京都大学医学部附属病院の塩川雅広助教、桒田威特定病院助教らは潰瘍性大腸炎患者の血液中に特異的に抗インテグリンαvβ6 自己抗体が存在することを発見しました[1]。同抗体の測定は潰瘍性大腸炎の診断や病勢評価に寄与しうると考え、株式会社医学生物学研究所と共同で、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)医療分野研究成果展開事業「課題名:潰瘍性大腸炎の特異的自己抗原の同定による新規体外診断薬の開発」と難治性疾患実用化研究事業「課題名:抗インテグリンαVβ6自己抗体測定による潰瘍性大腸炎の診断・病勢評価のエビデンス創出研究」や厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」 [2]の支援を受け、病院で測定可能な「Anti-Integrin αvβ6 ELISA Kit」を開発してきました。このたび、本キットが欧州で体外診断用医療機器規則(IVDR)の認証(IVDR 認証)を取得しました。
これによりEU 域内で診療用の検査キットとして使用が可能となり、 欧州での潰瘍性大腸炎診療への貢献が期待されます。日本では現在は研究用試薬としてのみ使用可能ですが、今後、体外診断薬としての申請も企図しています。

潰瘍性大腸炎は主として大腸粘膜を侵し、潰瘍やびらんを形成する原因不明のびまん性非特異性炎症疾患です。特異的なバイオマーカーはなく、その診断は臨床症状や内視鏡検査などの検査所見から総合して判断されます。そのため、本抗体のような特異的なバイオマーカーが期待されていました。
株式会社医学生物学研究所が実施した臨床性能試験の結果では、本試薬の潰瘍性大腸炎に対する感度は 85.51%、特異度は 83.87%でした
株式会社トクヤマのライフサイエンス事業のグループ企業であり、臨床検査薬及び基礎研究用試薬の研究・開発・製造・販売を行っています。
参考文献
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