女性健康医学研究室

研究内容

当研究室は2017年度に始まった出来立てほやほやの研究室で、その名称の通り、「病気」以上に「健康」にフォーカスを当てています。つまり「女性生殖器の病気を制圧する」ことより「女性の健康を底上げする」ためにはどうすればよいかを考える研究室です。その目的のためには、臓器や細胞を個というシステム全体から切り離して見ることに終始せず、女性生殖器と個全体を有機的につながった状態で見る視点、そして生活とのつながりや社会とのつながりをも視野に含めたアプローチが必要であることがこの領域の研究の難しさであり、同時におもしろさと意義深さだとも考えられます。

私たちは当科ヘルスケア外来における診療経験を通して「女性の健康増進とエンパワーメントには、自律的なセルフケアを支持・促進する女性医療の実践が重要で 、そのためにはセルフ-モニタリングを核としたセルフケア法の確立と普及、そしてそのようなセルフケアと医療を適切につなぐことが必要なのではないか」と着想しました。

そこで、セルフケアと医療、女性たちと専門家をつなぐ「女性の心身の変調の『見える化』」を大テーマに掲げ、次の2点に取り組んでいます。

  1. 女性本人による月経随伴症状記録法の開発とその臨床効果の検討
  2. 月経周期に伴う症状変調とメンタルヘルスの客観的指標の探索:脳科学・神経科学からのアプローチ

これらにおいて、対象疾患としては思春期・性成熟期女性のQuality of Lifeに大きな影響をあたえる月経前症候群(PMS; premenstrual syndrome)および月経前不快気分障害(PMDD; premenstrual dysphoric disorder)を見据えています。

PMS/PMDDは当事者にも臨床家にも研究者にも、実は捉えどころの難しい病態。
しかしメンタルヘルスケアが重要視される昨今、需要は大きく興味も尽きない、女性ヘルスケア上の重要課題であるといえます。

  • 【程度として】軽度から最重症までの広がり、生理的範囲と病的レベルの境界の曖昧さ
  • 【領域として】産婦人科と精神科の境界
  • 【対処として】セルフケアから専門的治療(薬物療法・非薬物療法)までの広がり
  • 【治療法として】ホルモン療法、精神科薬物療法、漢方療法などの選択もしくは集学的療法

臨床現場で出会った患者さんたちのリアルな声と願いを最大のモーチベーションに、
産婦人科学の知見を基礎に精神医学・脳科学・保健学・助産学・情報学・社会医学など各領域の専門家や企業との連携力を活かして女性健康医学研究を進め、研究室をはぐくんでいきたいと思います!

参考資料リンク

【産学連携事業】
京都大学COI(センターオブイノベーション)プログラム(http://www.coi.kyoto-u.ac.jp/)に参画し、月経を軸にした女性の健康支援ICTシステムの研究開発および監修を行っています。

京都大学医学部附属病院産科婦人科