2023年10月24日
【背景】 治験では、治験実施計画書にて厳密に定められた実施手順に則して、臨床研究コーディネーター(Clinical Research Coordinator、以下CRC)(注3)により投与や検査等のスケジュール管理が行われ、その診療結果を原資料であるカルテに医師が記載し、CRCが手作業で症例報告書(Clinical Report Form、以下CRF) (注4)やEDCに転記・入力する作業が行われます。CRFやEDCに手作業で入力された情報は、製薬企業が原資料であるカルテとの照合・検証作業を行うことで品質を管理しています。 このような作業により、1つの治療薬が薬事承認されるまでに莫大な時間とコストが必要となり、最終的に医薬品の高価格化の要因となっています。 このような現状から、治験業務の品質確保と効率化が重要な課題となっており、京都大学病院とNTTデータはこれまで院内データ利用による治験参加候補者の抽出や治験のスケジュール管理など、効率化に取り組んできました。このたび新しくeSource(注5)連携の分野で実証を開始します。
【実証について】 目的:IT技術を駆使することによる治験業務の品質確保と効率化の実現 概要:病院内で記録された情報をeSourceとしてEDCへ電子的に連携するための、連携項目の精査および医師主導治験の治験実施計画を用いたフィジビリティの評価 実施内容:・治験支援システムにおいて、病院内で記録された対象患者のデータを収集し、CDISC標準(注6)の形式に変換した上でEDCへ連携するためのデータを出力(図1参照) ・一連のプロセスを通した、医師主導治験への汎用的な適用可能性やCRCの業務効率性の評価 対象:京都大学病院が実施する医師主導治験(NOBEL-ioPDT試験)の研究対象者 実証期間:2023年10月から2023年12月まで 主な役割:<京都大学医学部附属病院> ・本実証に用いる治験計画書および登録情報の提供 ・本実証に用いる治験に関する業務手順に関する情報の提供 ・アプリケーションソフトウエアの利用に必要となる施設内の環境整備 <NTTデータ> ・治験支援システム(業務アプリケーション)提供 ・各種設定、プログラム改修等 実証観点::治験支援システムについて、下記の点に対する評価を行う。 ・医師主導治験でのシステム適用可能性の評価 -ユーザビリティ(システム操作性、業務運用性の確認 等) -業務効率性(連携項目数の確認、作業時間の比較 等) 図1:実証のイメージ 【今後について】 京都大学病院およびNTTデータは、電子カルテやCyberOncology®システム(注7)等の院内データの積極活用による治験業務の効率化を促進すると同時に治験全体の質の向上を図り、最終的には治験期間の短縮・コスト削減・治療薬の早期提供の実現を目指します。将来は、本実証で得られた成果を本邦のさまざまな治験に展開を図り、日本の医療開発への貢献を目指します。 (注1)NOBEL-ioPDT試験は京都大学病院が実施する切除不能進行再発食道がんおよび胃がんに対する免疫チェックポイント阻害剤(ICI)と光線力学的療法(PDT)の併用療法の有効性と安全性を評価する多施設共同第Ⅱ相医師主導治験です。 (注2)EDC(Electronic Data Capture)は、臨床データを電子的に収集する仕組み、もしくはそのシステムのことです。 (注3)CRCとは、Clinical Research Coordinatorの略で、臨床研究コーディネーターと呼ばれています。医療機関において、治験責任医師・分担医師の指示のもとに、医学的判断を伴わない業務や、治験に係わる事務的業務、業務を行うチーム内の調整等、治験業務全般をサポートします。 (注4)CRF(Clinical Report Form)は、症例報告書と呼ばれる、臨床試験を行った際の患者の検査データ等をとりまとめた報告書のことです。 (注5)eSource(Electronic Source)とは電子的フォーマットで記録された原データを指しています。 (注6)CDISC標準とは、非営利の臨床データ標準化団体であるClinical Data Interchange Standards Consortiumが定める、臨床試験データにおけるデータ項目,変数名,メタデータ(データに関する付帯情報),入力や管理のルールを定めたデータ標準となります。 (注7)CyberOncology®はNTTグループの新医療リアルワールドデータ研究機構株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役社長:是川 幸士)が提供する、電子カルテ内のデータソースからがんの臨床データを収集する統合データベースシステムです。https://prime-r.inc/ *文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。 【本件に関する報道関係者からのお問い合わせ先】 京都大学医学部附属病院 総務課企画・広報掛 hisyokoh@kuhp.kyoto-u.ac.jp 株式会社NTTデータ 広報部 nttdata-pr-inquiries@am.nttdata.co.jp ■京都大学医学部附属病院について 京都大学医学部附属病院は、大学病院の使命である「診療・研究・教育」に関する3つの基本理念「患者中心の開かれた病院として、安全で質の高い医療を提供する」「新しい医療の開発と実践を通して、社会に貢献する」「専門家としての責任と使命を自覚し、人間性豊かな医療人を育成する」をベースに、「安心・安全な医療の提供」に努めています。 URL:https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/ ■株式会社NTTデータについて NTTデータは、豊かで調和のとれた社会づくりを目指し、世界50カ国以上でITサービスを提供しています。デジタル技術を活用したビジネス変革や社会課題の解決に向けて、お客さまとともに未来を見つめ、コンサルティングからシステムづくり、システムの運用に至るまで、さまざまなサービスを提供します。 URL:https://www.nttdata.com/jp/ja/
【今後について】 京都大学病院およびNTTデータは、電子カルテやCyberOncology®システム(注7)等の院内データの積極活用による治験業務の効率化を促進すると同時に治験全体の質の向上を図り、最終的には治験期間の短縮・コスト削減・治療薬の早期提供の実現を目指します。将来は、本実証で得られた成果を本邦のさまざまな治験に展開を図り、日本の医療開発への貢献を目指します。 (注1)NOBEL-ioPDT試験は京都大学病院が実施する切除不能進行再発食道がんおよび胃がんに対する免疫チェックポイント阻害剤(ICI)と光線力学的療法(PDT)の併用療法の有効性と安全性を評価する多施設共同第Ⅱ相医師主導治験です。 (注2)EDC(Electronic Data Capture)は、臨床データを電子的に収集する仕組み、もしくはそのシステムのことです。 (注3)CRCとは、Clinical Research Coordinatorの略で、臨床研究コーディネーターと呼ばれています。医療機関において、治験責任医師・分担医師の指示のもとに、医学的判断を伴わない業務や、治験に係わる事務的業務、業務を行うチーム内の調整等、治験業務全般をサポートします。 (注4)CRF(Clinical Report Form)は、症例報告書と呼ばれる、臨床試験を行った際の患者の検査データ等をとりまとめた報告書のことです。 (注5)eSource(Electronic Source)とは電子的フォーマットで記録された原データを指しています。 (注6)CDISC標準とは、非営利の臨床データ標準化団体であるClinical Data Interchange Standards Consortiumが定める、臨床試験データにおけるデータ項目,変数名,メタデータ(データに関する付帯情報),入力や管理のルールを定めたデータ標準となります。 (注7)CyberOncology®はNTTグループの新医療リアルワールドデータ研究機構株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役社長:是川 幸士)が提供する、電子カルテ内のデータソースからがんの臨床データを収集する統合データベースシステムです。https://prime-r.inc/ *文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。 【本件に関する報道関係者からのお問い合わせ先】
■京都大学医学部附属病院について 京都大学医学部附属病院は、大学病院の使命である「診療・研究・教育」に関する3つの基本理念「患者中心の開かれた病院として、安全で質の高い医療を提供する」「新しい医療の開発と実践を通して、社会に貢献する」「専門家としての責任と使命を自覚し、人間性豊かな医療人を育成する」をベースに、「安心・安全な医療の提供」に努めています。 URL:https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/
■株式会社NTTデータについて NTTデータは、豊かで調和のとれた社会づくりを目指し、世界50カ国以上でITサービスを提供しています。デジタル技術を活用したビジネス変革や社会課題の解決に向けて、お客さまとともに未来を見つめ、コンサルティングからシステムづくり、システムの運用に至るまで、さまざまなサービスを提供します。 URL:https://www.nttdata.com/jp/ja/