京都大学医学研究科 基礎病態学講座 病理診断学分野

(病理診断科・病理部)

研究紹介 2017

Research in Department of Diagnostic Pathology, Kyoto University


基礎医学分野としての病理診断学の定員は1名だけですが,実際には附属病院の病理部・病理診断科に所属する病理医・臨床検査技師,さらには総合解 剖センターや臓器移植医療部所属の病理医が協同して,病理診断科・病理部として,協同で診療・教育・研究業務をおこなっています. 

当科は中央診療部門であり,関連する研究論文の約9割が他の研究室への研究協力となっています.

一方で,下記のように日常診療への直接応用を目標とした独自の診断学的研究・症例報告を行っています.

病理診断と治療を結びつけるために,ヘマトキシリン・エオシン染色標本を中心とした形態観察に加えて,各科の先生との緊密な連携が欠かせません。研究についてもこの姿勢は変わりません.


A. 移植病理・免疫病理 Pathology of Organ Transplantation and Immunopathology

B. シグナル伝達と疾患 Signal transduction and Diseases

C. 肺癌の臨床病理的解析 Clinicopathologic Study of Lung Cancer

D. その他:症例報告など Others
A.  移植病理・免疫病理 [指導:羽賀, 他]
  臓器移植後におけるグラフト生検の病理組織診断はグラフト障害の診断・治療方針の決定に欠かせないものとなっています。これ までに肝臓・肺・小腸について拒絶反応やGVHD (移植片対宿主病)の病態解析について報告してきました。また,移植肝の国際的診断基準を提唱する Banff Working Group の活動に参加しています。

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補体分解産物 C4d 免疫染色

論文(  )は筆頭者の職名

☆ カルバミルリン酸合成酵素欠損症における免疫染色の有用性(医員/専攻医)
Yamaguchi M et al. Pathol Int 2016

☆ 新しい病態:メソトレキセート関連EBV関連血管炎の提言(大学院生)
Fujimoto M et al. J Cutan Pathol 2016

☆ 骨髄移植後の肺病変:胸膜実質性線維弾性症(網谷病)と非特異性間質性肺炎(医員/専攻医)
Takeuchi Y et al. Histopathology 2015

☆ グラフト肝抗体関連拒絶反応における組織像・C4d・DSAの相関(大学院生)
Salah A et al. Liver Transpl 2014

☆ 胎児の発育不全に抗体関連拒絶反応と類似の機構が働いている(教員)
Minamiguchi S et al. Pathol Int 2013


B. シグナル伝達と疾患 [指導:片岡]
マスト細胞におけるKITの発現,さらにKITを発現する腫瘍であるGISTの研究から派生して,様々な炎症性疾患や腫瘍細胞増殖に関わる受容体・シグナル伝達に関する研究を行っています

☆ KIR2DL4はランゲルハンス組織球症に発現してその増殖を抑制する(大学院生)
Takei Y et al. Oncotarget 2017

☆ CEACAM1はマスト細胞症と甲状腺髄様癌では異なった働きをする(臨床検査技師)
Ueshima C et al. Cancer Med 2017

☆ NKp46は色素性蕁麻疹においてグランザイムBとIL-22を制御する(臨床検査技師)
Ueshima C et al. Exp Dermatol 2015

☆ CD72はマスト細胞を負に制御する(教員)
Kataoka TR. Int Immunol 2015


C. 肺癌の臨床病理的解析 [指導:吉澤]
 組織マイクロアレイ(TMA)を用いて、肺癌の予後に関連しうる表現型・遺伝子発現を解析します.TMAは多種類の組織を 1つのブロックに包埋したものです。 1枚の切片で多くの患者の組織を観察可能となります.免疫組織化学,in situ hybridizationなどの手法により多数例が迅速に解析できます。


組織マイクロアレイ

☆ ALK遺伝子再構成を持つ肺腺癌をRNA ISHで解析(大学院生)
Nakajima N et al. Histopathology 2017

☆ 肺腺癌におけるMUC4陽性は喫煙,HER2過剰発現,予後不良に関連する(医員/専攻医)
Rokutan-Kurata M et al. Clin Lung Cancer 2016

☆ アディポフィリンを発現する肺腺癌はアポクリン腺様の特徴を持ち予後不良(大学院生)
Fujimoto M et al. Histopathology 2017

☆ 新しい肺腺癌分類と予後,EGFR遺伝子・KRAS遺伝子変異との関連(教員)
Yoshizawa A et al.  J Thorac Oncol 2013

☆ IgG4陽性形質細胞を間質に持つ非小細胞肺癌と予後(大学院生)
Fujimoto M et al. Hum Pathol 2013


D. その他の主な英語論文発表 [膵臓関連指導:南口]

☆ 膵癌とEUS-FNAにみられる良性上皮との鑑別に有用な免疫染色パネル(大学院生・臨床検査技師)
Furuhata A et al. Pancreas 2017

☆ 下行結腸発生のPEComa(医員/専攻医)
Iwamoto R et al. World J Surg Oncol 2016

☆ BCOR-CCNB3 肉腫 (Ewing 様肉腫)の臨床病理学的検討(医員/専攻医)
Shibayama T. Pathol Int 2015

☆ 形質細胞分化を示したALK 陽性 B細胞リンパ腫 (医員/専攻医)
Hashimoto T et al. Pathol Int 2014

☆ MEN1型における膵管癌と神経内分泌腫瘍の衝突癌(医員/専攻医)
Moriyoshi K et al. Pathol Int 2013


上記のテーマに限らず,臨床の一員として研究心を持った先生方の参加をお待ちしています.
他の研究室との協同研究も募集しています.


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