
●科長
腫瘍外科と肺移植という二つの分野の発展を大きな目標に掲げ、低侵襲手術から高度な集学的治療、先進医療に至るまで幅広い診療を行っています。早期の原発性肺癌や縦隔腫瘍に対しては、胸腔鏡手術を標準とした低侵襲手術を行い、2018年4月より保険適応になったロボット支援下手術も積極的に行っています。一方で切除可能な進行肺癌に対しては、集学的治療を積極的に行い、肺移植の手術手技を応用して完全切除を行っています。
●主な対象疾患
原発性肺癌・転移性肺腫瘍・縦隔腫瘍(胸腺腫など)・胸膜中皮腫・気胸・膿胸・横隔膜疾患・肺移植の適応疾患
●診療体制
■外来診療体制
呼吸器外科一般の初診と再診外来を毎日午前と午後に、肺移植外来を毎週月曜日午後に設けています。治療方針に関しては、呼吸器内科、放射線診断科、放射線治療科と十分に検討し決定しています。検査に関しては、気管支鏡検査を年間約200例施行し、超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)やナビゲーションシステムを用いた肺の末梢病変の生検も行っています。
■入院診療体制
積貞棟(25病床)で、手術患者の周術期管理・肺癌術後補助療法、再発肺癌に対する治療、肺移植の適応評価などを行っています。2025年の全身麻酔手術症例数は460例で、うち原発生肺癌が193例でした。肺癌手術の多くは完全胸腔鏡下やロボット支援下に低侵襲で行っています。一方で、進行肺癌に対しては、化学療法、免疫療法、放射線療法など適切な治療を手術に組み合わせ、根治を目指します。
●得意分野
■先進医療の取り組み
①コンビームCT、蛍光色素、マイクロチップなどのナビゲーションシステムを用いた小型肺癌に対する低侵襲手術
世界に先駆けて、蛍光色素を用いた経気管支鏡的マーキング(ICG-VAL-MAP)を開発し、また、術中コンビームCTを用いた手術をこれまでに行ってきました。最近では、スマートフォン等でも近距離無線通信として使用されている無線技術を応用したRFIDマイクロチップを用いるマーキング手法を開発し、世界で初めて肺癌手術に臨床応用しました。単孔式を含む胸腔鏡手術やロボット支援下手術と組み合わせ、より低侵襲かつ確実な腫瘍切除を可能とします。2019年9月に臨床初使用し、以降着実に使用経験を積み重ね、現在、250例以上の実績があります。
②ロボット支援下手術
2018年4月より肺癌と縦隔腫瘍に対するロボット支援下手術が保険適応となり、当院でも最新のダビンチXiを使用しての手術に積極的に取り組んでおり、京滋地区では最多の症例数を誇っています。また、2024年6月より国産初の手術支援ロボットhinotoriTMを用いた肺切除を導入しました。毎年100例前後の手術実績があります。
③肺移植
京都大学の肺移植数は年々増加しており、2025年末までに413例の肺移植(脳死270例、生体140例、脳死+生体のハイブリッド手術3例)を実施しており、国内最多の肺移植実施数です。自己肺温存移植、片肺葉移植、区域移植、反転移植など、世界的にも先駆的な肺移植を行い、患者の救命に努めております。ABO血液型不適合条件下での生体肺移植など先進的な取り組みもしています。2023年には生体肺肝同時移植を京都大学移植チームで実施しました。本院の移植後5年生存率は70%台で、国際心肺移植学会からの報告の50%台と比較し、非常に良好な成績です。
※この外来担当医表は2026年6月現在です。
