膝関節外科の概要

膝関節グループは、膝の痛みに対する治療を専門にしています。その中で最も多くの患者さんが困っている疾患は、怪我や加齢により膝の軟骨がいたむ変形性膝関節症です。診察とレントゲンやMRIなどの画像診断により変形の程度を診断して、可能な限り運動療法・装具療法・投薬・関節内注射などの保存療法を試みます。しかし、保存療法にも限界があり、効果が認められない場合に、手術療法をおすすめします。手術療法は、膝関節の軟骨障害や変形の程度により異なりますので、それぞれの患者さんの症状に応じて最適な方法を選択します。


軟骨移植術

怪我などによる狭い範囲の軟骨損傷や骨壊死の場合、同じ膝関節内のほとんど使われていない前方部位から正常軟骨をいくつか円柱状に採取して、モザイク細工のように損傷部位にはめ込む骨軟骨柱移植術(モザイクプラスティ)を行います。この治療法は、京都大学整形外科が世界に先駆け臨床応用し、良好な長期成績を獲得しております。ただし、広い範囲に軟骨損傷がある患者さん、ご高齢の患者さんには適さないこともあります。また、保険適応になった自家培養軟骨移植の導入も今後すすめていく予定です。


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高位脛骨骨切り術と人工膝関節単顆置換術

日本人は西洋人と比較して、ややO脚であるといわれています。年齢と共に外側に比べ内側軟骨の片減りや骨壊死をきたし、膝の内側が痛くなります。このような場合の手術法は二通りあります。一つはすね(脛骨)の膝関節に近い上の方(高位)に一部切り込みを加え(骨切り)、O脚をX脚に戻す高位脛骨骨切り術です。患者さん自身の膝関節を残すことができ、内側の軟骨にかかる負担を外側に分散して痛みを取り除きます。一度骨を切る必要があるため、骨粗鬆症の強くない70歳前後までが適応です。70歳以降は、内側の関節のみ小さな金属の関節に置き換え、正坐も可能な人工膝関節単顆置換術を行います。これらの手術は患者満足度の高い手術ですが、外側の軟骨や靱帯が正常であることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。


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人工膝関節全置換術

膝関節全体に変形が及んだ患者さんに適応で、傷んだ膝関節の表面を取り除き、もとの膝関節とほぼ同じ大きさの金属でできた人工関節に入れ替える手術です。O脚はきれいなX脚になり、優れた除痛効果があるため、術直後より歩行練習を開始することができます。また私たちは、強く変形した膝関節を正確に矯正するナビゲーション手術、コンピュータシミュレーションにより今まで解明できなかった人工膝関節の問題点を解析する研究、そして正常の膝関節の動きに近い次世代の人工膝関節の開発などを積極的に行うことで、患者さんの立場に立った満足度の高い治療を常に目指しております。


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