2025年7月29日
京都大学医学部附属病院(所在地:京都府京都市、病院長:髙折 晃史、以下「京大病院」)と株式会社テンクー(本社:東京都文京区、代表取締役社長:西村 邦裕、以下「テンクー」)は、
2025年4月より、がんゲノム医療のエキスパートパネルの運用の現場をサポートするRAD(Rule based Annotation Descriptor)システムの運用を開始いたしました。
本仕組みは、京都大学 大学院医学研究科 腫瘍内科学講座 武藤 学 教授らが開発を進めていたエキスパートパネルの解釈のための方針「京大ルールブック」をベースに、
テンクーの「がんゲノム医療を支援するソフトウェア」を応用して、2022年11月より共同研究を行った成果です。
【背景・内容】
がんの特徴をゲノムレベルで解析し、個々の患者さんに合った診断や治療を行う「がんゲノム医療」が世界的に広がりを見せています。
国内では2019年6月より「がんゲノムプロファイリング検査」が保険適用となり、2025年7月時点で10万人以上の方が検査を受けています。
この「がんプロファイリング検査」には複数の専門医などがあつまり、検出された遺伝子バリアントに対する臨床的意義付けや治療方針を議論する「エキスパートパネル」が導入されました。
一方で、がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議( https://www.ncc.go.jp/jp/c_cat/jitsumushya/090/index.html ) などで指摘されているように、
遺伝子バリアントの解釈、薬剤検索、臨床試験の検討には専門的な知識や判断が必要なため、エキスパートパネルの負担が大きいという声が報告されています。
京大病院では、遺伝子バリアントの解釈のための方針である「京大ルールブック」を整備し、解釈の補助をし、システム化をしておりました。
それをさらに、管理を容易にし、自動的に「京大ルールブック」を参照できる仕組みを本共同研究により構築し(図1)、運用を開始しました。
3ヶ月以上、安定的に運用を行い、臨床現場のサポートに繋がる結果となっています。
京都大学の武藤 学 教授は、「本システムを利用することで、がんゲノム医療連携病院などが、遺伝子バリアントを自院で解釈する際の手助けとなります。
エキスパートパネルが可能な施設が増えることで、がんゲノム医療が全国に広がると期待できます。」とコメントしています。
今後は、最新の遺伝子バリアント解釈の情報やシステムを継続的にアップデートしていくとともに、より臨床の現場に資する仕組みを提供し、医療従事者および患者さんに貢献できるようにしていきます。
図1. 京大病院とテンクーとの共同研究を行ったがんゲノム医療のエキスパートパネルの運用を支援する仕組み
【本件のお問い合わせ】
- 株式会社テンクー 広報担当: pr@xcoo.jp
- 京都大学医学部附属病院総務課企画・広報掛: hisyokoh@kuhp.kyoto-u.ac.jp