内科治療

 すい臓がんと診断されると,すい臓がん進展の状況によって内科的治療法が選択されることになります.すい臓がんを対象にした内科的治療法としては放射線療法と化学療法があります.  すい臓がんの放射線療法はふつう化学療法と併用されることが多いので化学放射線療法または放射線化学療法といわれます.
 どのようなすい臓がんにどの治療が選択されるかは,「膵がんの治療方針」の項に説明しました.同じすい臓がんでも肝臓転移などの遠隔転移や腹膜転移はないが,すい臓がんが周囲の重要な血管や神経叢に浸潤しており,手術切除を行ってもすい臓がん細胞が残ることが予測される場合には,放射線療法が適しています.肝臓転移などの遠隔転移や腹膜転移がある場合のように,すべてのすい臓がんを放射線療法でカバーできない場合には化学療法が適しています.

このページの項目
  (1) すい臓がんの放射線療法
  (2) すい臓がんの化学療法
  (3) 参考




(1) すい臓がんに対する放射線療法

 すい臓がん の放射線療法には,体外照射法と術中照射法があり,また両者を併用することがあります.
すい臓がん の体外照射法は通常,化学放射線療法(放射線化学療法)としておこなわれます.これは5FUや塩酸ゲムシタビン(ジェムザール)などの抗がん剤を放射線療法の増感剤(radio-sensitization)として使用するやり方です.
 術中照射法は,全身麻酔の開腹下に,胃腸などの正常組織をさけて,すい臓がん病巣のみを照射する目的で開発された治療法です.すい臓は体の奥深くにあるため,体外からすい臓がんに放射線を照射すると途中にある臓器にも放射線があたるため副作用が出やすくなります.そこで深部へは到達しない高エネルギー電子線を用いてがんに密着して照射することで,体外照射では不可能な高線量を一度に副作用なく,すい臓がんに照射できる利点があります.当科では,放射線科と共同で1983年から切除不能例と切除例のすい臓がんを対象に術中照射法を行ってきました.すい臓がん切除症例ではすい臓の病巣切除後に腹腔動脈・上腸間膜動脈根部・大動脈を中心に照射野を設定し,12MeV電子線照射(20〜25Gy)を施行しています.
 当科ですい臓がん切除手術後に放射線療法を併用した症例は83例(平均総線量49.3Gy)あります.内訳は,術中照射のみが20例(線量20.0Gy〜25.0Gy,平均線量23.7Gy),体外照射のみが34例(線量10.8Gy〜64.6Gy,平均線量47.9Gy)で,術中照射と体外照射の併用が29例(総線量43.0Gy〜<87.3Gy,平均総線量68.7Gy)となっています.
 非切除すい臓がん症例に対する術中照射の治療成績では,最近の10年間で32例の遠隔転移を有しない局所進行すい臓がん症例に対して,術中照射を含む放射線療法を実施しました.5-FUなどの化学療法併用が12例,イミダゾール系の増感剤使用が11例で,術中照射と体外照射併用が29例でした.術中照射と体外照射併用例の90%に腹痛や背部痛に対する除痛効果が認められ,晩期合併症では消化性潰瘍が14%の症例でみられました.

すい臓がん放射線療法の除痛効果
(図をクリックすると大きくなります)


(2) すい臓がんに対する化学療法

 すい臓がん の化学療法としては,これまでテガフール系の経口抗癌剤の投与や全身投与法,あるいは肝再発予防を目的とした動脈内投与法(肝動脈や腹腔動脈)と門脈内投与法など(regional chemotherapy)の様々な化学療法が試みられてきました.しかし,すい臓がんは抗がん剤に対する感受性が低く,十分な治療効果があるとはいえませんでした.
 最近になってすい臓がんに対して効果が認められる塩酸ゲムシタビン(ジェムザール)が使用されるようになりました.切除の対象とならないすい臓がんや,手術を行ったが再発してきたすい臓がんに対する化学療法として,塩酸ゲムシタビン(ジェムザール)を用いた化学療法が標準治療になっています.

(3) 参考

放射線療法とは

 「放射線療法」では病気をなおすために「放射線」を使います.
 「放射線」は,目に見えず,体にあたっても何も感じませんが,体の表面や奥にある病気を治すことができます.照射には痛みをともなわないので,麻酔をかける必要もありません.
 放射線治療の治療計画は精密に行われ,また,治療に使われる装置は非常に精度の高いものなので,必要な範囲以外には放射線はあたりません.ですから,例えば,頭に照射していないのに髪の毛が抜けたりするといったことはありません.

放射線療法の方法−外部照射と内部照射−

 放射線療法には,大きくわけて体の外から放射線をあてる体外照射と,体の中に放射線のでる物質を入れて治療する内部照射とがあります.

外部照射

 放射線療法を受ける患者さんのほとんどは,体外照射を受けることになります.体外照射装置にはいくつかの種類があります.しかし,これらの装置の治療効果はほとんど同じもので,治療する部位の深さによって治療医が患者さんに最適な装置を選択します.

内部照射

 内部照射では,直接患部に放射線を発生する針等を入れる場合もありますし,管を入れてその後から放射線の線源を入れる場合もあります.いずれの場合でも,入院治療になります.


膵がんのホームページ

さらに詳しく知りたいかたは、膵がん関連出版物に書籍を紹介してあります.

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