最新の臨床検査をリードし、患者さんの健康増進に貢献する京都大学医学部附属病院 検査部

京都大学医学部附属病院 検査部 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital

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ISOについて

ISOとは

「はじめに」

京都大学病院は地域の中核病院として機能すると同時に、臨床研究中核病院として先端医療開発を行う責務があります。臨床研究中核病院として機能するためには、臨床研究や治験を遂行する上で必要な検査の質の確保と、質の裏付けとなる第三者評価を取得する必要があります。このような背景のもと我々は、ISO15189 2012認定の取得に向けた取組みを行うことになりました。

iso

「ISO15189とは」

ISO15189「臨床検査室-品質と能力に関する特定要求事項」は、ISO/IEC17025(JIS Q 17025)「試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項」及びISO9001(JIS Q 9001)「品質マネジメントシステム-要求事項」をベースとし、臨床検査室の品質と能力に関する特定要求事項を提供するものとしてISOの技術専門委員会ISO/TC212が作成した国際規格です。国際規格ISO15189の序文には、以下の文章が記載されています。「臨床検査室のサービスは、患者診療にとって不可欠であり、すべての患者とその診療に責任を持つ臨床医のニーズを満たすために利用できなければならない。これらのサービスには、検査依頼のアレンジ、患者の準備、患者の識別、一次サンプルの採取、搬送、保存、一次サンプルの処理と検査、その後に続く妥当性の確認、結果の解釈、報告、及びアドバイスサービス、並びに検査業務の安全性と倫理への配慮が含まれる。」 ISO15189ではどのようなことを実行していかなければならないのということがこの序文に集約されています。また、我々が関与する臨床検査が国際的に患者診療を行う上でいかに重要なものであるのか改めて認識することができます。

メッセージ

検査部長
一山 智

本院では、これまでも臨床検査を担う各部門できちんと検査データの精度管理を行ってきました。しかし、先端医療開発という本院の使命を果たすためには、検査データが国際的に認定されたものであることは必須です。そこで検査部、病理部、輸血細胞治療部、薬剤部の4部門が一丸となってISO15189 2012 認定取得に向けた取り組みを始めました。各部門の部長らによる管理主体から準備を進め、臨床検査技師・薬剤師を中心とした実働部隊が必要な書類の作成やワークフローをまとめるなど実務を担当しました。認定にあたっては、部屋の温度や湿度管理、感染、非感染、清潔エリア分け、また管理区分の部屋での空気の流れ(感染防止)、冷蔵庫、遠心機、ピペットの検定など、検査の精度に関わる事が細かく規程され、すべての項目に対して作業手順書を整えました。連日、部門を超えたワーキンググループを中心に会議や検討を繰り返し、一歩ずつ確実に準備していきました。その結果、2014年3月26日付けで日本適合性認定協会(JAB)から、ISO15189 2012の認定を取得することができました。

検査部技師長
志賀 修一

各グループのリーダーは、30代の若手にお願いしました。今後も長く認定を維持・管理していくためには、若手が中心となり継続していくことが大切だからです。そして若い人たちのモチベーションを高めることを目標にしました。こうして1年半の準備期間を経て、認定を取得。4部門にわたり国際規格の新バージョンを取得したケースは、全国でも珍しいそうです。さらに生理機能検査のISO15189;2012取得の準備が整っているので、JABの準備が整い次第、できるだけ早く認定を取得したいと考えています。

輸血細胞治療部長
前川 平

京大病院の使命は大きく2つあり、1つは先端医療開発、もう1つは日常の診療においてより信頼性・安全性の高い医療を患者さんに提供することです。その意味でも、認定取得に向けて部門を超えた活発なコミュニケーションが生まれたことは、本院の安全管理や品質保証全体につながる大きな成果と考えています。

病理部長
羽賀 博典

病理部で行う病理組織診断や細胞診断、病理解剖は、検査部門の中でも最も機械化しにくい分野です。そのため個人の技量に頼る部分が多く、検査の標準化が遅れていました。しかし、今回標準化ができたことで、臨床研究中核病院の事業の1つである他施設共同臨床研究においても、まさに中核として他施設に標準を示すことができると期待を寄せています。

TDM室長
米澤 淳

治験管理部門では企業治験や医師主導治験、臨床研究などの支援を行っています。そうした部門では、第三者からの評価を得たデータの精度がきちんと管理できた上で検査を行うことが欠かせません。新しい医療品開発においてISOの認定を取得したことは大変意義深いと思います。新しい医療開発の土台づくりが整ったことで、海外治験やiPS細胞研究との連携もさらに強化することができます。

組織図

組織図はこちらをクリック

ISO15189 2012認定取得までの道のり

2013年1月30日(水)

検査部内運営委員会でISO15189 2012の認定取得を目指す事を決定

2013年3月13日(水)

キックオフミーテイング

2013年4月24日(水)、25日(木)

委員会・WGおよびグループウエア説明会

2013年7月20日(土)、21日(日)

ISO15189規格説明会

2013年8月10日(土)、11日(日)

内部監査委員養成セミナー

2013年9月9日(月)~13日(金) 5日間

第1回目の内部監査

2013年11月6日(水)

日本適合性認定協会に申請書類一式を提出・受理

2013年11月26日(火)、28日(木)

ISO15189簡易規格セミナー

2013年11月26日(火)

内部監査員スキルアップセミナー

2013年11月29日(金)

JAB予備訪問

2013年12月2日(月)、3日(火)、9日(月)

模擬技術審査

2014年1月14日(火)~16日(木) 3日間

JAB本審査

2014年1月17日~2月16日

指摘された内容の是正期間

2014年3月26日(月)

JAB認定委員会で京都大学がISO15189 2012の認定を受ける。

2014年3月31日(月)

認定授与式(検査部会議室)

コメント

外注購買管理委員会
平田 ​勝啓

■委員会・WGの作業内容
手順書作成、外注購買手続きの整理​など
■リーダーとしてのエピソード等
皆様のご協力により円滑に作業を進められたと思います。
■これからISO取得をめざす施設の方に対する一言アドバイス
最初からハードルを上げる必要はなく、認定取得後もより良い方向へ向かうことを念頭に作業すれば良いようです。

プロジェクト事務局
樋口 武史

■委員会・WGの作業内容​
(1)プロジェクトの召集(日程調整・案内等)、(2)プロジェクト会議資料の準備、(3)プロジェクト会議議事録作成、(4)各WGの進捗状況管理とりまとめ、(5)日本適合性認定協会(JAB)およびコンサルタントとの調整 (6)危機管理、リスク評価の調査等(7)危機管理訓練および教育、(8)本審査の準備と対応
■リーダーとしてのエピソード等
危機管理訓練として、新型インフルエンザによるパンデミック発生時の当院の方針と検査部の対応について訓練を行いました。シナリオ作成からDVD撮影まで、感染制御部の協力を得て、すべて自作自演で行い、改めて危機管理の重要性が認識できました。
■これからISO取得をめざす施設の方に対する一言アドバイス
一部のスタッフだけで認定取得を目指すのではなく、全員参加型でみんな一緒に取り組むことが重要かつ維持・継続することにつながると思います。

環境管理委員会
橋本 誠司

■委員会・WGの作業内容​
5S(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ)の推進、検査部内のエリア分け(検査エリア、清潔エリアなど)、毒劇物及び化学物質取扱、感染予防などに関する手順書作成。
■リーダーとしてのエピソード等
意味不明、理解不能なことばかり、目的を見失う日々の連続。これをどうやって説明したらいいのか悩みました。
■これからISO取得をめざす施設の方に対する一言アドバイス
環境管理の分野は自施設でルールを決めていける部分が多くあります。あまり完璧を目指さず、継続できる内容にすることをお勧めします。

技術管理委員会
岡崎 一幸

■委員会・WGの作業内容​
当委員会は日常業務や測定機器、臨床向けの検査マニュアル、測定項目の標準作業書(SOP)などの作成を行いました。日々のルーチンに直結する資料作成がメインであったため、委員会は検査部・病理部・輸血細胞治療部の全臨床検査技師、薬剤部TDM室の全薬剤師がメンバーとなり大所帯でした。
■リーダーとしてのエピソード等
それぞれの部門で検査の方法が異なるため、ISOに則った統一のマニュアル作成は当初大変難航しましたが、準備が進むにつれて各検査室が歩み寄りスムーズに遂行出来ました。それぞれが業務を1から見直し、ルールを再構築出来たことが一番の収穫でした。
■これからISO取得をめざす施設の方に対する一言アドバイス
SOPは業務をスムーズに実行し、技師を育てる大事なツールです。検査室ごとに用途は同じでもフォーマットが異なると、説明の2度手間3度手間、混乱のもとになります。誰がどの分野に出向いても円滑な業務が行えるよう、統一フォーマットを意識して作成すると良いと思います。

教育訓練委員会
町田 清正

■委員会・WGの作業内容​
新人教育、および全スタッフの継続的な教育訓練、それらの効果を評価するための各種書類(様式)について取り決め、「教育訓練実施手順書」を作成しました。
■リーダーとしてのエピソード等
教育訓練の一環として、全員に聴講して頂く必要のある勉強会の企画・運営を行いましたが、最初にビデオ撮影を行った上で何度も上映会を開いたり、それでも参加できなかったスタッフに対するフォローもする必要がありました。
■これからISO取得をめざす施設の方に対する一言アドバイス
検査精度の保証、そしてさらなる向上のためには、必要な教育訓練を継続的に行い、効率的な人材育成を行うことも非常に重要です。長期的なビジョン・理念に基づいた人材育成を実現するためのツールとしても、手順書の作成は有用であると思います。

設備管理委員会
辻 博昭

■委員会・WGの作業内容​
機材(測定装置、遠心機、冷蔵庫、冷凍庫、ピペットなど)一つ一つに管理番号を付け機材管理台帳を作成し管理します。具体的には、購入年月日、故障時の内容、校正の必要性の有無、メンテナンス予定、廃棄年月日まで機材ごとにカルテの様なものを作成します。
■リーダーとしてのエピソード等
想像以上に機材管理台帳の作成に時間がかかります。院内で行う校正もかなりの労力がいりました。
■これからISO取得をめざす施設の方に対する一言アドバイス
不必要な機材などを整理するいい機会になると思います。

内部監査委員会
村田 充子

■委員会・WGの作業内容​
セミナーや監査の日程/人の調整、説明。作成書類のチェック、まとめ作業など。
■リーダーとしてのエピソード等
監査期間は監査員や被監査側から様々な質問(規格の解釈、不適合内容が適切か?、書類の書き方、など)が出できます。しかしながら自身が規格内容を十分理解しないまま臨んだので的確な回答を出せない事が多々ありましたが、WGメンバーがしっかりフォローしてくれました。また紙書類に捺印をもらうため、今までにないぐらい検査部内を歩き回りました。
■これからISO取得をめざす施設の方に対する一言アドバイス
作業過程で太っていく方、痩せ細っていく方・・・様々でした。まずは心と身体の健康に注意!です。そして、土台を作る事は容易な作業ではありません。面倒な事もたくさんありますが着実にこなすことで次年度からの要領がよく解ると思います。最後に、内部監査員になれば他部署の作業内容をよく知ることができますよ!

品質管理委員会
白波瀬 浩幸

■委員会・WGの作業内容​
プロセス管理手順書、苦情処理手順書、不適合データ管理手順書、是正処置実施手順書、予防処置実施手順書、マネジメントレビュー実施手順書の作成
■リーダーとしてのエピソード等
ISOでは検査部のインシデント提出基準や報告方法などを定める必要がありましたが、院内のインシデント提出方針の根底には「バッドニュースファースト」の考え方があるため整合性の配慮に苦慮しました。
■これからISO取得をめざす施設の方に対する一言アドバイス
検査部リスクマネージャーであるため品質管理委員会リーダーに任命されましたが、ISOを取得後のことを考えると、品質管理者がリーダーを担当されるほうが合理的であると思います。

文書管理委員会
丹羽 紀実

■委員会・WGの作業内容​
発生する全ての文書(SOPや記録)作成におけるルールの決定文書管理システムASTRUXを用いた文書の運用の確立
■リーダーとしてのエピソード等
知識がほとんどない状況でリーダーを務めるのは不安でいっぱいでしたが、頼りがいのあるサブリーダーや信頼できるWGメンバーに支えられました。要所要所では業務の容量的に辛い時期もありましたが、無事取得できて一安心です。
■これからISO取得をめざす施設の方に対する一言アドバイス
ISO自体の特性や取得後の継続性から考えると、なるべく多くの人に主体性を持って関わってもらうことが重要だと思いました。
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