2024年6月3日
概要
京都大学医学部附属病院は、2023年10月より実施しているフィッティングクラウド株式会社との共同研究において、生成AIを活用した医療文書向け文書生成ソリューション「CocktailAI」を開発し、株式会社ファインデックスが提供するDocuMakerⓇに組み込む形で共同研究の成果を公開しました。
背景
現在の医療現場は、医師の長時間労働によって支えられている側面がある一方、医療の高度化や少子化に伴う医療の担い手の減少といった要因から、医師個人への負担の更なる増加が懸念されています。そのような懸念から、近年は厚生労働省主導の下で医師の働き方改革が進められており、その対策の一環で医師の業務量を減らすことが医療機関に求められています。
医師にはタスクのひとつに診療録の記載がありますが、これに加えて退院時サマリの記載、診療情報提供書の記載など、様々な文書への対応が求められます。これらの文書にはそれぞれガイドラインが定められており、対応に手間がかかることも少なくありません。他方、一連の文書には重複する内容も多く含まれているため、生成AIの利用により、医師の文書作成タスクの省力化が期待できます。
CocktailAIについて
CocktailAIは、診療録から退院時サマリや診療情報提供書で用いる文章を生成します。求められる文章を生成するための工夫としてテンプレートを利用していることが特徴です。
京都大学医学部附属病院とフィッティングクラウド株式会社との共同研究において実施した実証の結果では、眼科退院時の診療情報提供書の作成において、生成された文章のうち56%の文章が「そのままで利用可能」「微修正のみで利用可能」に分類され、36%は「記載追加のみで利用可能」に分類され、92%の文書に対して医師の文書作成タスクが大幅に軽減されることがわかりました。
CocktailAIは、生成AIが作成した文言と診療録を対比させ表示することができるため、医師は生成AIが生成した文言の根拠を容易に確認することができ、生成AIの課題となっている正確性に対する対応も行われています。
関連リンク
・株式会社ファインデックスプレスリリース「生成AIを活用した医療文書向け文章生成ソリューション「CocktailAI」の提供を開始」
https://findex.co.jp/news_release/2024/nr_20240603.html
・生成AIを活用した、診療現場における文書作成タスクの省力化に関する共同研究をスタート
https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/press/20231031.html