平成30年11月26日
京都大学医学部附属病院
本院にて、心臓の状態を監視するための肺動脈カテーテルに関連した事故が発生し、心臓手術を受けられた患者さんがお亡くなりになられました。
肺動脈カテーテルは、直径約3mmのチューブであり、その先端部分に心臓の状態を監視するセンサーがついています。手術前に使用を開始し、手術後も状態が安定するまで使用します。
肺動脈カテーテルは心臓内に挿入するものです。人工心肺を用いる手術中には、手術直後に人工心肺用の管を留置した部位を閉鎖するための縫合を行うため、肺動脈カテーテルが縫い込まれる可能性があります。肺動脈カテーテルが縫い込まれたままで肺動脈カテーテルを引っ張ると、心臓を損傷することがあります。肺動脈カテーテル縫込みに関する死亡事故は、過去に、本邦でも海外でも発生しております。
今回の事故では、縫込みのあった部分が肺動脈カテーテルを操作している際に引っ張られ、心臓を損傷するに至りました。直ちに修復術を実施しましたが、手術後、意識が回復しないまま、事故の4ヵ月後、患者さんはお亡くなりになられました。
この事故の発生後に、外部委員を含む調査委員会を設置し、外部の専門家による検証・分析を受けました。本調査に関わった外部委員から、以下の指摘がございました。
心臓手術を安全に行うための肺動脈カテーテルの使用に関するルールに不十分な点があり、患者さんがお亡くなりになられたことを、本院は大変重く受け止めております。本事故の調査を今後の医療安全の向上につなげるために、心臓手術時の肺動脈カテーテル使用に関するガイドラインの作成等に尽力することが本院の務めであると考えております。
患者さんのご家族に深くお詫び申し上げますとともに、重大な医療事故として公表いたします。
※ 資料を追加しました。(平成30年11月27日)