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病院長挨拶

病院長挨拶

京都大学医学部附属病院は1899年(明治32年)に設立され、2019年に創立120周年を迎えました。「患者中心の開かれた病院として、安全で質の高い医療を提供する」「新しい医療の開発と実践を通して、社会に貢献する」「専門家としての責任と使命を自覚し、人間性豊かな医療人を育成する」の基本理念を元に、安全安心な医療の提供に取り組んでいます。

 現在、京大病院は、新病棟の建築や既存の病棟の改築などの施設整備を急ピッチで進めています。2015年には、南病棟の新設と、災害医療対策としてのヘリポート整備をおこないました。2016年には、検診部門でもある先制医療・生活習慣病研究センターを新設しました。そして、2019年には、高度急性期医療により対応するべく、計90床のケアユニット(救急や脳卒中治療のためのICU、ES-ICU病床、周産母子・新生児医療の拠点となるMFICU、NICU、GCU病床)を備えた中病棟を新設しました。

 京大病院は、現在でも大学病院としてトップレベルの救急応需を行っており、救急外来前に複数の救急車が見られることが少なくありませんが、高難度救急に対する機能をさらにアップするため、手術部・救急部を含む中央診療棟のリノベーションなど、未来を見据えた施設整備を予定しています。

 また、このような施設整備にともない、京大病院は災害対策拠点病院に認定されています。拠点病院としての役割を果たすため、京都地区における大規模災害にも対応できるよう事業継続計画を整備していますが、大切なのは完全な計画をつくることではありません。本当に大切なのは、病院内の各部署が発災時に自ら考え判断行動する能力をもつことです。京大病院では、そのようなコンセプトに基づいて、病院全体の訓練や計画だけではなく各部署がミニ訓練を行い、防災・事業継続計画を順次更新していく体制を整備しています。

 京大病院の手術件数は、全国国立大学病院のなかで屈指の多さを誇り、質・量とも他の追随を許さない最先端治療環境にあります。手術部においては、より低侵襲で安全な手術を可能とするシステムとして、全国でも数多くの施設で整備されている手術支援ロボットダヴィンチやカテーテルインターベンションを組み合わせたHybrid ORなどは無論のこと、高磁場術中MRI装置や、京大病院にしかないポータブルCTをもちいた高規格ナビゲーションシステム完備の手術室が稼働しています。

 がん医療については、国立大学では初めてとなる「がんセンター」を2007年に設立し、診療科別の縦割り診療ではなく、診療科・職種横断的がん医療を実践してきました。最近のゲノム医学の発達とICTの進歩により、がんおよび個人のゲノム情報を融合し、最善の医療を提供する革新的個別化医療が可能となりました。京大病院は、全国に指定された12のがんゲノム医療中核拠点病院のひとつとして、成人のがんでは17の連携病院と、小児がんでは4つの拠点病院と連携してゲノム解析による精密医療を推し進めています。

 新しい医療を研究・開発することも、臨床研究中核病院に指定されている京大病院の重要な使命です。京都大学iPS研究所との共同研究の成果として、パーキンソン病に対するiPS由来神経細胞の移植や、疾患iPS細胞を用いた研究に基づく創薬など、難病に対する新しい治療の開発が行われています。創薬シーズとなる研究成果を臨床へステージアップするため、2017年に、前臨床段階において患者さんまたは健常者由来のヒト生体試料(いわゆるクリニカルバイオリソース)を効率よく収集、管理、活用できる「クリニカルバイオリソースセンター」を設置しました。それらの研究成果が臨床にステージアップした際の治験病棟として、「次世代医療・iPS細胞研究センター(Ki-CONNECT)」が2020年4月から稼働し、iPS細胞を用いた治療や、がん・希少疾患に対する新たな治療開発をおこなう予定です。新しい技術開発やバイオマーカー探索を進め、より有効でより安全な医薬品、治療法をできるだけはやく臨床で応用できるようにしたいと考えています。

 京大病院では、職員の働き方改革をめざして、負担軽減のための様々な業務見直しもおこなっています。育児をしながら時短勤務が可能な「キャリア支援診療医」制度や、夕方に京都市内の保育所へ院内保育士が迎えに行き、夜は院内保育所で保育する「お迎え託児」制度など、子育てをトータルサポートする体制が整っています。また、職員支援専従の病院長補佐職を設置しており、新しい院内保育所の整備に向けた取組みを進めています。今後も、医療に関係する人材がチームスピリットとやり甲斐を感じて働けるような環境を、みんなで考えてつくっていきたいと考えています。

 このように京大病院は、診療、研究、働き方においても最先端の環境にあるhigh volume hospitalですが、病院は「病を治し患う人を癒す」ために存在しています。すなわち、病院運営の基軸はいつも”For the patient(患者さんのために)”です。医師、看護師、薬剤師、栄養士、検査技師、理学療法士、事務部門などの多くの職種がチームとして機能してこそ、”For the patient”という揺るぎない基軸のもとに安心安全な医療が可能となります。これからも職員みんなが心と力を合わせて、患者さんのために、また、社会の期待に応えるために前進していきたいと考えております。今後ともご支援ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。

病院長 宮本 享