新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた「京大病院と京都市による包括連携協定の締結」及び「大規模疫学調査の中間結果」について
2020年11月6日
概要
この度、京大病院及び京都市は、集団感染の封じ込めなど、実効性ある対策を推進するため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた包括連携協定を締結しましたので、お知らせします。
また、京大病院と京都市の連携により、本年7月から実施している大規模疫学調査について、中間結果が取りまとめられましたので、併せてお知らせします。
1.包括連携協定の締結
⑴ 協定締結の経過
京大病院は、本年8月6日に、新型コロナウイルス感染症の蔓延による医療崩壊への懸念から、新規感染者数を抑えるための提言を発表しました。
京大病院と京都市は、これまで、新型コロナウイルス感染症に係る大規模疫学調査など、連携した取組を進めてきたことと、この提言を踏まえ、両者がさらに連携を強めて新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでいくため、11月1日、包括的な連携協定を締結しました。
- ○締結期間
令和2年11月1日~令和4年3月31日
- ○締結者
(京都市) 門川 大作 京都市長
(京大病院) 宮本 享 病院長
- ○協定内容
京都市と京大病院は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に取り組むに当たり、下記の事項について、互いに連携・協力する。
・行政検査の実施に関すること
・疫学調査に関すること
・感染拡大防止のための事業に関すること
⑵ 協定に基づく具体的な取組内容
- ○行政検査への協力
京大病院は、大規模な集団感染事案の発生等により、行政検査として、一時に多量のPCR検査を実施する必要が生じた場合に、京都市からの依頼に基づき、PCR検査を実施します。
- ○大規模疫学調査(抗体検査)の拡大実施
京大病院と京都市の連携により、本年7月から、医療・福祉施設や保育所、学校の職員など、いわゆるエッセンシャルワーカーを対象に実施している、抗体検査を中心とした大規模疫学調査について、実際にクラスターが発生した施設(高齢者施設、接待を伴う飲食店等)の従業員等にまで調査対象を拡大して実施します。
- ○高齢者入所施設等「検疫モデル」
入所系の高齢者施設など、感染者が発生した場合に集団感染や重症化のリスクが高い施設について、施設職員に対する研修・指導など、施設内の感染対策の強化と併せて、新規入所者に対する入所前のPCR検査の実施などにより施設内へのウイルスの持込みを防ぐ「検疫モデル」を京大病院と京都市の連携により開発し、その普及を目指します。
2.大規模疫学調査(抗体検査)の中間結果
⑴ 大規模疫学調査(抗体検査)の概要
京大病院と京都市の連携により、抗体検査を中心に大規模な疫学調査を継続的に実施することにより、市域における新型コロナウイルス感染症の感染の広がりの把握をはじめ、新たに得られた知見を新型コロナウイルス感染症対策に活用するものです。
流行状況を踏まえ、複数回の調査を実施します。
- <研究実施体制>
研究責任者 : 京大病院 検査部・感染制御部 教授 長尾美紀
共同研究機関 : 京都大学iPS細胞研究所
研究協力機関 : 京都市、京都市立病院 ほか
⑵ 中間結果の報告
- ○対象者
調査の同意を得られた京都市の学校や保育所、公共交通機関、医療機関、高齢者福祉施設などの職員に対して調査を実施しました。
- ○調査項目
・血液検査(新型コロナウイルスに対するIgM抗体・IgG抗体)
・唾液検査(PCR検査)
- ○検査結果
抗体検査 : 1,737名中 陽性は8名(0.46%)
PCR検査 : 1,192名中 陽性は0名(0%)
(参考)10月末までの市内累計患者数 1、400名(0.09%)
- ○結論
調査期間内に、COVID-19感染者は認めなかった。
抗体検査結果は同じ試薬を用いた疫学報告が少なく現時点では評価が困難である。
今後も同様の調査を継続し、評価する予定である。