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大津赤十字病院・外科

膵がんの外科手術治療

 

このページの項目

  (1) 大津赤十字病院における膵がんの手術

  (2) 切除手術の手術成績

  (3) PPPDかPD

  (4) Stage IV膵癌に対する治療方針

  (5) 再建手術

      A.消化管再建法

      B.膵消化管吻合法

  (6) 膵臓外科におけるおもな対象疾患

  (7) 膵臓外科における実施手術

 

(1) 大津赤十字病院における膵がんの手術

 最近,私たちが手術した膵がん(膵ガン,すいがん,膵癌膵臓がんすい臓がん膵臓癌,すいぞうがん)に対する肉眼的治癒切除手術(141例,男性83例,女性58例で,平均年齢63.0歳(37歳から89歳))について検討した.癌の占居部位は膵頭部113例,膵体尾部28例であった.

 膵がん取扱い規約に従った総合的進行度 (ステージ) では,進行度I6例,進行度II4例,進行度III28例,進行度IVa 77例,進行度IVb 26例であり,多くがステージIVであった.

 手術の術式では,膵頭十二指腸切除術(PD)が80例,全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PpPD)が17例,膵全摘術(TP)が22例で,膵体尾部切除術(DP)が22例(2例は尾側膵亜全摘術)であった.門脈合併切除術と門脈再建73例(52%)に施行した.動脈合併切除術8例に施行した.

門脈合併切除

(2) 膵癌切除手術の手術成績

 膵がんの進展様式の特色は,リンパ節転移が高率かつ広範にみられること,膵後面への浸潤傾向RP),膵外神経叢浸潤PL),門脈系静脈への浸潤PV)などである.しかし,膵癌の進展度を術前画像診断で正確に把握することは困難で,手術時に肉眼的治癒切除術が行われたと判断しても組織学的に断端陽性となる場合も少なくない.

 大津赤十字病院・外科の膵癌切除手術の基本的方針は,組織学的に癌局所遺残のない手術を目指すことで,D3リンパ節郭清と膵外神経叢切除術(膵頭神経叢第I部と第II部,SMA右半周,総肝動脈周囲,脾動脈根部,腹腔動脈幹周囲)を行う.これは,後腹膜や主要動脈周囲の広範な郭清操作を伴っているので拡大郭清とも言えるが,実際は切除断端陰性を確保するために必要な標準的郭清と考えている.門脈浸潤に関しては,術前画像診断や術中所見で浸潤が疑われた場合には,上腸間膜静脈や門脈合併切除術と門脈再建で,組織学的癌遺残は防止される.

 大津赤十字病院ではこのような手術方針で根治的切除術を目指しており,年代ごとの手術治療成績(生存率,生存期間の中央値)は向上しつつある.

 

(3) 全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)か膵頭十二指腸切除術(PD)か?

 全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術PPPD)は,1978年にTraversoLongmireにより見直された手術術式で,従来の広範囲胃切除を伴う膵頭十二指腸切除術PD)に比べて,術後の栄養代謝が良好である.

PPPD

 胃を温存することによって術後消化性潰瘍の発生が懸念されたが,H2ブロッカーやプロトンポンプインヒビター(PPI)などの薬剤によって,防止できることがわかった.したがってPPPDは現在,良性あるいは悪性膵頭部領域疾患に対する標準術式となっている.

 大津赤十字病院では現在,治癒切除が可能で,十二指腸浸潤がなく幽門周囲リンパ節転移のない膵がんにも積極的にPPPDを行っている.わたしたちが経験したPD施行84例とPpPD施行16例の肉眼的治癒切除症例を対象に,短期手術成績と長期手術成績の両面から両術式を比較検討すると,総合的根治度AまたはBが得られた症例は,PPPD例が75.0%,PD例が70.2%と両群間に有意差がなかった.

 胃周囲リンパ節転移は対象症例全体で#6が8例に認められたが,PPPD例に組織学的#6リンパ節転移例はなかった.

 合併症発生率と入院死亡率もPPPD例とPD例に有意差はなかった.予後因子の多変量解析では術式は有意の予後因子ではなく,単変量解析でも膵がんPPPD例とPD例に有意差を認めなかった.

 術後の体重変化や栄養指標(Hb値,T-Chol値,Alb値)はPPPD例がPD例より有意に良好であった.膵がんに対する切除術としてPPPDが標準手術になると考えている.

(4) Stage IV膵がんに対する治療方針

 膵癌の治療方針について,日本と欧米では大きく異なっていた.特に,遠隔転移のない Stage IV 膵がんに対して,日本の外科医は積極的外科切除手術を選択し,欧米の外科医は化学療法や放射線療法を選択する傾向にある.日本の膵臓外科医による積極的外科切除と補助療法の開発により,進行膵がんにおいても成績向上が認められている.欧米の外科医は,膵がん切除手術後の長期成績が不良であることから,大多数の患者にとって切除術は最良の姑息手術 (best palliative procedure) であるとの見方をしている.T2膵がん(膵周囲浸潤の見られない癌)を切除術の対象とし,門脈再建が必要な症例は切除しない方針をとるのが一般的である.

 また別の側面からみると,切除可能性すなわち治癒切除が可能かどうかの判断は,個々の外科医の考え方手術の技量あるいは施設の方針によって決定されているところに問題がある.積極的切除術によって生存率の向上は認められても,手術に伴う合併症が高ければ,標準治療とはならない.また術後QOL(生活の質)の低下などを合わせて考えると,外科治療が必ずしも有利であるとは言えなかった.一方,化学療法や放射線療法はQOLを加味したとしても,手術より優れているという証拠はない.進行膵癌のどの進行度までは手術療法が保存的療法に優り,どの進行度を越えれば,優劣がなくなるかの科学的証拠がなかった.

 このような背景から遠隔転移のない局所進行膵がんに対し,どのような治療方針で臨むのが最も患者さんの利益になるのかを見直す必要があったため,私たちが中心となり,多施設共同臨床試験が行われた.結論として Stage IV 膵がんの患者さんには,外科切除手術を選択するほうが,放射線化学療法よりもメリットがある,ということが明らかになった.この最終解析結果は,Surgery Today 38: 1021-8, 2008に掲載されており,臨床試験に裏打ちされたエビデンスとして国際的に高い評価を受けている.

(5) 再建手術

A.消化管再建法

 膵頭十二指腸切除術後の再建術式は,安全性と確実性を求めて種々の術式が考案され,Whipple法,Child法,今永法・鈴木法などと呼ばれる.現在では,膵がん取扱い規約に従って,その配列から,PD-I(胆管・膵・胃の順),PD-II(膵・胆管・胃の順),PD-III(胃・膵・胆管の順)と PD-IV(その他)に分類され,膵吻合の術式としては,端側膵空腸吻合(A),端端膵空腸吻合(B),端側膵胃吻合(C)などがある.たがって,幽門輪温存膵頭十二指腸切除後の再建術式も含めて,PD-A PD-IIB PpPD-IIIC などと呼ぶ.これらの再建術式の中でも,端側膵空腸吻合を用いた再建が最も普及している術式である.

B.膵消化管吻合法

 膵空腸吻合における縫合不全は,吻合術式そのものや外科医の技量,術中出血量,患者の全身状態や術前黄疸の有無などと関連があるが,尾側膵の状態が最も膵腸吻合縫合不全と関連の深いリスクであるとされてきた.すなわち,尾側膵に線維化がなく膵外分泌機能の損なわれていない状態(いわゆる soft pancreas)では膵腸吻合縫合不全の発生頻度が高い.このため腫瘍随伴性膵炎によって尾側膵管が拡張し尾側膵が萎縮している症例ではなく,膵管非拡張症例に対しても安全な吻合を行うことが膵臓外科医として腐心するところである.

 私たちは,以前は尾側膵管の状態によって2つの膵空腸吻合法を使い分けてきた.すなわち,膵管非拡張例に対しては,膵液の完全ドレナージが最も安全であると考えチューブ外瘻法(ロングステント膵管内挿管のみ)を,慢性膵炎症例や腫瘍随伴性膵炎により膵が硬化し尾側膵管の拡張している症例では膵管空腸粘膜吻合法を選択していた.しかし,1) 膵管非拡張例でも確実に膵管と空腸を縫合することが技術的に可能であること,2) 術後長期の膵腸吻合部の狭窄の少ない術式が望ましいことから,19974月以降は尾側膵管の状態にかかわらず全例に膵管空腸粘膜吻合法を施行している

 尾側膵管の状況で膵管チューブ完全外瘻法か膵管空腸粘膜吻合法かを選択していた19973月までの症例と,尾側膵管の状況にかかわりなく全例に膵管空腸粘膜吻合法を実施した19974月以降の症例と,膵腸吻合縫合不全発生頻度を比較したところ,全例に膵管空腸粘膜吻合を実施している最近の症例では,縫合不全は27例中2例(発生率7.4%,minor2例)で,それ以前の症例の54例中5例(発生率9.3%,major3例,minor2例)に比べて良好な結果であった.膵管空腸粘膜吻合法は安全な方法であると考えている.

膵液瘻合併症

(6) 膵臓外科におけるおもな対象疾患

 

   膵がん(膵癌,膵ガン,すい臓がん)

   膵管内粘液乳頭腫瘍(IPMN/IPMT),膵粘液性嚢胞腫瘍(MCN/MCT

   腫瘤形成性膵炎,自己免疫性膵炎

   膵内分泌腫瘍

   (膵島細胞腫,インスリノーマ,ガストリノーマ,グルカゴノーマ)

   十二指腸乳頭部癌

   十二指腸カルチノイド,十二指腸GIST

   膵管胆管合流異常症

   胆嚢癌,胆管癌

   肝細胞癌,肝内胆管癌,肝門部胆管癌

   胆石症

(7) 膵臓外科における実施手術

 

   膵頭十二指腸切除術(PD

   全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD

   膵体尾部切除術(DP

   膵全摘術(TP

   膵腫瘍核出術

   膵空腸吻合術

   胆嚢摘出術

   肝右葉切除術,拡大肝右葉切除術,肝右三区域切除術

   肝左葉切除術,拡大肝左葉切除術,肝左三区域切除術

   肝中央二区域切除術,肝尾状葉切除術,肝外側区域切除

   腹腔鏡下胆嚢摘出術

   腹腔鏡補助下膵体尾部切除術

 

検索用語:膵がん,膵ガン,すいがん,膵癌膵臓がんすい臓がん膵臓癌,すいぞうがん,膵臓ガンすい臓癌すい臓ガン膵腫瘍,慢性膵炎,膵嚢胞,切除術,手術,鏡視下手術,膵横断切除術,膵中央切除術,PD,門脈再建,生存率

 

 

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