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弾性(弾力)線維性仮性黄色腫

○ 弾性(弾力)線維性仮性黄色腫とは
  全身の弾性線維と呼ばれる成分に異常が生じる病気です。10-20万人に1人といわれています。「仮性黄色腫」という病名は、くびやわきなどに現れるぶつぶつが「黄色腫」という他の皮膚病に似ていることから付けられました。「弾性線維」とは身体の組織の弾力性を担っている線維のことで、伸び縮みする器官や組織、つまり皮膚・血管・消化管のほか、目の網膜にあるブルッフ膜というところにも存在します。
生まれたときには症状はありません。加齢と共に全身の弾性線維にカルシウムが沈着するなどの変化がゆっくり進行します。次第にこれらの器官・組織が脆くなり、以下に述べるさまざまな症状が現れてきます。
○ 症状
  皮膚:通常は20歳以降に発症します。首、脇、股などよく曲がる部位に1-3mm大の黄白色のぶつぶつが現れ、次第に増えてきます。特に自覚症状はありません。症状が進むと、皮膚が弛み、皺が目立つようになります。

眼:網膜の弾性線維を主成分とするブルッフ膜に亀裂ができて、網膜色素線条と呼ばれる異常が検査で発見されます。20-40歳代に起こります。病気が進行すると視野欠損をきたし、網膜出血を繰り返すときは失明に至る例もあります。

心血管:30歳頃からみられます。動脈の壁にカルシウムが沈着し、血管が脆くなったり、狭くなったりしてさまざまな臓器に障害が起こります。足の冷え、間歇性跛行(しばらく歩くと足が重たくなり歩けなくなる症状)のほか、心筋梗塞、狭心症、脳出血、脳出血、消化管出血などが起こる場合があります。
○ 原因
  体内の細胞で物質輸送に関与しているABCトランスポーターと呼ばれる分子(ABCC6遺伝子)の異常と言われています。この遺伝子異常がなぜ全身の弾性線維の変性やカルシウムの沈着に結びつくかについては、未だ明らかになっていません。
○ 診断
  皮膚を採取する検査を行い、顕微鏡的に弾性線維の断裂や石灰化を確認します。 当科では長崎大学皮膚科との提携により、遺伝子診断も行っています。 眼科的には眼底検査によって網膜色素線条の有無を調べます。これらに異常があれば、消化管や心臓血管の検査も行います。
○ 治療法
  現在のところ根本的な治療法はないため、病気の進行を最大限に食い止めることが目標となります。診断がついたら、半年に1回の眼科および循環器内科での定期検査を行い、そのほかにも異常を感じたら、速やかに当該受診科で検査を受けるようにします。心血管への負担を避けるため、糖尿病や高血圧、高脂血症のある場合はそのコントロールが必須となります。腹圧がかかったり、頭部外傷を受けやすいスポーツは避けるべきです。
皮膚症状については特に治療を要しませんが、弛んだ皮膚を形成外科的に切除するケースもあります。
  (2010.9.30 室賀 絵里)

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