臨床試験支援

 早期臨床試験部(http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~rinsho)は、開発企画部その他のプロジェクトチームで準備された方法と材料を用いて実際の臨床研究を支援し、同時に被験者の権利擁護とケアを任務とする組織である。具体的には、臨床研究の実施に際し安全性・妥当性に十分に留意して被験者を選定し、適切でわかりやすい説明を行いインフォームド・コンセントの取得、安全性情報の管理・有害事象への対応、臨床研究計画立案のための患者予備調査、臨床研究実施計画書を作成するプロトコル作成ワーキンググループへの参加、各職種・部局間や医療従事者と被験者/家族との間の連絡調整など多岐にわたる調整業務を行なうとともに、臨床試験終了後の被験者についても心身のケアに努めている。

 当部には横出正之部長の下に平成25年4月現在、医師9名(教授1 准教授1 特定講師2 助教2 特定助教3)、臨床研究コーディネーター(CRC)4名(薬剤師2名、看護師1名、臨床検査技師1名)、臨床心理士1名が所属している。また、京都大学大学院医学研究科 内科系専攻 臨床創成医学分野として学生を募集し、新たな探索医療システム構築の研究を志す若者にも門戸を広げている。

 医師・研究者が主導する臨床研究の支援にあたっては、医療技術を開発する部門(開発企画部など)と、実際に臨床研究を支援・調整する部門(早期臨床試験部)、臨床試験の質の管理を担当する部門(データサイエンス部)が、それぞれの専門性を発揮しながら、関わりあう必要がある。早期臨床試験部は関連診療科や事務等を含めた医学部附属病院全体との協力の窓口となり、プロジェクトに応じた支援診療科(部)と医療チームを編成して臨床研究を遂行している。

 新規医療技術の開発には、薬事法・同施行規則・厚生労働省令などによる法規制のもとに、製薬・機器メーカーが医薬品・医療機器の製造承認を得るために整備してきた「治験」に準じた臨床試験システムの構築が必須である。そのために、本年度も臨床創成医学セミナーを開講し、スタッフの教育、及び教室スタッフが学内外の研究活動を通じて得た知識・情報などを伝達し、討議を重ねている。

 また、先端医療の開発に必要な倫理基盤の整備のため、平成19年度から日本学術振興会科学研究費補助金を獲得し、被験者の利益と権利を護るための研究を進めている。この研究成果をもとに、(旧)高度医療評価制度の創設や「臨床研究に関する倫理指針」の改正に際し政策提言を行い、平成21年4月に施行された改正指針にはその一部が反映された。

 このように早期臨床試験部は科学的・倫理的な研究開発から臨床研究実施までの一貫した態勢には欠かすことのできないノウハウと統括機能を持つ部門であり、これに相当する組織無しでの探索的医療はあり得ないとも言える。なお、今年度もソウル国立大学と共同して院内各部門の医師・歯科医師の協力を得て、研究者の臨床研究への意識や取り組みについての、国際比較研究を継続している。