当科の口腔腫瘍専門外来では、口腔腫瘍のうちの良性腫瘍(エナメル上皮腫、歯牙腫など)、口腔前癌病変(白板症、紅板症など)、口腔前癌状態(扁平苔癬など)、口腔粘膜疾患を対象に診断、治療を行っています。
 以下に、前癌病変と口腔ガンについて説明します。
左側舌縁部の白板症 右側頬粘膜の扁平苔癬 左側舌縁部の紅板症
口腔ガンとは?
 ガンは全身の諸臓器に発生しますが、口腔(口の中)という消化管の入り口にも同様にみられます。
 口腔ガンは身体全体のガンの2〜5%にあたり、舌、歯肉、頬粘膜、口蓋粘膜(上あご歯列の内側)、口底(舌の下万部)、口唇などにできます。口腔ガンのなかでも見た目に汚い、・出血や悪臭がある、・必ずしも痛みがあるとはかぎらない、などです。舌ガンでは、さらに刺激物に対する知覚過敏や舌の運動障害がみられることもあります。

前ガン病変
 口腔内に長期間にわたってみられ、口腔ガンと関係が深い粘膜病変を前ガン病変とよびます。この前ガン病変では、そこから口腔ガンができたり、明らかに両者が共存している場合があります。
 前ガン病変には白板症と紅板症があり、いずれも口腔内のどこにでも発生します。白板症は周囲よりやや隆起した白っぽい粘膜病変でこすっても消えません。紅板症はビロード様で、周囲よりやや隆起したあるいはただれた、赤っぽい病変としてみられます。
 これらの前ガン病変に対しては、病状により切除あるいは長期にわたる定期的観察が行われます。

口腔ガンの診断
 口腔ガンは舌ガンも含め、口の中を直接診察したり、触ったりすることができるので比較的簡単に診断できます。しかし確定診断と悪性度を知るため病理組織検査が必要となります。また口腔ガンはあごの下やくびのリンパ節に転移が起こりやすいので触診で調べます。
 さらにガンが深部組織でどれくらい拡がっているのか、どのような性質なのか、くびのリンパ節や遠隔臓器(肺、肝臓、骨など)への転移があるのかを調べるため、一般のX線写真のほかに、CTスキャン、MRI(磁気共鳴画像)、FDG-PET、US(超音波診断)、RI(核医学的検査)などの画像診断が必要なこともあります。しかしこれらの画像診断でもある程度の大きさのガンにならないと判別が難しいので要注意です。なお現在のところ、血液検査でガンの発生、再発、転移を識別することは困難な状況です。

口腔ガンを予防するには
 現在のところ、口腔ガンの発症原因は他のガンと同様に不明です。しかし口腔ガンの発症を促す可能性がある因子として、口腔粘膜に対する慢性器械的刺激、口腔内の不潔状態、タバコ、アルコールなどがあげられます。
 慢性器械的刺激があげられる理由として、奥歯や不適合な金属冠が舌の横に絶えず接触してみられる舌ガン、入れ歯が合わずに放置したためできた傷にみられる歯ぐきのガン、糸切り歯が接触する部分にみられる唇のガン、奥歯で頬を誤って咬んで生じた傷にみられる頬粘膜ガンなどを私達も経験しているからです。
 したがって、現在のところ口腔ガンを予防するには、これらの危険因子を極力避け、また先に述べた口腔ガンの症状や前ガン病変に注意することしかありません。

口腔ガンの治療成績
 1990〜2000年に当科で治療を行った全口腔癌(扁平上皮がん)286例の5年生存率は84.3%で、病期T(早期がん)は98%、病期Uは86%、病期Vは88%、病期W(進行がん)は67%です。

外来診察
 月曜日〜金曜日の午前8:30〜11:00まで受付けています。また、口腔腫瘍専門外来は毎週月曜日の午後に行っております。
思い当たる症状のある方は、早めに、お気軽に受診して下さい。