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中枢神経グループ

代表: 岡田 知久山本 憲

 中枢神経画像診断グループの構成メンバーは、スタッフ4名( 岡田 知久山本 憲伏見 育崇岡田 務)、 大学院生9名( 奥知 左智[休学]柿木 崇秀[留学]坂田 昭彦百々 俊樹山内 盛敬大久保 豪祐山本 貴之日野田 卓也福富 光 )です。 PET・SPECTやMR・CTを含めた包括的な脳・脊髄の画像診断の研修・研究とともに、 新たな撮像法や可視化手法の研究と臨床応用開発を行なっています。

 中枢神経系の疾患は、 腫瘍・血管障害・脱髄・変性疾患・代謝性疾患 ・感染症・外傷・先天奇形など多岐にわたるため、 脳神経外科・神経内科をはじめ、 外来がん診療部・小児科・放射線治療科・呼吸器外科・呼吸器内科・ 耳鼻科・眼科 ・血液腫瘍内科・内分泌代謝内科・精神科・ 肝胆膵移植外科・老年内科 ・産科など多くの診療科からの画像診断依頼に応えています。 京大病院は多様な症例が数多く来院されます。 当科では院内のほぼすべての中枢神経病変の画像診断に関わることができます。 さらに毎週その週の症例を確認するとともに、 毎月過去の症例を遡ってReviewすることで記憶の定着、知識の整理をはかっています。

 画像診断の領域では、撮像装置や技術の進歩とともに、次々と新たな撮像法が生まれています。 これらを活用して病態をより良く捉え、患者さんの役に立ち、負担を減らすことも放射線科の重要な役割です。 その点では診療と臨床研究とは不可分な関係にあり、数多くの研究も進めています。 たとえば、下記MR画像の違いがわかりますか?

sequences

MPRAGE  脳機能画像研究でよく使われてきた撮像法ですが、 近年の高磁場3T-MRI装置普及に伴い、T1強調画像(T1WI)として臨床でも多く使われるようになっています。 3T-MRIではT1WIのコントラストが低下する (Fushimi et al. 2008; Kawahara et al. 2010)ため、 反転パルス(Inversion Recovery: IR pulse)を用いて灰白質・白質のコントラストを上げるとともに、 3次元(3D)撮像により多方向から観察可能としたものです。 加齢に伴う脳萎縮やアルツハイマー病での海馬などの萎縮の評価やその他疾患での 器質変化の検出にも活用されています。

MPRAGE Application

 これは慢性疲労症候群患者さんに於いて、画像により捉えられる器質疾患があるかを、MPRAGE 画像を処理して調べたものです。 その結果、健常者と比較して両側前頭葉で萎縮が生じている事がわかりました(Okada, et al. 2005)。

DIR  DIR とは Double Inversion Recovery 法により撮像した画像です。 MR 開発当初から T2強調画像(T2WI、下図左)が病変検出に使われてきましたが、 これに反転パルス(IR pulse)を一回使って脳脊髄液の高信号を下げ、 病変を検出しやすくしたのが FLAIR(Fluid-Attenuated Inversion Recovery)法(下図中央)です。 いわばこれは Single IR 撮像法の一つです。上述の MPRAGE もこの範疇にはいります。 さらに一歩進んで、白質の信号も抑制したのが DIR 法(下図右)です。 これにより白質や皮質の病変がより分かりやすくなります。

DIR

 さて、ではこの新しい撮像法をどのように臨床に応用しますか?

DIR Application

 左図は側頭葉てんかん患者の画像です。違いがわかりますか? T2WI や FLAIR で両側側頭葉白質を比較すると、大きな信号差はありませんが、 向かって左側で白質量が少なく、萎縮していることはわかります。 これを DIR でみると、白質が淡く高信号を示しており、病変の広がりを検出できます。 これを Anterior Temporal Lobe Abnormal Signal ("ATLAS") と呼んでいます (Morimoto et al. 2013)。

DTI  DTI では脳組織内の水拡散 (Diffusion) による信号変化・コントラストから、 白質内の神経線維束の状態を計測したり、神経路を描出することができます。

DTI

 上図は一見、左が T1WI、中央が FLAIR です。 実はそれぞれ、FA (fractional anisotrophy) と DWI (diffusion-weighted image) の画像です。 DTIの進化により、非常に高精細な撮像が可能となり、 上図右のように、皮質下白質どうしを繋ぐ白質線維束の描出までもが可能となっています。 詳細な評価は、性や加齢性変化などにも活用されつつあります。

SWI  SWIは出血や石灰化などで生じる局所磁場の乱れに鋭敏な撮像法です。 MR 装置では強力で均一な磁場を活用して体の中を観察しますが、 出血や石灰化があると、局所の磁場が乱れて、信号が低下します。

SWI Application

 脳腫瘍患者さんの画像です。左側が造影後のT1WIで、比較的均一な造影効果が認められます。 しかし右側の SWI ではその内部に点状の低信号があり、小さな出血性変化が多数生じていることがわかります。 こうした特徴に着目することで、造影剤を使用しなくてもリンパ腫と神経膠芽腫との鑑別にある程度役立ちます。

APT  APT (Amide Proton Transfer) 撮像法は造影剤を使用することなく、腫瘍の悪性度を推定できる方法です。 自由水とは周波数がわずかに異なる(+3.5ppm)腫瘍内のアミド基の水素原子にエネルギーを与えて、それが自由水の水素原子と置換して、画像信号が低下する現象を利用しています。

APT Application

 上段が造影後のT1WI、下段がAPT画像です。 左の腫瘍は造影されず、APTでもはっきりしません。 右の腫瘍は辺縁部を中心に造影され、APTでも高値を示しています。 APT画像によって、造影剤を使わなくても悪性度を推定できる場合が多いのです。

ASL  ASL (Arterial Spin Labeling) 撮像法は造影剤や放射性薬品の注射なしで脳血流を観察できる方法です。 脳血管障害や脳腫瘍、さらには認知症での血流低下などざまざまな場面で活用できます。 下図は左内頚動脈起始部のプラークによる狭窄症例です。 左から MRA、ASL、IMP-SPECT(脳血流)画像です。 上段の術前画像では左内頚動脈から末梢が描出されていません。 そのため ASL では左中大脳動脈領域で血流が低くなっています。 これは IMP-SPECT 画像でも確認できます。 術後の下段画像では、左内頚動脈が描出されるようになっています。 ASL画像では左MCA領域で血流が増加しており、IMP-SPECT画像でも確認されます。 ASL画像は美しくないですって?これは1分間の撮像で全脳の血流を見たものです。 単位時間あたりのパフォーマンスは最高です。

ASL

ASL は繰り返して撮像可能なので、 例えば脳出血後に起こる血管攣縮による血流変化も頻回に観察して、 発症をいち早く捉えることも可能です (Aoyama, Fushimi et al. 2012)。

fMRI  現在 functional MRI は術前の言語機能局在検査などに広く使われるようになっています。 ただし、必ずしも状態の良くない患者さんに MR 装置のなかで課題を行なってもらわなくてはならないので、うまく実施できない場合もあります。 ところが最近、 MR 装置の中で 5~10分間じっと寝ているだけで脳領域間の連関がわかる、という報告が増えています。 DTI で見たように、脳領域間は互いに繋がっているので、同期した活動が fMRI の信号変化として捉えられるものです。 そのパターンによって認知症を診断する可能性なども検討され始めています。

fMRI Application

 左は fMRI撮像音を変化させた時に生じる聴覚野の活動です (Okada et al., 2005)。 その血流ピーク時間を年齢ごとに並べると、右図のように徐々に延長しているのがわかります (Okada et al., HBM 2003 abstract)。 血管の加齢性変化を見ているのではないかと考えています。

FSBB  Flow-Sensitive Black-Blood(FSBB)撮像法は血管を黒く描出するものです。 通常の MRA では白く描出しますが、その逆になります。 利点としては、通常のMRAよりも細い血管を描出できる点ですが、 欠点は、同じように信号が低下する静脈や出血、石灰化との区別が難しい点です。

 下図は造影CT検査で基底核穿通動脈枝を描出したものです。 左の方と右の方は同年代です。左の方は動脈枝が平滑に末梢まで描出されていますが、右の方は曲がりくねって末梢までは描出されません。 どうしてこうした変化が生じるのでしょうか?

CT-Angiography

 じつは左の方は血圧が正常ですが、右の方は高血圧の方です (Gotoh et al., 2012)。 生活習慣病は怖いとは頭では理解していますが、こんなふうに差がみえると、自分なら必ず治療を受けたいと思いませんか?
 ただし造影CT検査では、被曝と造影剤を使わなくてはならないので、検診のように検査をするのは難しいです。 そこでFSBB撮像法の出番です。下図はもやもや病の患者さんですが、拡張した基底核穿通動脈枝(もやもや血管)が明瞭に描出されています。

FSBBB Application

 さまざまな画像診断技術を適切に導入して活用することで、 病気の早期診断とともに、病気を予防できるようになると良いと考えています。

 こうした研究は勉強もかねて診療を手伝ってもらっている大学院生を中心にすすめてもらっています。 可能な限り研究成果をあげて欲しいので、 研究論文はできるだけ大学院生に筆頭著者で執筆してもらっています。 研究計画とともに英語論文の書き方の指導にも力を入れています。 最終学年になる頃には、自分で計画して実行、独力で英語論文を仕上げることができるようになってもらえるのが目標です。

 大学院卒業後の留学先としては、 フランスのボルドー大学・放射線科(金柿光憲・伏見育崇)や 米国のジョンスホプキンス大学・放射線科(山本憲)などが挙げられます。

関連リンク

関西NR勉強会
http://www.nr-conf.jp/kansai-nr/
神経放射線ワークショップ (NR Workshop)
http://nrws.umin.ac.jp/
神経放射線学会
http://neurorad.umin.ne.jp/


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