2026年6月23日
京都大学医学部附属病院は、2026年7月1日、肥満症【1】に対する高度かつ包括的な医療を提供するため、「肥満症治療センター(Kyoto University Hospital Obesity Treatment Center)」を設立します。 本センターは、糖尿病・内分泌・栄養内科を中心に、消化管外科、麻酔科、精神科神経科、リハビリテーション科、看護部、薬剤部、疾患栄養治療部が連携し、生活習慣改善支援から薬物療法、減量・代謝改善手術【2】までを一体的に提供する「肥満症診療のプラットフォーム」として機能します。 さらに、京都大学医学部附属病院の研究力と多職種医療の強みを生かし、臨床研究や治験を積極的に推進することで、新たな肥満症治療法の開発とエビデンス創出を目指します。加えて、肥満症に対する正しい知識の普及・啓発を通じて、社会全体における肥満症への理解促進にも取り組んでまいります。
肥満症は、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群など多くの健康障害を引き起こす慢性疾患です。さらに、心血管疾患や一部の悪性腫瘍の発症リスクを高めることが知られており、健康寿命の短縮や医療費増大の要因として社会的な課題となっています。 近年、本邦ではBMI 35 kg/m²以上の高度肥満症患者が増加しており、その対策は喫緊の課題となっています。一方で、GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬【3】などの革新的な薬物療法の登場により、肥満症治療は大きく進歩しました。また、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術をはじめとする減量・代謝改善手術の有効性も確立されています。 しかしながら、これらの治療を安全かつ効果的に実施するためには、高度な専門知識と厳格な管理体制、多職種による継続的な支援が不可欠です。さらに、京都府内には内科治療から外科治療までを一貫して提供する肥満症専門施設がなく、地域医療機関においても明確な紹介先が限られている状況にあります。 加えて、近年は肥満症治療薬の不適切使用が社会問題となっており、肥満症に関する正しい知識の普及と適正使用の推進も重要な課題です。 こうした背景を踏まえ、京都大学医学部附属病院では、肥満症に対する専門的かつ包括的な診療体制を構築するとともに、研究・教育・情報発信を担う拠点として肥満症治療センターを設立します。
患者一人ひとりの病態や生活背景を詳細に評価し、食事療法、運動療法、認知行動療法、薬物療法を組み合わせた内科的治療を提供します。また、必要に応じて減量・代謝改善手術を実施し、術後の長期フォローアップまで一貫した診療を行います。
医師のみならず、管理栄養士、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床心理士などが連携し、身体面だけでなく精神・行動面も含めた包括的支援を提供します。
肥満症治療薬の治験や臨床研究を積極的に推進し、新たな治療法の開発に貢献します。また、患者集約化により国内外の共同研究や医師主導臨床試験への参画を進め、肥満症診療の発展に寄与します。
対象疾患:
診療内容:
受診方法: 完全予約制です。原則として、かかりつけ医からの紹介状をご準備のうえ、糖尿病・内分泌・栄養内科外来(月~金曜日、矢部・藤倉・村上・南野・吉良)をまず受診いただきます。なお、減量・代謝改善手術を希望される患者さんについては、紹介状をご準備のうえ、消化管外科外来(木曜日、小濱・奥村)を直接受診いただくことも可能です。
医師:
メディカルスタッフ:
肥満症治療センターは、京都府内初の肥満症専門拠点として、地域医療機関との連携を強化しながら、肥満症診療の標準化と高度化を推進します。 また、減量・代謝改善手術の指導的施設認定取得を目指すとともに、京都大学が長年にわたり培ってきたインクレチン研究の成果を基盤として、革新的な薬物療法や医療機器の臨床研究・治験を推進し、患者さんへ新たな治療選択肢を提供してまいります。 さらに、肥満症診療に携わる医療人材の育成拠点として、京都府のみならず全国の肥満症医療の発展に貢献するとともに、肥満症に対する正しい知識の普及・啓発を通じて、社会全体における肥満症への理解促進にも取り組んでまいります。
肥満に加え、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの健康障害を有し、医学的に減量を必要とする病態。
胃の容量を減らすことで体重減少を促し、糖尿病などの代謝異常の改善を目的として行われる外科治療。
食欲抑制や体重減少作用を有し、近年肥満症治療において重要な役割を果たしている薬剤。
医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士など複数の専門職が連携して診療を行う体制。