研究領域の紹介


消化器発癌メカニズムの解明

日本人の3人に1人が癌で亡くなる時代を迎え、その約半分が消化器癌とされています。そのため、消化器内科をあげて、消化器癌の発生、進展のメカニズム解析と新規治療法の開発を目指しています。 遺伝子改変マウスによる膵癌関連遺伝子の解析、ヘリコバクター・ピロリ菌感染による慢性胃炎から胃発癌機構の検討、大腸発癌における腫瘍微小環境の解析、慢性肝疾患から肝発癌にいたる分子メカニズムの研究など、 広範な消化器癌のすべてを対象として、新しいコンセプトの提唱、新規治療標的の発掘などを目指しています。



炎症性腸疾患、粘膜免疫のメカニズム解析

近年の炎症性腸疾患患者の増加は著しく、その原因として食生活に代表される生活習慣の欧米化が考えられています。すなわち、肉類や脂肪分に含まれる脂質や鉄などの代謝産物が、腸内細菌叢と相互に影響し、 何らかの免疫応答を介して炎症性腸疾患の発症、進展に関与している可能性があります。その観点から、ヒト臨床検体を用いた解析に加えて、様々な遺伝子改変マウスを用いて、炎症性腸疾患の病態解明を図り、 新しい治療法開発へ向けたシーズ発掘を目指しています。また、腸管線維化など、炎症性腸疾患の合併症予防に関する研究にも取り組んでいます。

消化器幹細胞の同定と医療への応用

消化器臓器の恒常性の維持や、消化器癌の発生・進展の過程で、幹細胞を頂点とする階層性と、細胞の自在な可塑性が、重要な役割を果たしていることが判ってきました。その詳細を明らかにするために、遺伝子改変マウスや生体外3次元培養系において、多光子顕微鏡によるライブイメージングや細胞系譜解析を用いた「変化の見える」解析を行っています。それらの可視化技術で得られたデータをもとに、消化器臓器の再生医療、副作用の少ない癌幹細胞標的治療を目指した創薬標的の同定など、臨床応用へ直結する研究を展開しています。



消化器における感染症

消化器領域には、感染して慢性炎症から発癌にいたる病原微生物が3つあります。ひとつはヘリコバクターピロリ菌感染であり、慢性胃炎から胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃癌、MALTリンパ腫などの様々な病気の原因となります。他の2つはB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスであり、感染すると慢性肝炎から肝硬変、そして肝癌が発生します。これらの細菌やウイルスの次世代ならびに第三世代シーケンサーを用いた遺伝子解析や分子生物学的解析から、病態との関連や炎症発癌メカニズムの解明、さらには治療法の開発に取り組んでいます。



消化器を中心とした臓器連関の研究

近年の研究により、消化管・肝胆膵のあらゆる消化器臓器は、神経系、代謝、免疫系との相互作用を通じて、広く全身の疾患と関わっていることが明らかになってきました。 また、腸内細菌が様々な代謝、神経、循環器疾患の一因となっていることも示されています。いまや、機能性消化管障害、非アルコール性脂肪性肝疾患、IgG4関連疾患など、 消化器臓器の研究は他臓器との連関から研究する時代に入ったいえます。単一の臓器に留まらず、「全身を診る」姿勢から、これら幅広い疾患群の病態解明に取り組んでいます。


ページのトップへ戻る