京都大学医学部附属病院 医療安全管理室  

HOME報告体制メンバー業務と実績対応指針・マニュアル医療安全講習会ニュース医療安全室だより問合せ

医療安全管理室だより(京大病院広報連載)


  京大病院の医療安全に関わる話題を京大病院広報に毎号掲載しています。普段、患者さんが目にすることのない場所を訪問し、病院の安全への取り組みについてご紹介したいと思います。


第1回 情報管理掛・医療情報部 (平成23年7月発行 第93号)
第2回 薬剤部 (平成23年10月発行 第94号)
第3回 放射線部 (平成24年1月発行 第95号)
第4回 採血室 (平成24年4月発行 第96号)
第5回 栄養管理室 (平成24年7月発行 第97号)
第6回 医療サービス課医療安全掛 (平成24年10月発行 第98号)
第7回 MEセンター (平成25年1月発行 第99号)



第1回 情報管理掛・医療情報部


  ▲10数年前まで使用していた旧外来棟をご存知の方は,診療科別の外来紙カルテを覚えていらっしゃるでしょうか. 当時は,医師が他科の治療内容を確認したい際に,他科のカルテを取り寄せるかその科の医師に手紙を書いて尋ねる状況でした. 新外来棟ができ科別の紙カルテが院内統一の1冊に統合され数年を経たあと,2005年に現在の電子カルテ記載に移行しました. ▲電子カルテの最大のメリットは,「情報の共有」にあります.例えば薬のアレルギー情報が登録されると, その薬剤を処方しようとすると警告画面が出る仕組みになっています.妊娠情報が登録されると, 妊婦に処方できない薬剤をそれと気づかず処方すると警告画面が出ます.電子カルテの利点は紹介しきれませんので割愛しますが, 複雑なシステムを担当するのが,情報管理掛と医療情報部です.▲院内の全ての部門,部署の運用には今や電子システムが 不可欠であり,不具合があれば即刻診療に響きます.従ってシステム変更は,診療に響かない日時に行われます. 2011年1月の電子カルテシステム変更は年末年始を返上し,この5月の患者呼び出しシステム変更もゴールデンウィークの 合間の祝日を利用して行われました.不備があってもその後の休診期間中にシステムの修正ができるからです. 日々のメンテナンス,修正も深夜に行われています.▲医療安全管理の毎週のミーティングにも医療情報部が参加し, ヒューマンエラーを防ぐシステム作りを担っています.

情報管理 情報管理掛・仕事風景


▲top

第2回 薬剤部


  今回は,がん治療に関わる薬剤部をご紹介します.がんの治療を受けておられる患者さんのお話を伺いますと, 「がんを発症してから,一日一日がとても重要であると分かった,丁寧に毎日を過ごしたい」とおっしゃられる方が多いと感じます. 健康なときには気づかなかった「日々の日常生活」の大切さに改めて気づいた,と言われます.日常生活を送りながら, がんの治療を継続するためには,外来化学療法部の存在は非常に重要となってきます.ただし,外来で治療するからには, 安全により一層注意しなければなりません.▲外来化学療法部では,治療を円滑に行うために,医師は前日までに治療に使用する 注射薬を処方します.患者さんが受診される前日に薬剤師は必要な薬剤を取り揃えて,処方内容に問題がないかどうか, 薬剤師の眼でチェックします.その際には,患者さんの状態,例えば腎臓の機能などにも注意を払い,薬剤の投与量が適切かどうか も確認します.投与内容を変更するほうがよいと考える場合には,医師に提案します.▲治療当日は,通常,患者さんは採血を受け, 医師はその結果を確認します.医師がゴーサインを出したら,薬剤師が抗がん剤を調製(薬剤と液を混合すること)します. 混合の際に細菌などが混ざらないように,特殊なキャビネット内で混合作業を行っています.間違った薬を調製しないことも重要ですので, 薬剤師二人がペアになって,お互いの行為に間違いがないかチェックしています.こうした行為はダブルチェックと呼ばれます. コンビニなどのレジでも「1万円入ります.ダブルチェックお願いします.」などと声に出して確認されていますが, 薬剤師も薬品名を一人が読み上げて一人が薬品を確認するダブルチェックをしています.▲このような安全確認を経て患者さん に薬剤が投与されています.安全な薬剤を安全な形で患者さんにお届けし,一人一人の患者さんが「その人らしく」治療を継続して いけるようにと願っています.


  安全便り2
図の説明:キャビネット内での薬剤調製の様子.入室前にガウン,帽子,マスク,手袋を着用して,清潔な環境で作業を行っています.


▲top

第3回 放射線部


  胸や骨等のX線単純検査(レントゲン検査)あるいはCTやMRI検査を受けた経験がおありになる患者さんは多いと思います。 最近の画像検査技術の進歩は目覚ましく、例えばCT画像を3次元画像で編集すると、脳、心臓や肝臓などが立体的に表示でき、まるで、 体の中を覗き込んでいるかのような錯覚に陥ります。技術の進歩は大変喜ばしいことですが、一方で、それを取り扱い、使いこなして いるのは人間である、ということを忘れてはなりません。▲例えば、どんなに優れた画像診断が得られても、もし、間違って別患者の画像 であったら・・・。異なった診断、異なった解釈、異なった治療へと進んでしまいます。あるいは、病変部と異なる部位を間違って撮影して しまったら、正しい情報は得られません。安全管理上の面では、「患者間違い(誤認)」「部位間違い(誤認)」は職員が常に気を使って いる点です。▲患者の皆様にも是非ご協力をお願いします。医師が、画像検査の用紙をお渡しする際には、氏名が自分のものであるか ご確認ください。また、腕や足などのX線単純撮影時には「左」「右」が間違っていないかという点も、ご確認ください。 「医師が間違うはずがない。」皆さんは、そう思われると思います。しかし、皆様も「左」と「右」を間違えたことはないでしょうか? 特に、患者さんと向かい合って座っている医師にとっては、患者さんの体の右側部分が、医師側からみた左側部分になって、時に混乱して しまいます。名前間違い(患者誤認)は、初対面の患者さんに呼びかけるときに発生する可能性があります。「佐藤さん」と呼んだら 「加藤さん」が入ってきて、そのまま佐藤さんと思い込んでカルテを記載してしまう、ということが発生します。 フルネームでお呼びしても別の方が診察室に入ってこられる機会は多々あります。ご自分から名乗っていただくことでこの間違いを防止 することができます。(呼出受信機の使用も誤認防止の一環です)▲検査の受付時にも、患者さんにはご自分の名前を名乗っていただいています。 是非、私たちの医療安全活動にご協力ください。放射線部では、今後も最新の画像診断技術をご提供することで、皆様の治療方針の決定 に役立ちたいと考えています。


  安全便り3  放射線部の画像診断風景。


▲top

医療安全管理室だより第4回 採血室


  採血室では1日に何名の外来患者さんの採血をしているのか皆様ご存知でしょうか。 8百数十名の患者さんが採血に来られています。その採血のほとんどが午前中の数時間に行われています。 そのような中で、採血室の職員が最も気を使っていることは患者さんの血液を取り違えないことです。 ある患者さんの血液が、別の患者さんのデータとして処理されてしまうと、間違った解釈から間違った医療行為へとつながってしまいます。
しかし、どんなに注意をしていても、人間が間違いをおかすのは世の常ですから、人間だけに頼らずに、機械の力を借りて間違いを防ぐ仕組みを作っています。  患者さんにお渡しする呼出し受信機は強力な助っ人となります。採血受付では、名前を確認するとともに呼出し受信機を使って受付を行っています。 呼出し受信機から読み取る情報を元に、採血管が機械によって準備されます。しかし、機械のことですから万一機械のトラブルで間違いが起こることも 想定できます。そこで、患者の皆様に名乗っていただくフルネームと機械の情報との両者が一致することを確認し、たとえ一方で間違っても 他方で防ぐようにしています。
 もう一点、採血室で皆様に呼びかけている点は、神経損傷への注意です。採血の際に皮膚の浅い部分の細い神経を針先で意図せず傷つけて しまうことはあり得ます。採血中に痛みを感じた場合には「痛い!」と伝えていただくと採血を中断します。ほとんどの場合には、 自然に治癒しますので、痛みがあっても様子をみていただくと治ります。しかし、ごく稀に強い痛みが持続することがあります。 このような場合には、専門の医師の診察を受けていただきます。
 患者の皆様に安心して採血を受けていただけるように採血室では少しずつ改善を重ねています。


  安全便り4
 図の説明:採血を行っているスタッフ


▲top

  

医療安全管理室だより第5回 栄養管理室


  病院の食事に対する、一般的なイメージは「健康的かもしれないけど味は今ひとつ」というものかもしれません。 しかし、京大病院の食事も随分進化して、今は温かいものは温かく、冷たいものは冷たく適温で提供していますので、 おいしいとのご感想も多く寄せられています。今回の京大病院の食事についてお話します。
 京大病院では1日に約2,500食を作っています。病院に入院なさっている患者さんは、糖尿病であったり、手術後であったり、 細かく刻んだ食事でないと食事をとれなかったりなど様々な状況を抱えておられます。例えば、ご家庭であれば、そのような配慮が 必要な場合は、少しとりわけて刻んだり、薄味にして先に取り分けて残りの分に調味料を追加したりして工夫されていると思います。 しかし、数多くの食事を短時間に用意するためにはこのような手順には無理があります。
 実は、病院では「トレイメイク」という方法を用いています。例えば、同じ「お浸し」でも通常の味付けのもの、 塩分制限用のもの、柔らかい材料を使ったもの、とさまざまな食事の種類を用意しています。この中から、 「この患者さんにはこのお浸し」というように患者さんに応じて作成された給食計画に従って、適切な料理をピックアップしていきます。 複数の種類の料理をそれぞれ複数の調理方法から組み合わせることよって、その患者さんに一番相応しいメニューを提供できるのです。 このトレイメイクの流れの最終段階で、「間違ったものがピックアップされていないか」、あるいは、「不足している料理はないか」、 また、「異物が混入していないか」などのチェックを行います。チェックするのは「チェッカー」と呼ばれる栄養士の仕事です。 このような過程を経て、患者の皆様のお手元に食事が届いています。
 病気の治療には食事がとても大切です。入院中に出てくる食事をどうぞ観察して、味わってください。 できれば退院後も少し病院の食事を思い出しながら、日々の食生活のヒントにしてください。年に4回は入院患者さんを対象に食事に 関するアンケートもとっております。どうぞご意見もお寄せください。


  安全便り5
 図の説明:トレイメイク作業中の様子


▲top

  

医療安全管理室だより第6回 医療サービス課医療安全掛


  今回は医療サービス課医療安全掛を紹介します。患者さんと医療者の間を取り持つ部署で、事務職員が担当しています。 2012年4月から患者相談窓口担当に看護師も加わりました。患者相談窓口、診療録の開示、医療安全活動に対する事務作業などを行っています。
 患者さんから受ける相談の中には、「主治医から十分な説明がなく、今後の治療に不安がある」「手術による合併(併発)症が生じたが、 事前に説明がなかった」というものがあります。患者さんがどの程度までご理解されているのか、まず話を聴くところから始まります。 相談員は事務職であるからこそ、患者さんに近い視点で理解することができます。医療者からの再度の説明が必要と思われる場合には、 その機会を設定いたします。それぞれの患者さんの理解度に応じて説明の仕方を工夫する必要がありますので、事務職員が医療者からあらかじめ説明を聞き、 まず内容を理解します。患者さんからの相談内容を基に説明の仕方を医療者と一緒に考えます。要望があれば、説明の場に事務職員が同席することもあります。
 相談窓口では、医療者の態度に対する苦情、待ち時間や治療費など病院のシステムに対する苦情を受けることもあります。その場合には、 状況を詳しくお聞きして、必要な場合には調査を行ってから患者さんに報告します。思い違いや誤解がもとになっている場合には、事実を調査する ことで解決できることもあります。また、相談内容について関係部署と話し合った結果、病院の質の改善につながることも少なくありません。 病院の職員であり第三者という訳にはいきませんが、患者さんと医療者の一方に偏ることがないように中立性を心がけた活動を行っています。 2011年度の相談件数は688件でした(医療者からの相談も含む)。


  安全便り6
 図の説明:医療サービス課医療安全掛


▲top

  

医療安全管理室だより第7回 MEセンター


  今回はMEセンターを紹介します。MEセンターは医療機器全般を扱っています。院内には人工呼吸器や人工心肺(心臓と肺の代わりをする装置)、 透析関連の機器など生命維持装置、あるいは輸液ポンプのように広く使用されている機器が多数あります。機器そのものがトラブルなく動くかどうか、 保守点検を含む管理を行っているのがMEセンターです。例えば輸液ポンプやシリンジポンプ(図1)は病院内に約1,200台あります。これらのポンプ類は、 正確に薬液を投入したいとき?例えば、降圧薬にて血圧を厳重にコントロールしたいとき、鎮痛薬にて疼痛をコントロールしたいとき?に用いますが、 もし、精度が狂っていたら正確な投与ができません。病棟で使用したポンプ類は定期的にMEセンタ?に搬送され、チェックを受けてから、再び貸し出しています(図2)。
 国家資格を持った臨床工学技士が、MEセンターでこのような保守点検を行っています。「臨床工学技士さん」と呼ぶよりも、 「MEさん」と呼ばれていることが多く、医療機器関連で困ったことがあれば「MEさ?ん、お願いします!」とひっぱりだこです。院内での必要性はますます増えています。
 「MEさん」は保守点検をするだけではありません。手術室での機械の管理や操作も行います。最近では、ロボット支援の手術も多くなり、 より複雑で高度な手術を行うためには臨床工学技士の存在が不可欠です。
 病院内で、患者さんが直接臨床工学技士と接する機会は少ないのですが、見えないところで治療を支えている、まさに「縁の下の力持ち」の臨床工学技士です。 彼ら彼女らが常駐しているMEセンターは地下にあります。目立たない場所ですが「MEセンター」の表示を探してみてください。


  安全便り7
 図の説明:図1 MEセンターで保守点検を終了した輸液ポンプ・シリンジポンプ

  安全便り7
 図の説明:図2 ポンプ点検中


▲top