●科長
泌尿器科がんに対してQOLを考えた低侵襲手術を重視し、さらに、外科的手術のみならず、放射線治療や新規抗がん剤、免疫チェックポイント阻害薬治療などを組み合わせた集学的治療プロトコールを確立することで、他施設では治療が困難な患者さんにも積極的に対応しています。また、排尿障害、小児泌尿器、腎移植に対しては専門外来を設置し、さまざまな臨床試験に取り組むとともに、安全で患者さんに優しい医療をめざしています。
●主な対象疾患
副腎腫瘍・腎細胞がん・尿路上皮がん(腎盂がん・尿管がん・膀胱がん)・前立腺がん・精巣腫瘍・前立腺肥大症・尿路結石症・尿路感染症・男性不妊症・腎不全(腎移植)・尿失禁・排尿障害・尿路性器系先天異常(膀胱尿管逆流症・水腎症)・後腹膜腫瘍
●診療体制
前立腺がん・膀胱がん・腎細胞がんなどの泌尿器科がんの診療に重点を置くとともに、尿失禁/排尿障害・腎移植・小児泌尿器科疾患には専門外来を設置して診療にあたっています。前立腺がん症例の増加と多様化する治療オプションに応えるため、前立腺がんユニットを開設し、毎週 水曜日に泌尿器科医と放射線治療科医が合同で診療を行っています。前立腺がんの診断には前立腺生検による組織診断が必要です。当院では2022年4月に保険適用になった「MRI撮像及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法(MRI-fusion生検)」を保険適用以前より積極的に取り組み、正確な診断方法にも力を入れてきました。また、膀胱鏡検査や前立腺生検のような特殊検査、停留精巣などの小児疾患などの手術は、個別に症例を検討の上、日帰り検査・日帰り手術として実施しています。
南病棟6Fに28床の病床を有し、2023年度の入院患者は延べ10,456人、計515件の手術を施行しています。高度医療を行う大学病院であるため、治療が困難な患者さんが多いものの、2023年度の平均在院日数は9.39日となっています。2024年3月末までの1年間にロボット支援下手術をそれぞれ前立腺全摘除術35例、腎部分切除術25例、膀胱全摘除術13例、腎・腎尿管・副腎摘除24例で施行しており、患者さんの満足度も非常に高いものとなっています。尿路変向を体腔内で行うことにも取り組み、より低侵襲な治療を目指しています。また、2023年度は24例の腎移植術を施行しております。
●得意分野
体腔鏡下手術を国内でいち早く取り入れた実績をもとに、2011年4月に全国に先駆けてダヴィンチを導入し、ロボット支援下手術にも力を注いでいます。泌尿器科がんに対しては、がんの根治はもちろんのこと、術後の機能温存を考えた低侵襲手術を重視しています。前立腺癌では、男性機能温存のための勃起神経温存手術や術後尿失禁が早期に改善するレチウス温存手術など、高い技術を要する手術をロボット支援下で積極的に行っています。進行泌尿器科がんの全身治療においても、蓄積された治療成績をもとに全例に対して個別に十分なカンファレンスを行い、 新規抗がん剤や局所手術/放射線治療を組み合わせた集学的アプローチで対応しています。
また、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)に属し、多施設共同臨床試験やさまざまな臨床研究に取り組むことで、標準的な医療を安全に提供するのみならず、近年の知見を積極的に導入した最先端の医療にも積極的に取り組んでいます。
※この外来担当医表は2024年12月現在です。