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皮膚潰瘍

○ 皮膚の傷が治らないのですが。
  皮膚に傷ができれば、普通の状態であれば傷を修復する力が働きます。清潔にしておけば治るものです。しかし、もし、数ヶ月あるいは場合によっては数年も傷が治らないのであれば、傷を作ってしまう原因があるはずです。糖尿病があれば、手足の先の血流が悪くなって靴擦れなどから傷になることが多いです。また、糖尿病により神経のしびれや知覚の低下があり傷に気づきにくくなることでいっそう悪化させてしまいます。低温やけどもあなどれません。低温やけどで治癒するまで年単位の時間を要する方もおられます。動脈硬化により血管が詰まりやすい状態になるとやはり足先などに潰瘍を生じてしまいます。このように血流が悪い状態が基礎にあると傷が出来やすくなります。
これらの状態をまとめると皮膚に新鮮な血液が十分に送られてこないために栄養や酸素不足で皮膚の細胞が痛んでしまう状態と言えます(=動脈性の潰瘍)。  静脈の流れが悪くてもすねの部分によく潰瘍を作ります。ご自分の足をみてすねの部分が茶色く変色したり、赤くなってかゆみを生じたりしていれば、静脈の流れ(還流)が悪いことが推測されます。このような方はよくこむらがえりを起こすことがあります。静脈が浮き出てこぶのようになっている場合もあります(静脈瘤)。
血液は心臓のポンプによって動脈を通って全身に送られます。全身の組織に酸素を届けたあと、酸素を渡したあとの血液は静脈を通って、心臓へ戻り、肺でまた新たに酸素を受け取ります。古くなった血液を心臓に送り届けるこの静脈の流れが悪くなると古い血液が組織のうっ滞して皮膚の中で炎症を起こします。かゆくなって引っ掻いているうちに傷ができると治りにくくなり潰瘍になります(=静脈性の潰瘍)。 他には、血管炎という血管に炎症を起こして血管が詰まってしまう病気や一部の皮膚腫瘍や何らかの感染症でも皮膚潰瘍になります。
○ 皮膚潰瘍の治療は原因によって異なってきます。
  まず、原因を明らかにすることから治療が始まります。動脈性の潰瘍であれば、血流をよくするために何ができるのか考えます。糖尿病の治療をしたり、可能であれば詰まった血管を通りやすくする治療をしたりします。静脈性の潰瘍であれば、血液がスムーズに心臓に還っていくために生活上の注意点を説明します。足のむくみをとるストッキングや靴下の着用をお勧めしています。
また、静脈瘤があれば手術で治療することもあります。このように傷だけではなく傷が治るための環境整備をするのが大切ですので、内科や外科とも連携して必要な治療を提供しています。靴ずれから傷ができる場合には、靴を作成します。靴の代金については健康保険からの還付もありますのでご相談ください。靴作成は義肢装具士が担当します。ウオノメやタコが潰瘍になることもありますので、そのような場合には足にあった靴を作成することが非常に重要です。
○ 大学病院では各科と連携しながら総合的に治療を進めていきます。
  各科との連携ができるというのが総合病院の強みです。皮膚科医師と糖尿病科医師、看護師および義肢装具士が一緒に糖尿病患者さんの足のケアについて定期的に話し合っています。また、循環器内科にはカテーテルを用いた詰まった血管を押し広げる治療を依頼することもあります。また、足の潰瘍治療には安静と適切な外用治療が重要になりますので、入院は有効な治療のひとつです。慢性の皮膚潰瘍の治療は患者さんご自身の生活環境を見直すことも極めて重要ですので、入院にて生活上の工夫についても理解していただけると思います。
○ 自宅での治療が難しい場合には、在宅支援も行っています。
  皮膚潰瘍の治療は長期に亘ります。また、患者さんには高齢の方も多く、ご自分での処置が難しい方も少なくありません。介護保険や訪問看護、近医との連携など可能な手段を用いて在宅での治療をバックアップしています。
  (松村由美 2009.5.15)

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