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病院長挨拶

病院長挨拶

 京都大学医学部附属病院は1899年(明治32年)に設立され、2019年に創立120周年を迎えました。「患者中心の開かれた病院として、安全で質の高い医療を提供する」「新しい医療の開発と実践を通して、社会に貢献する」「専門家としての責任と使命を自覚し、人間性豊かな医療人を育成する」の基本理念を元に、安全安心な医療の提供に取り組んでいます。

 京大病院では、高度急性期医療や高度先進医療により対応するべく、施設整備や組織の設置を急ピッチで進めています。2019年には、計90床の集中治療病床を集約させた中病棟を新設し、現在、一部を新型コロナ肺炎重症例を治療するユニットとして運用しています。2021年には、西構内に設置していた精神科神経科とデイ・ケア部門の集約も行い、診療科間のさらなる連携へと繋がっています。また、手術部門と救急部門のリノベーションを行い、新興感染症によるパンデミックにも対応できるモデル病床と結核病棟の増築を行いました。これにより、大学病院としてトップレベルの救急応需病院として、高難度救急に対応するための体制がさらに整備されました。さらに、2021年から2022年にかけて、「こども医療センター」や「VHL(フォン・ヒッペル・リンドウ)病センター」「摂食嚥下診療センター」「脳卒中療養支援センター」など、特定の疾患に対して診療科横断的に対応する組織を設置し、よりシームレスに患者さんに医療や情報を提供できるようになりました。今後、患者さんの外来診療から入退院までを一元的に支援するPatient Flow Management構想に基づいた組織の設置も予定しています。

 京大病院の手術件数は、年間1万件以上と大学病院のなかで屈指の多さを誇り、質・量とも他の追随を許さない最先端治療環境にあります。より低侵襲で安全な手術を可能とする手術支援ロボットダヴィンチやカテーテルインターベンションを組み合わせたHybrid ORなどは無論のこと、高磁場術中MRI装置や、ポータブルCTをもちいた高規格ナビゲーションシステム完備の手術室が稼働しています。京大病院には、難病や移植など本院でなければ救うことができない命を救う役目があります。その一方で、通常の医療や感染治療、救急医療に関しても、地域から求められる役割を果たしています。難しいかじ取りではありますが、これらの医療を両立していくことが京大病院の責務であると考えています。

 がん医療については、国立大学では初めてとなる「がんセンター」を2007年に設立し、診療科別の縦割り診療ではなく、診療科・職種横断的がん医療を実践してきました。最近のゲノム医学の発達とICTの進歩により、がんおよび個人のゲノム情報を融合し、最善の医療を提供する革新的個別化医療が可能となりました。京大病院は、全国に指定された12のがんゲノム医療中核拠点病院のひとつとして、成人のがんでは18の連携病院と、小児がんでは4つの拠点病院と連携してゲノム解析による精密医療を推し進めています。

 新しい医薬品や治療法を研究・開発することも、臨床研究中核病院に指定されている京大病院の重要な使命です。京都大学iPS研究所と共同して、パーキンソン病に対するiPS由来神経細胞の移植や、疾患iPS細胞を用いた研究に基づく創薬など、難病に対する新しい治療の開発を行っています。創薬シーズとなる研究成果を臨床へステージアップするため、2017年に、前臨床段階において患者さんまたは健常者由来のヒト生体試料(いわゆるクリニカルバイオリソース)を効率よく収集、管理、活用できる「クリニカルバイオリソースセンター」を設置し、2020年には早期臨床研究の専用病棟となる「次世代医療・iPS細胞研究センター(Ki-CONNECT)」も開設しました。

 病院は「病を治し患う人を癒す」ために存在しています。すなわち、病院運営の基軸はいつも“For the patient(すべては患者さんのために)”です。医師、看護師、薬剤師、栄養士、検査技師、理学療法士、事務部門などの多くの職種がチームとして機能してこそ、“For the patient”という揺るぎない基軸のもとに安心安全な医療が可能となります。これからも職員みんなが心と力を合わせて、患者さんのために、また、社会の期待に応えるために前進していきたいと考えております。今後ともご支援ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。

病院長 宮本 享