麻酔学は単に手術の麻酔にとどまらず、集中治療や疼痛治療にまで広い裾野を持っています。当教室はこの領域の主だったトピックを広くカバーしています。それぞれの研究室がどのような研究をしているか概説します。興味のある方はE-mailでどうぞ。

また京都大学大学院医学研究科・侵襲反応制御医学講座・麻酔科学分野のH18年入学の大学院生は終わりましたが引き続き研究生の募集は行っています。またH19年度入学の大学院生の募集要項は9月頃発表となります。

大学院に関する当講座の考え方はここでどうぞ

 

研究テーマ

・オピオイドとその受容体
・ストレス反応
・麻酔薬の作用・機序
・活性酸素
細胞の低酸素感知機構の分子生物学的解析
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オピオイドとその受容体

・今や臨床の研究室でも分子生物学は当たり前。麻酔科でもオピオイド受容体(モルヒネなどの麻薬および内因性オピオイドの受容体。ミュー、デルタ,カッパの3種類あります)遺伝子のクローニングでその歴史が始まりました。現在はその遺伝子を使って、麻薬性鎮痛薬の問題点である耐性、依存性のメカニズムに迫ろうと研究しています。電気生理学的な方法(パッチクランプというやつです)も場合によっては活用しています。興味ある人は当研究室をのぞいてみませんか?

ストレス反応

・麻酔をかけると患者は動かないし記憶もないので、手術に対して体が全く反応しなくなるかのように思われるかもしれませんが、実は普段ではあり得ないほどの大変なストレス反応が起こっています。私たちの研究室ではこのストレス反応が麻酔薬や麻酔手技によって、どのように修飾されるのか、ストレス反応フリーの麻酔は可能なのかといった、臨床的側面を研究しています。

活性酸素

・我々の研究グループは「活性酸素制御の化学とその生物学的応用」を研究テーマにしています。化学の面では、京都大学理工学エネルギー研究所牧野教授との共同研究で、電子スピン共鳴を用いた活性酸素の検出や、新たな活性酸素制御剤の開発を行っています。生物学的応用面では、脳や肝の低酸素傷害、虚血再灌流傷害ならび薬物傷害における活性酸素の役割の解明と、活性酸素制御剤を用いた傷害の緩和を目的に、培養細胞や小動物を用いた実験を行っています。また、血液・腫瘍内科との共同研究で、白血球細胞の機能におよぼす活性酸素の影響も検討しています。

麻酔薬の作用・機序

・なぜ麻酔がかかるのか、つまり麻酔薬がどこにどうやって作用し、その結果脳内の神経回路にどのような変化が起こって麻酔作用が現れるのか、このような麻酔の本質に関わるところが残念ながら現在のところほとんどわかっていません。そこで当研究室では、この「脳内の神経回路にどのような変化が起こって麻酔作用が現れるのか」に焦点をあてて研究を行っています。具体的には、生きたラットを用いて脳内の各種ニューロトランスミッターのリリースを測定することにより、そのニューロンの活性の変化を調べています。たとえば、大脳皮質にニューロン末端があるコリン作動性ニューロンは、揮発性麻酔薬やバルビツレートによりその活性が著しく低下することを明らかにしてきました。逆に笑気やケタミンではコリン作動性ニューロンの活性が亢進することも発見しました。このことから揮発性麻酔薬やバルビツレートと、笑気やケタミンとでは同じ麻酔薬といっても、その作用機序が全く異なっていることが分かります。このような研究を通じて麻酔作用の機序の解明に迫りたいと思っています。

・全身麻酔薬がどのような機序で効いているのか?GABA受容体やNMDA受容体にきいているなどと色々な説はありますがまだ本当の所は誰にもわかっていません。我々の研究室ではある種のカリウムチャネルがその一端を担っているのではないかと、麻酔薬の作用をカエルの卵に発現させたチャネルで分子生物学手法を用いて調べています。

・この研究室では in vivoで電気生理学的手法を使って京大麻酔科の伝統的な脳波をはじめ、脊髄後角細胞や体性交感神経性反射に対する各種麻酔薬の作用を調べています。分子生物学グループと違って派手さはありませんが地道にやっています。研究室の乗りは面倒見のいい体育会系で、もちろん女性希望者も大歓迎です。

・われわれの研究室では主に血管平滑筋や血小板を用いて麻酔薬等の術中使用薬物の血管平滑筋や血小板に対する影響やその作用機序の研究が精力的に行われ、かなり多くのの成果をあげている。作用機序の解明には薬理学的手法のみならず、電気生理学的、分子生物学的、細胞生物学的な種々の方法を用いている。教官、大学院生だけでなく、他の病院からも多数の医師が研究に参加している。

細胞の低酸素感知機構の分子生物学的解析

・詳しくはこのblogを参照してくださいませ。