2023年12月より、“切らない乳がん治療”のひとつであるラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation:RFA)が保険診療となりました。このたび、京都大学医学部附属病院は日本乳癌学会より実施施設としての認定を受け、ラジオ波焼灼療法を希望される患者さんの受け入れを2024年11月より開始しましたのでお知らせいたします。
ラジオ波焼灼療法はがんのしこりに細い特殊な針を刺し、針から発生する電磁波によってがんのしこりとその周辺の組織を約70℃まで加熱し変性壊死させる治療法です。乳房の皮膚から細い針を刺すだけなので、手術のように皮膚を大きく切ってしこりを摘出することはありません。このため、通常の手術と比べて、患部にほとんど傷跡が残らない、乳房に変形が生じにくい、入院期間や麻酔時間が短くなるといったメリットがあります。
早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法は2013年8月より開始された国立がん研究センターが中心となって行われた臨床試験(早期乳癌へのラジオ波熱焼灼療法の有効性の検証と標準化に向けた多施設共同研究(注)の短期成績で有効性と安全性が確認され、新しい治療選択肢として認められました。現在、ラジオ波熱焼灼療法を希望される患者さんは、学会が定める適格基準を満たしている必要があります。また、治療後も決められたタイミングで画像検査や針生検による病理組織検査を行い、がんがきちんと焼き切れているか、治療した部位でがんが再発していないかを確認する必要があります。
当院では、乳腺外科医、放射線診断医、放射線治療医、病理診断医が協力して精度の高い術前診断と治療後のフォローアップを行い、患者さんに安全にラジオ波焼灼療法をご提供できる体制を整えております。仮に、ラジオ波焼灼療法が不適格となった場合でも、標準治療である乳房温存術や各種乳房再建術(自家組織や乳房インプラントによる再建術等)などあらゆる手術療法をご提供することが可能ですので、ラジオ波焼灼療法を検討したいと考えられている患者さんは、是非当院にご相談ください。