初期研修


初期研修の場所として大学病院が良いのか、市中病院が良いのか、という質問をよく受けます。その際に「大学病院は、 珍しい病気は多いけど、common diseaseを経験できない」と耳にすることがあります。それは必ずしも正しくありませんし、 大学病院での初期研修について紹介したいと思います。

たとえば、本格的な高齢化社会を迎えて、受診患者さんの中で高齢者の占める割合が増加している現状を考えてみて下さい。 病気がひとつしかない患者さんと遭遇する機会は、本当は少ないのではないでしょうか。消化器内科領域では、例えば「胃癌で入院になったが、 高血圧があり、糖尿病のためインスリン管理を行う必要がある」、「心筋梗塞後ステント挿入中のため抗凝固療法は欠かせないが、早期大腸癌 の内視鏡治療が必要になった」というケースに多く遭遇します。つまり、大学病院では、珍しい病気の方もおられますが、病態が複数あるために 対処が「難しい」方も多いのです。優れた内科医になるためには、このような複数の病気を抱えている患者さんを担当することが重要ではないでしょうか。 京都大学消化器内科における卒後初期研修のあり方・とらえ方すなわち、A、B、C、D、Eという異なった病気の患者さんを別々に5人経験する ことも大切ですが、A+B+C+D+Eと1人で5つの病気をもった患者さんを経験するほうが、より病態への理解が深まるだけでなく、応用力がつく 可能性が高いのです。限られた時間で研修の質と量を担保し、複雑な病態へも単一の疾患へもテキパキと対応することが求められるなか、 重症または複雑な病態の患者さんがたくさん入院されている病院で研修を行うことの意義は大きいと考えます。

さらに大学病院の利点として、研修医1人あたりの指導医の多さが挙げられます。京都大学消化器内科の病棟では、卒後15-20年目程度の 指導医1名、卒後10年目前後の中間指導医1-2名が、研修医1名とチームを組んで指導します。また卒後3-5年目の後期修練医が屋根瓦方式で 研修医の指導に加わる場合があります。これらのチームが毎日チーム・ミーティングで患者さんの病態と治療方針を洗い出し、 回診をともに行います。それに加えて、色々な専門領域の第一線で活躍するトップクラスの専門家が疾患ごとの指導を行います。 これだけ濃密な指導体制が組める施設はそう多くはありません。京都大学消化器内科では、複雑な病態に対して「じっくり、しっかり」 指導を行う体制が整えられています。

また最近は在院日数の短縮が求められることもあり、内科医にとってはきわめて重要な「時間をかけて診療する」という視点が軽視されが ちです。もちろん患者さんを素早く的確に診断し、早期に治療することは大切です。しかし医師がひとりの患者さんと接する時間が減っている ことは、患者さんとのコミュニケーション技術を学ばなければいけない初期研修にとっては少し問題です。ひとりの患者さんのすべてが最初の 診察で判るとはかぎりません。患者さんの病状、病態の中には、日々接していないと気づかないこともたくさんあります。時間をかけて医師と 患者さんやご家族との信頼関係を築きあげることによって、初めて可能になる診療行為もたくさんあります。 初期研修では、とくに内科研修では、早く的確に診断して治療を終了すると同時に、じっくりと患者さんを診て、人間関係を構築し、 患者さんの長い経過をみることも極めて大切です。

私たちは、大学病院での初期研修を通じて、「より良い医師を育てたい」という熱意を持っています。そのうえで、大学病院の良さと 市中病院の良さを色々体験し、経験値を上げてもらいたいと思っています。個別の相談にも応じたいと思いますので、ぜひ京都大学消化器内科 の門をたたいて下さい。

興味のある方は、下記アドレスまで、いつでもご連絡ください。
e-mail:060gastro@mail2.adm.kyoto-u.ac.jp


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