
親族あるいは夫婦間で、健常な方から提供を受けた膵臓片より分離した膵島を移植します。
健常状態の膵臓には予備能があり、その一部が欠如した場合でも本来の糖代謝機能を果たすことが出来ます。この事実をふまえて、健常人から膵臓の一部を摘出し、膵島分離を行って重症インスリン依存状態糖尿病のレシピエントの門脈内に移植するのが生体ドナー膵島移植です。

生体ドナー膵島移植の目的は重症インスリン依存状態糖尿病において準緊急的に血糖を安定化させることによって、低血糖が原因でおこる生命の危険性をなくすことです。インスリン注射からの離脱が目的ではありません。
内因性のインスリン分泌が枯渇した重症インスリン依存状態糖尿病では、長期合併症を回避するため厳格な血糖管理を行うことによって無自覚性の低血糖発作を頻発し、これが入浴中や睡眠中などに起こった場合、生命の危機に直結します。このような病態に対し、継続的に血糖を感知してインスリンを分泌する膵島組織を移植することで、血糖不安定性を消失させ、低血糖が原因で起こる死の危険性を解除することが可能となります。単回の膵島移植によってインスリンから離脱する可能性は低いのですが、血糖の安定性を得ることはほぼ全例に期待できます。
京都大学では、2002年膵島移植プロジェクトが開始された当初から京都大学医の倫理委員会に生体ドナー膵島移植の審議を依頼、当時世界的に生体からの膵島移植は前例がなかったため、医学部に小委員会が立ち上がりそこで議論が重ねられました。
1年以上の議論の後、2003年10月京都大学医の倫理委員会において、症例ごとに検討が必要であるとの条件付きでの承認となりました。
生体ドナー膵島移植は症例毎に倫理委員会に審議を依頼し、そこから得た指針をもとに移植の適応を決定しています。
膵島移植それ自体のレシピエントに対する身体的負担は軽度ですが、生体ドナー膵島移植は健常人にメスをいれるという大きなリスクの上に初めて成り立つため、その適応はレシピエント、ドナー双方、非常に厳格なものとなっています。
レシピエントとドナーの適応基準についての詳しい情報はこちらを参照下さい。