全自動CD34陽性細胞分離装置 ヒトの全遺伝情報を読み取るゲノム計画もほぼ終了し、その成果を実際の治療に応用する方向に医学研究の重点が移っています。なかでも培養操作を受けたり、遺伝子改変を施された種々のヒト細胞や組織を治療用としてもちいる可能性がきわめて大きくなってきております。実際、皮膚細胞はすでに臨床応用されていることは御存知だと思います。これらはいずれも細胞治療 (Cell Therapy:セルセラピー) と呼ばれるものです。細胞治療とは、輸血、造血幹細胞移植、細胞免疫療法、遺伝子治療、再生治療など、ヒト細胞を輸注、移植することにより行う治療法の総称であります。

 輸血は細胞治療の原型です。そして、骨髄移植に代表される造血幹細胞移植は細胞治療の第1世代であるとも言えます。こういった細胞をもちいる治療法の開発には従来の医薬品とは異なり細胞プロセッシングというヒト細胞の調製、培養、加工の行程が必要であります。


骨髄細胞の分離、膵臓細胞の分離機器  今後の先端医療開発のためには、これらの治療にもちいる細胞や組織を如何にして安全に調整し、その品質を保証するかということがきわめて重要な課題となります。品質を保証するプロセッシングを受けた細胞を用いることにより、研究の成果をいかにして臨床応用のレベルに持って行くかと言う探索的臨床試験研究(トランスレーショナル・リサーチ)の安全性と信頼性が高まり、ひいては患者さんにあたらしい治療法を早く提供するという意味で医療倫理に直結すると我々は考えております。

 京都大学分子細胞治療センターは、GMP準拠の細胞プロセッシングが行えるように設計され、最新の設備を誇るものであります。京都大学輸血細胞治療部では、このセンターを利用して、各臨床科、中央診療部門や研究科、各研究所の部門と一致協力し、治療用の安全で高品質の細胞を準備し、それをもちいて現時点では治療のむずかしい、がんなどの病気に対するあたらしい治療法を開発してゆく予定です。



京都大学医学部附属病院 分子細胞治療センター