かゆみセンター (KUHPIC)を設立します
2026年3月25日
京都大学医学部附属病院は、2026年4月1日、難治性のかゆみに対して学際的に取り組む「かゆみセンター(Kyoto University Hospital Itch Center: KUHPIC)」を設立します。本センターでは、皮膚科を中心に、麻酔科、腎臓内科、精神科神経科、脳神経内科の各診療科と、看護師、薬剤師などが連携し、かゆみの原因究明と専門的診療を行います。あわせて、京都大学の強みを生かした基礎研究・臨床研究を推進し、かゆみの発症・増悪メカニズムの解明と新規治療法の開発を目指します。
(概略)
- ●設立の背景
かゆみは、多くの人が日常的に経験する極めて身近な症状であり、皮膚科受診の主な理由の一つです。その原因はアトピー性皮膚炎や蕁麻疹などの皮膚の疾患に留まらず、腎疾患・肝疾患・糖尿病などの内臓疾患、神経系の異常、精神心理的要因、加齢、環境要因など多岐にわたります。強いかゆみは日中の集中力を低下させるだけでなく、夜間の深刻な睡眠障害を引き起こし、患者さんのQOL[1]を著しく損ないます。
一方で、かゆみは原因の特定が難しい症状でもあります。その発症機序には未解明な点がなお多く、従来の診療科ごとの対応だけでは十分な改善が得られない難治性[2]の症例も少なくありません。特に、皮膚・内科・精神心理の要因が複雑に関与する患者さんでは、単一診療科での対応に限界があることが課題となっていました。
このような背景を踏まえ、京都大学医学部附属病院では、複数の診療科・職種が連携してかゆみに包括的に対応する診療体制を整備するとともに、大学病院として研究と診療を一体的に推進する拠点として、京都大学医学部附属病院かゆみセンター(KUHPIC)を設立します。
- ●センターの活動概要
- (1)専門的かつ包括的な医療の提供:大学病院の強みを活かし、詳細な問診・診察に加えて各種検査を組み合わせ、かゆみの背景にある要因を多面的に評価します。その上で、外用療法、全身療法[3]を適切に組み合わせ、症状の早期改善と再発予防を目指します。
- (2)かゆみの病態解明と治療開発に向けた研究の推進:かゆみの発症・慢性化・増悪に関わる分子機構や病態を明らかにし、新たな治療標的の探索を進めます。基礎研究と臨床研究を連動させることで、診療現場の課題を研究に繋げ、将来的な新規治療法の開発やエビデンス[4]の創出を目指します。
- (3)多診療科・多職種連携によるチーム医療の実践:複数の診療科・職種が密に連携し、多面的な視点から患者さんの病態を評価し、より適切な治療に繋げます。
- ●診療内容
本センターでは、かゆみに関する専門外来を開設します。
対象疾患:かゆみを伴う皮膚疾患、内臓疾患(糖尿病、透析、肝疾患など)に伴うかゆみ、慢性的な原因不明のかゆみ
診療日:毎週 月・火・木曜日 午前(担当:椛島、中島、後藤)
受診の流れ:完全予約制です。原則として、かかりつけ医からの紹介状をご準備のうえ、皮膚科初診外来をまず受診いただく形となります。
- ●チーム体制
本センターでは、専門領域や職種を超えたチームで診療を行います。
医師:皮膚科、麻酔科、腎臓内科、精神科神経科、脳神経内科
メディカルスタッフ:看護師、薬剤師
- ●今後の展望
KUHPICは、難治性のかゆみに対する専門的診療を提供するとともに、かゆみの病態解明と新規治療法の開発を推進する拠点となることを目指します。
今後も、診療科・職種を超えた連携と研究の推進を通じて、かゆみに苦しむ患者さんに新たな医療の選択肢を届けられるように取り組んでまいります。
(用語説明)
- [1] QOL(Quality of Life):「生活の質」。病気の症状だけでなく、精神的・社会的な満足度を含めた生活の質を指します。
- [2] 難治性(なんちせい):通常の治療では治りにくい、あるいは再発を繰り返す状態のこと。
- [3] 全身療法:飲み薬や注射薬などの全身に作用する薬剤を用いてアプローチする治療法。
- [4] エビデンス:治療の有効性や検査の精度などに関する医学的な根拠。