日本では「医療安全」と言われますが、英語圏では、「患者安全」が一般的です。米国では、「医療ミス」は、心臓疾患、がんに次いで死因の第3位※である、と言われています。驚かれるかもしれませんが、根拠に基づいて算出された数字です。本来、良くなることを目指して医療を受ける方々が、医療によって望まない害を受け、時に死亡に至っている現状を我々は認識し、その上で、望まない事象を回避する策を取らなければなりません。
      患者安全に取り組む必要性は、規模の大小にかかわらず全ての医療機関に共通します。一人ひとりの医療者が単に注意深く業務を行うことでは回避できず、病院がうまく機能する医療システムを作り上げる必要があります。そのための管理体制を整えること、人を育てることが、患者安全を支える2つの柱となります。


    ※Medical error-the third leading cause of death in the US. BMJ 2016




      病院長は、患者安全のための管理体制を整える責任者です。一方で、病院長は、診療体制、健全な財務体制の確保にも取り組む必要があり、大学病院では、教育や研究の責任も負います。これらの体制は相互に関連し、ときに、問題解決の方策が相反する状況になることがあります。患者の安全は重要ですが、そこに資源を投入するあまり、病院の財務、診療、研究体制を阻害することも問題です。病院長は、医療安全管理部門から提供される情報を、他の部署からの情報と併せて考慮し、運営の方針を決定します。
      病院長に的確な情報を提供するために、医療安全管理部門は、病院の抱える安全上の課題を明確にしなければなりません。医療安全管理部門は、医療全般、医薬品、医療機器、臨床研究における現場の状況を認識するための委員会組織を有しています。各委員会が指摘した問題点を医療安全管理委員会で検討します。
      また、医療安全管理部内には、実務を担当する部署として、「医療安全管理室」と「高難度医療・未承認医薬品等管理室」を設置しており、患者安全の観点から、現場の業務の状況を監視(モニタリング)しています。
      さらに高度医療に取り組む医療機関としての特徴が、臨床研究安全管理小委員会です。新規医療技術の開発は、京大病院のミッションです。提供する医療の有効性は別の院内体制にて評価され、医療安全管理部門は、安全に研究を提供できる仕組みの整備・運用状況を監視・検証しています。




    図:京大病院における医療安全管理の組織体制





         医療安全に関する基本方針


         医療に関する安全管理の指針